∇(ナブラ)は数学のベクトル解析で用いられる記号である。食べてもおいしくない。
名前の由来は、その形状が古代帝国アッシリアで使用されたとされる竪琴ナブラに似ていることによる。
ベクトル微分演算子の一つで、たとえばxyz座標系においては(∂/∂x,∂/∂y,∂/∂z)と表される。∂/∂x,∂/∂y,∂/∂zは偏微分演算子である。
∇を用いた演算には、主なものとして勾配(grad)、発散(div)、回転(rotまたはcurl)、ラプラシアン等が存在する。これらの演算は電磁気学のマクスウェルの方程式や、量子力学のシュレーディンガー方程式に使われている。
以下、xyz座標系を前提としてそれぞれの演算について述べる。(座標系が変わると演算の表式も変化する。)
勾配(grad)は、ある関数(厳密にはスカラー場)fに対して作用し、結果はベクトル∇f=(∂f/∂x,∂f/∂y,∂f/∂z)となる。
発散(div)は、∇とベクトル場A=(Ax,Ay,Az)の内積として表され、結果はスカラー∇・A=∂Ax/∂x+∂Ay
/∂y+∂Az/∂zとなる。
回転(rotまたはcurl)は、∇とベクトル場A=(Ax,Ay,Az)の外積として表され、結果はベクトル∇×A=(∂Az/∂y-∂Ay/∂z,∂Ax/∂z-∂Az/∂x,∂Ay/∂x-∂Ax/∂y)となる。
∇2つの内積をとったもの(スカラー場fへの作用は勾配と発散を組み合わせて∇・∇fとも書ける)はラプラシアンと呼ばれ∇を180度回転させたような記号(△(三角)やΔ(デルタ)に似ているが厳密には違う記号)が用いられる。表式としては∇2f=(∂2f/∂x2+∂2f/∂y2+∂2f/∂z2)と、2階微分の足し合わせとなる。
例として、位置ベクトルr=(x,y,z)やその大きさ|r|=√(x2+y2+z2)に対する演算の結果を考える。
|r|の勾配については、grad|r|=∇|r|=(∂|r|/∂x,∂|r|/∂y,∂|r|/∂z)と表される。
∂|r|/∂xを計算すると、∂{√(x2+y2+z2)}/∂x=x/√(x2+y2+z2)=x/|r|となるので、同様に∂|r|/∂y=y/|r|、∂|r|/∂z=z/|r|より、
grad|r|=∇|r|=(x/|r|,y/|r|,z/|r|)=r/|r|となる。
次にrの発散を計算すると、divr=∇・r=∂x/∂x+∂y/∂y+∂z/∂z=1+1+1=3となる。
rの回転については、rotr=∇×r=(∂z/∂y-∂y/∂z,∂x/∂z-∂z/∂x,∂y/∂x-∂x/∂y)=(0-0,0-0,0-0)=(0,0,0)と0ベクトルになる。
|r|のラプラシアンについては、計算は省略するが∇2|r|=2/|r|となる。ラプラシアン演算子の3次元極座標表示を使えば簡単に計算できるが、その3次元極座標表示を導出するのが恐ろしく面倒だったりする。
なお、ネット上ではこれ単体より顔文字やAAの一部、もしくは「強調したい下三角」に使われることが多い。
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最終更新:2025/04/11(金) 21:00
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