この場合、長年通院していた病院への責任は問えますか?
大学病院で初診で悪性腫瘍と判断されなかった点を考えると、長年通院した病院の診察行為は「通常の医療の水準を超えて悪い判断、治療、診断を行ったとは断言できない」かと思います。
よって、「一般論としては責任を問えない」が結論になります。
争訟時の相手方論点として
「当該患者(今回の質問対象となった患者)」は「通常の市中病院と比べて比較的高い医療水準」を持つはずの「大学病院ですら初診で悪性腫瘍と判断できなかった状態」である。
ということは
「通常の市中病院」である「初診病院の平均的な医療水準」では、悪性腫瘍と判断できなかったことは「当然」であり「過失が無い」。
と主張する可能性が高い。
当方の主張すべき論点としては次のようにして相手側の主張を崩す必要がある。
1.高度な医療機関
初診病院が「がんセンター」等で「悪性腫瘍に対する高度な医療水準を持つ」等の、「大学病院と比べて高い医療水準を持つことが期待される医療機関である」という主張をする。
相手方主張の「通常の市中病院」という点を崩し、通常の「初診病院の平均的な医療水準」よりも高い医療水準が期待されると主張する。
2.セカンドオピニオン
多くの医師からセカンドオピニオンを受けて、「初診病院が行った検査で悪性腫瘍と断定できた」という主張をする
「平均的な医療水準」の医師複数が、悪性腫瘍と判断できたと主張することにより、「平均的な医療水準にある医師」で「当然」に悪性腫瘍を断定でき「過失が有った」と裁判所で判断してもらう。
2.は推定ですが実現するのが極めて困難です。クソ金がかかりますし、「どの医師でも10回やって10回見つけられる程度で簡単に分かる状態だった」と主張する訳で、「大学病院の初診で癌ではない」なんて言われる状態だと「裁判所が認めない可能性が極めて高い」です。
「大学病院の教授クラスの超名医なら分かる」ではなくて、初診病院の医師が「婦人科専門医」なら「婦人科専門医になったばかりの医師でも分かる」レベルであることが必要です。
大学病院で専攻医や研修医が「野放しになっている」というのは考えにくく、専門医どころか指導医クラスの「権威ある医師」が後ろでピヨピヨ医師を突っついていた可能性が高いです。
ということは大学病院では「(専攻医や研修医)+指導医で分からなかった」か「専門医が分からなかった」という可能性が高いです。
となると、「裁判所が初診病院の過失を認めない可能性が極めて高い」です。
現実的には
1.
を主張することになります。合致しそうでしょうか?