はじめに
はじめまして。DMMでVPoEを任されている大久保です。
今年で4回目になりますが、DMMグループ Advent Calendar 2024の最後を務めさせていただきます。最後までお読みいただけると嬉しいです。
また、Advent Calendarの他の記事も面白いのでまだ読まれていない方はぜひお読みください。
今回は私がメンバーだった頃から感じていたことについて言語化してみました。
不確実性の高さ・低さ
会社組織は一般的にピラミッド構造を取る傾向があります。その理由の一つとして、不確実性が関係していると考えられます(もちろん、これが全てではありません)。
ビジネスにおいて、不確実性の高い状況下で未決定の事項を決めたり、予測不能な状況で判断を下したりする必要があります。こうした行為は大きな責任を伴います。また、場合によっては意志決定を変更する場面も出てきます。その際には、たとえ朝令暮改と見なされても、変更をするべきという強い意志が求められるのです。
このような判断や行動は、誰もが簡単にできることではありません。
そのため、組織のトップは孤独になりがちです。不確実性を組織全体で同じように対処するのは難しいため、ピラミッド構造を採用することで、階層ごとに不確実性を段階的に減らしていきます。階層が下がるにつれて確定事項が増え、最終的にメンバーに伝わる頃には、不確実性がほとんど解消された状態となり、仕事を進めやすい環境が整うのです。
こうした仕組みから、ピラミッド構造の上位に位置するほど、不確実性と向き合う機会が増えることになります。そのため、不確実性に対処するスキルは、できるだけ早い段階で身につけておくことが重要だと言えるでしょう。しかし、現代社会では標準化やテンプレート化などによって、不確実性を可能な限り減らすようにしようとする傾向があります。
それ自体に異論はありませんが、不確実性に向き合う機会が減少しているのも事実です。機会の減少により、不確実性に慣れることが難しい状況が生まれます。その結果、あるタイミングで自分のキャパシティを超えるような不確実性の増加が発生すると、いわゆるパンクしているような状態に陥ってしまう恐れがあります。
そのような状況を可能な限り防ぐことも、マネジメントに求められる重要な能力の一つです。しかし、不確実性の厄介な点は、それが見えないというところにあります。
上司の上司が仕事していないように見える理由
私自身、1メンバーだった頃、自分の上司が何をしているかについてはある程度把握していました。しかし、その上の上司となると、何をしているのか全く見えず、時には「もしかして仕事をしていないのではないか」とすら思ったこともありました。
リーダーやマネージャーになった後も、上司の上司が何をしているのかはあまりよく分かりませんでした。しかし、今振り返ってみると、それが分からなかったのは不確実性に向き合う仕事をしており、当時の私にはその不確実性は見えていなかったからだと思います。
そのため、当時は「分からない」という感覚を抱いていたのでしょう。
結論として、上司の上司が仕事をしていないように見える場合、それが不確実性に向き合っている状況であれば、実は健全な状態だと言えると思います。
一方で、もし上司の上司が「仕事をしているように見える」のであれば、その仕事は自分から見える範囲のものであり、本来は自分や自分の上司が担当すべき内容かもしれません。その場合、なぜその仕事を渡せていないのか、その理由を考えることが重要だと思います。
まとめ
今回は「上司の上司が仕事をしていないように見える」と感じていたことについて言語化しました。このテーマを通して伝えたかったのは、どれだけ情報の透明性が高まり多くのことが見えるようになったとしても、必ず「見えないもの」や「不確実な部分」が存在するということです。それらの完全な排除は不可能です。
だからこそ、心のどこかで「見えないものや不確実性がある」と構えておくことが重要だ、ということをお伝えしました。
今年もあと僅かです。今年の振り返りと来年の展望を考えつつしっかり休みましょう。
ありがとうございました。