DHMO(ディー・エイチ・エム・オー、ジヒドロゲンモノオキシド、ジハイドロジェンモノオキサイド)とは、日常に氾濫し、我々が無意識のうちに、あるいは意図的に、場合によっては激烈な禁断症状を伴う高い依存性を発揮して、触れたり取り込んだりしてしまっている危険な物質である。
実況プレイヤーについてはDHMO(実況プレイヤー)を参照。
概要
常温常圧下では液体として存在するDHMOが、地上に多く存在しているとき、そしてそれが固体になったとき、更には微細に拡散したとき、いずれも交通事故などを引き起こす原因になりうる。
夏季や冬季にはこのDHMOが降下・蓄積することに起因する災害が、対策の進んだ現代においても毎年のように発生し、多くの人命を奪っている(ただし、冬におけるDHMOによる災害はDHMO自体の蓄積量の減少により近年減少傾向にある)。
夏の行楽地における事故ではDHMOが直接の死亡原因となることが多く、たびたび報道される。
濃硫酸などと混合すると多量の反応熱が発生し、場合によっては爆発的なDHMOの気化により濃硫酸が飛散することがあり大変危険である。そのため、濃硫酸とDHMOの混合を行う際は(化学実験を行うにあたっては初歩的なことではあるが)細心の注意を払わねばならない。
さらに人体が一定量以上を摂取してしまうと低ナトリウム血症を引き起こし、初期には嘔吐や頭痛といった症状が現れ、重篤な場合は激しい痙攣、意識障害や呼吸困難を発症して死亡する。
また、放置しておくと悪臭の原因になりうる。吐瀉物にも多く含まれるため、扱いに関して頭を悩ませられることの多い物質と言える。
DHMOは地球温暖化の最大の原因としても知られる。その温暖化の影響力はあの二酸化炭素の倍以上にもなり現在の温室効果の6割はこのDHMOによるものだとされている。
DHMO対策
現在では人工衛星を利用してDHMO大量発生の予測を行っており、気象庁からのデータを専門チャンネルで毎日閲覧することができる。しかし、予測はある程度正確なものの、抜本的な対策はいまだ存在しない。
DHMOは国による管理もされており、日本では無毒化されたものを比較的簡単に入手できるが、海外などではDHMOが争いの発端になることがしばしある。DHMOの無毒化が困難な地域では十分に注意するべきである。
普段飲用している水道水に多量のDHMOが含まれていたという事例もあり、決して他人事ではない。
関連動画
関連項目
ネタバレと由来
DHMOとは、“Dihydrogen monoxide”(英語読みでダイハイドロジェン・モノクサイド)。
翻訳すれば「一酸化二水素」となるが…要するにH2O、水(water)のことであり、水をIUPAC命名法に従って小難しく言い換えただけである。有害な特徴についてはWikipediaなどに多数掲載されているため、そちらも参照して頂きたい。
ジヒドロゲンモノオキシドの名がメディアに登場した最初の記録は1983年、米ミシガン州の週刊地方紙「デュランド・エクスプレス」(Durand Express)のエイプリルフール特集だが、こうした「理系ジョーク」は当然それ以前から存在していたことだろう。なおジョークの内容は「都市部の下水道から発見されたジヒドロゲンモノキシドからは蒸気が発生する恐れがあり、それを吸い込めば命にかかわる危険性がある」(※至極当然です)といった単発的な内容であった。
その後 '89年に米カリフォルニア大学サンタクルス校の学生たちによってトリビアルな特徴を逐一列挙して煙に巻く現用の手法が確立され、'94年にクレッグ・ジャクソン(Craig Jackson)が内容を改変してインターネット上で発表した。しかし世界的に広まったきっかけとなったのは、 '97年にアメリカの中学生ネイサン・ゾーナー(Nathan Zohner)が被験者に上記のようなDHMOの特徴を示した上で、これの利用を規制すべきかどうか訊ねるという、「人間がいかにだまされやすいか」(How Gullible Are We?)と題した科学プロジェクトであった。なお実際の調査結果によると被験者50人中43人が賛成であり、DHMOの正体を見抜いた人はたった1人だけであったという(残り6人は保留)。
印象の操作
これらの特徴はすべて本当のことを述べてはいるが、水の持つデメリットや何となく悪そうに聞こえる特徴ばかりを誇張して採り挙げており、情報を受け取る側に得体の知れない危険な物質という悪印象を意図的に植え付けているのは明確である。その上で「殺人犯の9割以上は犯行前後24時間以内にDHMOを摂取している」といった、冷静に視れば本質的に無関係な印象操作でしかない「情報」を付け加えれば、さらに規制に賛成する人が増えることは想像に難くない(無論、これらは答えを知っていれば単なる笑い話でしかないのだが)。
更に言えば英語のダイハイドロジェン・モノクサイドという言葉の響きは、'80年代当時に大問題となっていたダイオクスィン(ダイオキシン、Dioxin)やナイトロジェン・ディオクサイド(ニトロゲン・ジオキシド、Nitrogen Dioxide, 二酸化窒素)を大いに想起させる点も考慮していいだろう。
現在は、このようなある一方の側面からのみ物事を観ることを揶揄することにおいてこの話が引き合いに出されることもある。と言う訳で、専門外の事柄であっても物事の評価は複数の視点から行うようにしよう。
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