PeerCastとは、P2P方式のインターネット配信用ソフトウェアである。ピアキャス、ピアカスとも。
概要
一般的なインターネット配信ソフトウェアとの相違として挙げられるのは、あくまでもPeerCastはストリーミングを管理するためのソフトウェアでしかない点であり、PeerCast単体では視聴も配信も出来ない。また、PeerCastはWindowsをはじめ、LinuxやMac OS Xといったマルチプラットフォームを実現している希有なソフトウェアであった。
あくまでもストリーミングのみ行うソフトウェアのため、配信されているフォーマットによっては配信・視聴環境が限られてしまう場合が多い。 具体的には、WMV形式の場合はWindows Media Player(または、同ソフトを使用したPeerCast視聴ツール)が必要であり、OGG形式(OGG Vorbis形式:音声のみの配信)ではWinampやfoobarといったソフトを必要とする。 配信にもWindows Media Encoder(WMV)やOddcast(MP3/OGG)、Shoutcast(MP3)またはices2(MP3/OGG)などのソフトウェアを別途用意する必要がある。
音声垂れ流しモノ配信である場合、PeerCast,ices2(またはShoutcast)のみで環境が整うため、*nix系のCUI環境でP2P配信環境が全て整う。 玄箱などのようなNASでも正常動作がされている。
ソフトウェアを配布するサイトであるPeerCast.orgは2002年4月に開設された。ソフトの更新は2007年に終了し、数年後にPeerCast.orgも閉鎖しているが、ソフトウェアはGPLライセンスで配布されていたので、これ以降も有志によって派生ソフトが作られている。
歴史
Giles Goddard氏が2002年に発表し、自身のウェブサイト peercast.org にて配布開始。
国内では2002年10月、2ちゃんねるダウンロード板内スレッドから一般への認知が広がった。 当時は所謂垂れ流し系のネットラジオが多かったため、当時隆盛を極めたWinny同様アングラ的な流行にとどまっていたが、P2Pでの生放送が可能という点に於いて、少なからず注目は集めていた。
そんな中、2003年上旬にはWMV形式での配信が可能となるバージョンアップがなされる。 それまでは商業サイトでしか体験の出来なかった高帯域での動画配信が可能(WMEの設定によるが現在では500k~3Mbpsの配信が主流)となった事により、テレビ放送を取り込んで再送信(主にアニメ)したり、録画された動画(主にUHFアニメ)の配信などが散見されるようになった。
そういった配信が増えると同時に、それまではアングラな存在でしかなかったPeerCastユーザーが増加。 peercast.orgで公式に提供されているチャンネル一覧ページの閲覧が困難となる場合もあった。 さらに追い打ちをかけるように、ネットゲームの実況配信(当初はFF11がメイン)やコンシュマー用ゲームの配信などが開始され、2ちゃんねるのオンラインゲーム板、ネトゲ実況板(ネ実)、ニュース速報(VIP)板を中心にユーザーが急増。 最終的にはPeerCast.orgがサーバーダウンすることが日常的となってしまう。
使用すら出来ない状況が続くなか、避難先として作られたのが vipeercast(略称VP、現在では閉鎖)というイエローページであった。 PeerCastは自身が配信するチャンネルの掲載先を変更する事が出来るように設計されており、これをvippercastに変更する事により、ゲーム実況系が避難(自発的な隔離)し、公式イエローページからゲーム実況などは姿を消した。 これが現在にも至っており、今でもPeerCastには複数のチャンネル一覧が存在する。
2009年9月、PeerCastコミュニティから遂に逮捕者が出た。[1]これをうけて(かどうか、理由は定かではないが)、当時容疑者が使用していたと思われるイエローページ(KP)は当月中にサイト運営を終了。 これによりピアキャスのゲーム実況配信の最盛期を支えたVPとKPが終了したこととなり、PeerCastは新たな時代へと突入した。
問題点
このソフトの問題点は、その最大の特徴である“P2P”という点である。
配信者から枝分かれするストリーミングを視聴者がリレーし、またその視聴者が別の視聴者へリレーを行うため、理論的にリスナー数や帯域(ビットレート)に制限が無い。 しかし、通常のP2Pソフトウェアとは違いストリーミングの音声や動画を扱うため、瞬時であっても通信にロス(欠落)が発生してしまった場合にバッファリング(受信待ち時間)が発生し、配信が途切れてしまうという問題がある。 また、PeerCastではTCPの7144番ポートを使用してリレーを行うが、当初はこれさえも十分には理解されていなかった。 ストリームの拡散性が失われ視聴が困難となる場合も多く、ポートを開放しないリスナーに頭を悩ませる事もしばしあった。
さらに、開発された当時はFTTHがそれほど普及しておらず、ADSLによる配信がメインであった(と筆者は記憶している)が、下り帯域と上り帯域が均等でなく、またそれぞれが干渉しあい上り速度が低下するため、個人での配信には細心の注意と余裕を持った帯域が必要であった。
現在ではFTTHも普及し、ポートの開放も比較的認知されるようになった(解放していないリスナーに対してリレーを行わない改造されたPeerCastも存在する)事、また、当初はマシンパワーが要求されるが故に普及しないと思われたWMVによる配信が、PC性能のアップや各種Wikiの充実、そして何よりも、FTTHの普及によりP2Pネットワークが著しく安定するようになった事により、動画での配信者は増加の一途を辿っている。
住人の気質
PeerCastはニコ生と比べて歴史が長く、導入の難易度もやや高いため年齢層はニコ生よりも上になる。
ピアキャス民は基本的に排他的で陰湿な者が多く配信は荒れやすい。また粘着・アンチの出現率も高い。
ピアキャスの陰湿さを嫌ってニコ生に移住する配信者が耐えないのが現状である。
元からそういう場所だったわけではなくゲーム配信がほとんどだった頃は平和で、
2007年頃からスカイプ・奇行配信が増えた結果として荒らし気質のリスナーが激増してしまった。
いわゆる「晒し」スレが発達しているため、配信中は個人情報の漏洩などに気をつける必要がある。
配信されている主要ジャンル
ニコニコ動画と関連性の高い用語
外部リンク
脚注
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子記事
兄弟記事
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