組織再編は業績回復の決め手ではない

 多くのCEOは、組織構造──組織図中の職名とライン──こそが財務業績の重要な決め手だと思い込んでいる。将校と同じように、しかるべき部隊の全体をしかるべき場所に配置することが自分の仕事だと考えている。その戦闘が、たとえばイノベーションに関するものであれば、CEOの任務とは、イノベーションに向けて資源を回すために、最善の組織をつくり上げることになる。

 この考え方から、組織再編がCEOに人気がある理由をうまく説明できる。実際、全CEOのほぼ半数が、就任後2年以内に再編に着手し、繰り返し再編を取り仕切るCEOもいる。直接の動機はさまざまだ。コスト削減の場合もあるし、成長促進の場合もある。また、企業文化を刷新する場合もあるし、戦略の焦点を変えることもある。しかし、細目は何であれ、再編ではほぼ例外なく、大規模な組織改革によって業績改善を追求しようとする。

 ところが、たいていは鳴り物入りで迎えられるにもかかわらず、大半の再編が失敗に終わる。ベイン・アンド・カンパニーの最近の調査によれば、2000~2006年の57例の再編のうち、業績に何らかの明らかな改善が見られたのは3分の1以下だった。ほとんどが効果を上げられず、逆に価値を破壊してしまった例もある。