ベストアンサー
このベストアンサーは投票で選ばれました
ヒトを含め、哺乳類のほとんどが平均的に雌より雄の方が体格や筋力で勝っているのには理由があります。それをきちんと理解することが生物学的に有意義です。 なお、哺乳類の中で雌の方が体格や筋力で勝る種は、ブチハイエナ、ヒョウアザラシ、シロナガスクジラなど僅かです。 本来は卵子と精子の関係のように、子どもを産む性の方が栄養分を蓄えるために体が大きくなりやすい性質を持っています。しかし、雌は大型の配偶子を作るために繁殖にかかる時間やコストが大きくなりやすいという性質も併せ持っています。そのぶん、雌は潜在的繁殖スピートにおいて遅くなりやすいために、一方の性である雄が配偶者獲得の場面においてあぶれ易くなるのです。 そうすると、雄同士で配偶者獲得をめぐって争う度合いが強くなり、体が大きく力の強い雄の方が他の雄の交尾を邪魔したり追い払ったりできるので、争いに勝てる可能性が高くなります。そして、戦いに勝った雄がその遺伝情報を残しやすくなるぶん、体が大きく力の強い形質がより多く子孫に受け継がれ、雄が雌より力が強く体が大きくなるといったように、雄と雌とで形質が異なる「性的二形」の度合いが顕著になるのです。 配偶者獲得の場面において、いずれの性の方が争う度合いが強いかは潜在的繁殖スピードによって決まりますが、大抵の場合は卵を産んだり妊娠したりする雌の方が遅いので、大抵の動物は雄の方が争う度合いが大きくなります。そして、この争う度合いにおいて雄と雌の差が大きいほど性的二形の度合いも顕著になります。雌の方が雄の獲得をめぐって争う動物は、チョウチンアンコウ、アカエリヒレアシシギ、タマシギ、モリアオガエル、ミツバチ、タツノオトシゴなどがいますが少数派です。これらの動物はすべて雄の方が育児を引き受けますし、体は雌の方が大きく、力も雌の方が強いです。 潜在的繁殖スピードの雌雄差は配偶システムも密接に関わっており、この差があまり大きくない動物種は一夫一妻型で雄と雌の体格差や筋力差など性的二形の度合いはあまり大きくありません。しかし、差が大きくなる動物種は一夫多妻型(雌の方が早い場合は一妻多夫型)となり易く、配偶者獲得争いも激しさの度合いが増すので雌雄における力や体格差が大きくなります。一夫多妻型配偶システムで雌雄の体格や筋力差が大きい動物の例としては、オットセイ、アシカ、ミナミゾウアザラシ、ゴリラ、ライオンなどです。一夫一妻型で雌雄の体格や筋力差が小さい動物の例としては、サケ、ホシゴンベ、オキゴンベ、ペンギン、テナガザル、オオカミ、トキ、キジなどです。 哺乳類は雌が妊娠するだけではなく、授乳(完全栄養食)による強力な育児能力まで備えるので、雌が育児することは宿命づけられているといっても良く、一夫多妻型配偶システムをとり、雌雄差が大きくなるタイプの動物の割合がそれ以外の動物に比べて高くなります。このため、哺乳類はどうしても潜在的繁殖スピードにおいて雌の方が遅くなりやすく、配偶者獲得競争の場面では雄があぶれやすく、争う側に立つ傾向が強くなります。この争いで優位に立つためには体格や筋力で勝る方が有利であり、それが殆どの哺乳類において雌より雄の方が大きく強くなりやすい理由です。 現生人類(ホモ・サピエンス)の場合は、配偶システムにおいて一夫多妻型、一夫一妻型、非縄張り型複婚(乱婚)型の特徴を併せ持ち、いずれかとなると一夫一妻型に近く、時代が新しくなるにつれて一夫一妻型に近づく傾向にあります。これは、人類が高い知能を備え、様々な技術や知恵を獲得するうえで育児にかかるコストが膨大になったために、女性だけでの育児は命懸けのものとなってしまい男性による生活サポートを得られることが繁殖成功(子どもが自立して次の繁殖に取り掛かれるまでに育てないと繁殖成功とは言えない)の成否に大きくかかわるようになったため、男性側の潜在的繁殖スピードが伸びて雌雄差が小さくなってきたためです。人類の場合は、男性は体重で女性の1.2倍程度、筋力で女性の1.6~1.7倍程度になり、雌雄差の大きいタイプが多い哺乳類の中では、性的二形の度合いは小さい部類に入ります。
この回答はいかがでしたか? リアクションしてみよう
知恵袋ユーザーさん
質問者2017/8/27 19:39
なるほどヽ(・∀・)
その他の回答(3件)
妊娠出産が可能な性が女性だからです。 性別は、分泌されるホルモンのバランスで決まり、成長過程でも同様に違いがあります。 このため、分泌が盛んになる第二次性徴頃までは男女の差は小さいです。 妊娠出産を可能にするホルモンは、筋肉や骨格を大きくしにくい性質があるので、女性は平均的には男性より小柄で筋力も低くなり、それが分泌されていない男性では、筋肉などは発達しやすくなります。 当然、個人差はありますが、性別ごとに平均すれば必ず女性が小さいわけです。 例えば狩猟と採取など、有史前から特に近代以前では、こうした体格・筋力差で仕事や役割の分担が顕著でした。 しかし、男性が狩りなどを「していたから」大きく強いのではなく、筋力などに優れる反面、出産ができないから、そうした分担になっていただけです。
知恵袋ユーザーさん
質問者2017/8/27 6:09
なるほどねぇヽ(・∀・)
知恵袋ユーザーさん
質問者2017/8/27 6:08
なるほどヽ(・∀・)
知恵袋ユーザーさん
質問者2017/8/27 6:08