C-ATSとは、都営浅草線、および同路線と相互乗入れを行っている各社(北総・京急・京成)にて従来使用されている1号型ATSの後継として、現在導入が進められている保安装置である。ちなみに最初の「C」は、乗り入れ各社局で共通(Common)に使え、連続(Continuous)して速度制御(Control)することから付けられている。
本稿では静岡鉄道で導入されている「i-ATS」についても述べる。
特徴
信号伝送がデジタル方式になり、現行ATSより詳細な情報が連続伝送できるようになったため、1号型ATSでは実現できなかった絶対停止やパターン制御を含む細かい速度照査が連続的にできるようになった。
※現行ATS(1号型ATS)との違い
現行ATS(1号型自動列車停止装置)は40年程前に開発され、地上子ではなくレールからの電流によって制御するATSでは国内初の事例となった。通常はレールに電流(50Hz信号)を流しているが、電流を数秒止めることにより注意現示(0.8秒信号を止める)や停止現示(3秒以上信号を止める)とすることができる。
非常に単純であるが、停止現示は15km/hでブレーキが自動的に解除されてしまうこと、強制的に車両を停止させる「絶対停止機能」がないこと、減速信号(75km/h)や抑速信号(105km/h)で速度超過を起こすと45km/hまで落とされてしまう等の問題がある。
C-ATSでは電流を止める時間で制御するのではなくデジタル信号で制御するため、取り扱える情報量が格段に増えた。そのため 、カーブに対する速度照査が可能になったほか絶対停止機能(レールに電流が流れないと絶対停止となり非常ブレーキで停止させられる)も搭載した。そのほか、各事業者が独自に速度照査機能を追加することができる。
また、現示アップ時(停止or注意現示→進行現示)の際に確認ボタンを押す必要がなくなった。
ちなみに運転台の表示器で、 C-ATS となっている場合はC-ATSによる速度照査、 ATS は従来の1号型ATSによる速度照査を行っていることを指す。路線によっては照査の方式がコロコロ変わったりするので注意。
導入状況
すでに車上装置については一部を除いて搭載を完了しているが、地上設備については各社にて状況が異なる。
- 都営浅草線 - 平成18年度から最高速度制限機能等使用開始、全機能の使用開始は平成23年2月26日。
- 京急線 - 2009年2月14日に全線で使用開始。
- 京成線 - 2016年12月10日に全線で使用開始。
- 北総線 - 京成高砂~東松戸、新鎌ヶ谷、小室、印西牧の原、印旛日本医大の各駅構内で使用(その他の区間は1号形を引き続き使用中)。
- 新京成線 - 京成津田沼~高根木戸、三咲~松戸にて使用中(その他の区間は1号形を引き続き使用中)。
速度照査について
従来のフラット信号による速度照査のほか、パターンによる速度照査が可能になった。
フラット信号による速度照査
- 停止信号以外(警戒・注意・減速・抑速信号)→信号機通過時に照査し、超過時はブレーキ作動。所定速度まで下がれば自動的に緩解する。(警戒信号は非常ブレーキで強制停止かも?)
- 誤出発防止 →前方が停止信号の状態で停止した場合、7.5km/hの速度照査となる。停止現示以外になれば解除。
パターンによる速度照査
- 停止信号→停止信号の手前で停車する絶対停止パターンが発生する。絶対停止パターンは45km/hから、25km/hから、15km/hからの3種類。パターン速度に近づくと「P」もしくは「P接近」などが表示され、超過すると非常ブレーキがかかる。
- カーブによる速度照査→カーブや分岐の手前から信号を出す。こちらもパターン速度を超過すると非常ブレーキがかかり、停車させられる。
詳しいことは、Wikipediaや関連資料などを参照。
i-ATS
静岡鉄道で導入されているATS。C-ATSと機能はほぼ同じであり、現在は全駅の駅構内で使用されている。
違うのは、静岡鉄道が使用しているATSが、速度照査機能付きATS-SNを導入していることぐらいである。
つまり、上の説明の「1号型ATS」を「ATS-SN」に置き換えれば、i-ATSの説明になる。
車上装置の表示例
上の動画の、浦賀駅進入時の場合を例にとると、
68 ⇒ 45 (最高45km/h) ⇒ 45 (絶対停止パターン発生) ⇒ 45 + P 点滅(絶対パターン接近) ⇒ 7.5 (誤出発防止)
という変化をしている。
ニュースリリース・関連リンク等
関連項目
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