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これから10年、企業内でマーケティングの位置づけは確実に変わると思われる。マーケティングがマーケティング部門に収まらない時代に、企業とマーケターはどのような変化が求められるのか。
これから10年、マーケティングが変わる3つの要因
2020年の東京オリンピックの開催が決まって以来、「2020年」という年は、近い将来を思い描くメルクマークの年となっています。遠いようで近い、いまから6年後の世界です。
6年前と言えば、ちょうどTwitterとFacebookが日本に上陸した年です。これらに加えてLINEを含めたSNSはいまや消費財マーケティングでは欠かせないコミュニケーションツールとなっていますが、6年間の変化には驚くばかりです。
これから10年先を思い描いた時、企業においてマーケティングの位置づけは大きく変わることは間違いないように思われます。本誌の最新号では、これからのマーケティングのあり方を問いました。
最新号を編集しながら、いま起きている変化がますます加速する世界を考えてみました。その兆しは次の3つです。
①消費の成熟化がますます進む
10年後の消費の主役を担う、いまの20代、30代は、バブル後世代とは言えるものの、モノに溢れた消費社会に生まれました。基本的な需要が満たされた生活者は高度成長期を支えた生活者とは180度異なる消費性向を見せます。そもそも、「どれを買うか、何を買うか」という製品やサービスの選択以前に、「買うか、買わないか」という消費そのものを選択できる世界です。基本的なニーズが満たされたなかでのマーケティングはより人間の欲求の深層に迫る必要性があります。
②購買行動の可視化が進む
ビッグデータの活用にはまだまだ課題がありますが、今後ますます購買データや消費行動のデータを企業が入手できるようになるのは間違いないでしょう。しかもタイムラグなく入手できるようになります。そうなると、マーケティング施策のPlan→Do→Seeを高速で回すことができるようになります。計画して実行して検証する時間が短縮されることで、小さな細かなマーケティング施策の修正や変更の回数は劇的に増えます。これらは、より迅速かつ俊敏な動きが企業に求められることになります。
③製品とサービスの融合化が進む
すでに携帯電話はデバイスの機能ではなく、サービス内容で購買が左右されるようになりました。クルマを利用したい人は、クルマの購入にとどまらず、レンタカーやシェアカーまでを選択肢としています。モノの価値が消費の価値とならず、製品・サービスが提供する体験価値がカギとなります。そのような時代の製品開発は、サービスの設計と分離することはできず、さらに言えばマーケティングやビジネス設計の中で規定される時代となります。このようなプロセスになると組織の枠組みもおのずと変わることになるでしょう。