知り合いの方の記憶の変化や消失、それが周囲を混乱させている様子を読んで、とても心配になりますね。これに該当する可能性がある病気や状態をいくつか挙げてみますが、診断は専門医に相談することが一番大事です。 考えられる原因 1. 解離性健忘（解離性障害） 強いストレスやトラウマが原因で、特定の記憶が抜け落ちたり、改変されたりすることがあります。この場合、本人に悪意はなく、無意識的に記憶が変化している可能性があります。 2. 認知症の初期症状 若い場合は稀ですが、中高年になると認知症の一種（たとえばアルツハイマー型認知症）の可能性もあります。記憶や言動に不一致が出ることがあります。 3. 記憶の再構成の問題 健康な人でも記憶は「再構成」されることがあります。特に情報が曖昧だったり、本人にとって意味が薄かった会話は、自分が記憶していた以上に「作り変えられる」ことがあります。ただ、これが頻繁に起こる場合は、脳の働きに影響を与える何かがあるかもしれません。 4. 前頭葉の機能低下 前頭葉は記憶の整理や自己認識に関与します。軽度の損傷や疾患があると、記憶の一貫性に問題が出たり、記憶の混乱が起きることがあります。 5. 神経変性疾患や脳の損傷 パーキンソン病やてんかんの一部でも記憶の不一致が起こることがあります。脳の特定部位が影響を受けることでこうした症状が出ることがあります。 6. 心理的な防衛機制 無意識に「思い出したくない」感情や状況を避けるため、記憶が抜け落ちたり変化する場合があります。この場合、本人は無自覚です。 何をすべきか 本人へのアプローチ 過度に「覚えていない」ことを指摘せず、穏やかに対応しましょう。本人も困惑している可能性があります。 周囲の観察 記憶の問題が特定の状況で起こるのか、それとも日常的に起こるのか、観察してみると良いでしょう。 専門医の診察を勧める 本人の了承が得られれば、神経内科や精神科で診察を受けるのがベストです。MRIや認知機能検査で原因が分かる場合もあります。 本人が感じること 本人が無意識のうちに「覚えていない」と感じている場合、嘘ではなく、本当に記憶が改変されている可能性があります。周囲がその状態を理解し、まずはサポートしてあげることが大切です。 些細な変化でも、早めに専門家に相談してみると良いかもしれません。もし本人が受診を嫌がる場合、「健康チェックの一環」と伝えるなど、プレッシャーをかけずに促してみるのも良いでしょう。