この質問に対して「体が破裂する」「血液が沸騰する」というのは必ず付けられる間違い回答ですね。
もはや都市伝説化しているように思います。
ご質問で書かれているように、宇宙空間では大気圧というものがありませんので、それを根拠に「体が破裂する」と
いう説が広まっている(信じられ易い)のだと思いますが、そんな事はありません。例えば空気の入った風船を真空
中に放つとたちまち破裂します。しかし水で満たした風船だとそんな事にはなりません。人間の体は風船のようにた
だの袋ではなく、水分やその他の物質を包んだ細胞と言うものがたくさん集まって構成されているので真空中で破裂
するような事はありませんが、肺には空気がありますので息をずっと止めていると小さい気泡が膨らんで細胞を壊し、
肺に残っている空気(酸素)で固まった血小板が血管を詰まらせて死亡に至ることになります。
同じように気圧が無いので「血液が沸騰」という説もよく信じられていますが、これも間違いです。血管内の圧力は
0ではありませんので、すぐにそうなる事はありません。
その実例として、1965年にNASAの有人宇宙船センターで事故があり、訓練中の宇宙飛行士がほぼ真空にさらされる
という事件がありました。彼はその状態になってから14秒後に意識を失ったといいます。15秒後に彼のいたチャンバ
ーは加圧され、一命を取り留めたそうです。そのとき舌がぴりぴりする感覚があったと言いますから、露出している
粘膜などの水分は沸騰を起こしていると思います。人間は普通の地球上であれば1分やそこらは息を止めてもなんと
いう事はありませんが、無酸素の空気や真空状態で息を吸うと10数秒で失神してしまうそうです。
また、1971年のソ連ソユーズの事故で、キャビンのバルブが開き宇宙船内が減圧し45秒間で3人の宇宙飛行士が死亡
しましたが、その死因は窒息死です。体が破裂したり血液が沸騰したのではありませんでした。
さらに宇宙空間の低温状態(太陽光線の当たらない真空の宇宙は約-270.4度)で凍るという心配も間違いのようで、
温度の移動は地上では空気などの体に接触しているものによります。真空である宇宙では体から逃げる熱は放射冷却
しかありません。真空ポット(中を2重にしてその間を真空にした魔法瓶や水筒)から熱が逃げにくい原理と同じで
瞬時に体が凍る、ということもないです。
以上から、万が一宇宙空間に放り出されたら目をつぶり、息をゆっくり吐き出せば15秒程度なら死なずに済む「可
能性」はあります。ただし太陽光線に直接さらされる事で身体が熱、紫外線、放射線などで焼かれてしまいますので、
15秒というのは安全を保障された時間ではありません。試してみる勇気はないですね。