「蛮族の村に1人降り立った文明人が、最初はさげすんでいたその蛮族に、 やがて自分たち文明人には無い物を見出して心惹かれ、その一員となる。 やがて文明の側から裏切り者呼ばわりされ攻め立てられ、最期には悲劇的な 末路をたどる…」 こういう作劇パターンを“白人酋長もの”と言います。文明的な白人サマ が、下品で野蛮な未開人の部族に「高貴な野生」とか「ピュアな魂」だか いったものを発見し、出身地を裏切るわけです。で、文明側から持ち込んだ 文物だの技術だので、野蛮人から尊敬され仲間にしてもらう。そして最期は… と、大体全部決まっています。昔からある「お約束ストーリー」なのです。 有名映画「ダンスウィズウルブス」や「ラストサムライ」、またある意味で 「地獄の黙示録」なども、みなこのネタです。 その際に重要なのは、文明側から持ち込んだ物や事でもって、主人公が 野蛮人に対する優越を、自動的に(←ここ重要)手にする、と言う点。その おかげで、主人公は労せずして超越的な立場を得て、野蛮人たちから尊敬 され仲間にしてもらえるのです。 言ってしまえば「ケロロ軍曹」だって「侵略!イカ娘」だって、末端の枝葉を 切り払えば、基本コンセプトはどちらも上記の「白人酋長」。両者が似て いると言うより、双方とも「同じジャンルの作品」だと言う事です。宇宙人 も海底人も、攻め込んだ先(私たち人類)を見下していた挙げ句、結局はそこ に馴染んで同化する…そこが見せ場なわけです。 現行の作品なら他にも、「テルマエ・ロマエ」とか「未来のフットボール」 とか「JIN−仁−」とか、皆これの応用発展形と言って良いでしょう。特に 目新しいジャンルでは無いのです。