Trac vs Redmine!導入に悩む人のための7つの比較ポイント

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世の中には相反するものが存在します。例えば、ゴジラとモスラ。アジャイルとウォーターフォール。目黒と目白。アルジェリアとナイジェリア。そして、RedmineとTrac。

デブサミで大盛況だったチケット管理システム大決戦 JIRA vs Redmine vs Trac ユーザーが語る、なぜ私はこのツールを使うのかですが、各ユーザ同士の戦いを期待した人も多かったと思います。しかし、@ryuzeeさんの[Trac]デブサミでITSに関するセッションに登壇しました #devsumiにまとめられているように、ツールは「やりたいこと」を考えて利用し、それを「使う人が改善していくこと」が大切なので、戦わせるのはとても難しい。

はじめに

私世代の人間ならば、「孫悟空とドラえもんはどっちが強いか」といったことに興味を持ってしまい、RedmineとTracもガチンコ勝負させたくなるものです。また、チケット管理システム(BTSやITSなど)を、これから導入する人、導入したいと考えている人であれば、各ツールの比較情報や、利用者の経験や意見を知りたいと考えることは自然だと思います。

そこで、今回は、私が導入するときの視点を元に、無理やりRedmineとTracを比較し、どちらが強いかはっきりさせたいと思います。Redmine、Tracのデモは公式サイトで用意されているので、まずは触ってみることをおすすめします。

今回は、2011/04/09に私が調べることができた範囲で調べ、機能面の比較はしていません。導入する側の視点としてざっくりと勝ち負けをつけているので、あくまで参考としてどうぞ。

トレンド

まず、Google先生を使って最近のトレンドを調べてみました。あくまで参考値ですが、Tracは徐々にトレンドが下がっており、Redmineは比較的順調に伸びてきています。

今年あたりで、TracとRedmineの勢力図が変わってくるのかもしれません。トレンドは、人気のRailsで出来ているRedmineに歩があるようにみえます。
http://www.gmodules.com/ig/ifr?url=http%3A%2F%2Fwww.google.com%2Fig%2Fmodules%2Fgoogle_insightsforsearch_interestovertime_searchterms.xml&up__property=empty&up__search_terms=Redmine%7CTrac%7CJIRA&up__location=empty&up__category=5&up__time_range=empty&up__compare_to_category=false&synd=open&w=500&h=350&lang=ja&title=Google+Insights+for+Search&border=%23ffffff%7C3px%2C1px+solid+%23999999&output=js

ドキュメンテーション

TracはTracGuideに情報がまとめられており、日本語のガイドもあります。一方、Redmineは、Redmine Guideにまとめられており、こちらも日本語ガイドがあります。

TracもRedmineも書籍は揃っています。

あきぴーさんの実践ガイドが出て、Redmineがさらに認知された印象があります。

プラグイン数

Tracの公式サイトには、Trac Plugins Guideというページがありますが、@ryuzeeさんがデブサミでおっしゃっていたようにTrac Hacksには、大量のプラグインが公開されています。

Redmineの公式サイトには、Redmine Plugin Directoryがあり、プラグインの登録なども簡単にできるようになっています。Redmineのプラグインは、Githubに公開されていることが多く、Githubで「Redmine」で検索すると863件の結果がでたので、こちらも大量のプラグインが眠っているように思います。

r-labsのようなプラグイン開発サイトや、Agiloのようなパワフルなプラグインの存在は、利用する我々にとってもツールを選択する上で重要な判断材料となります。プラグインの量や質も大切ですが、自分がプラグインを作るならTracのPython、RedmineのRailsのどちらに興味があるかを考えてみるといいかもしれません。

開発の活性度

Tracを使っていた当時から、Tracはバージョンアップが遅く、開発が遅いイメージを持っていました。また、Redmineについても、ここ数年で開発が活性化しているイメージがあります。

Screen shot 2011-04-09 at 8.29.10 PM

開発の活性度を調べるために、リリース回数をX、リリース日のシリアル値をYにグラフ化してみると、RedmineもTracも同じぐらいのスピードで開発されているみたいです。ただ、管理画面のリッチさなど、実装される機能とスピードは、Redmineの方が強いように感じます。しかし、Redmineもメインコミッタが抜けたりしているので今後どうなるかは不明瞭です。OSSの場合は、こういったリスクがありますね。

ユーザコミュニティ

Tracのユーザグループはメンバー4224人、21850メッセージありました。国内だとShibuya.tracはメンバー178人、1311メッセージ。

一方、RedmineはMLが見つからず、フォーラムがMLのような役割になっているみたいです。ユーザ数は去年、私がhttp://www.redmine.org/にユーザ登録したときにIDが10000を越えていたので、1万人以上のメンバーがいるようです。フォーラムには22966のメッセージがありました。国内だとRedmine Usersがありメンバー895人、1270メッセージでした。

ユーザ数で考えると、Redmineが勝っているように見えますが、勉強会の開催などを見ると、Shibuya.tracが10回。Redmineは、友人の@yandoが開いた1回のみです。

TracもRedmineもコミュニティ面では同等の人気のようです。

環境と運用

Tracは、TracInstallにまとめられており、RedmineはRedmineInstallにまとめられています。両者ともApache連携させるためにmod_pythonやPassengerが必要になるので、Linuxサーバ上での構築ではどちらも似たようなものだと思います。しかし、私にとっては、RubyのWebアプリ環境を作るほうが簡単だったためRedmineのほうが優れているように思っています。

また、Windows環境だと、TracはTrac Lightningで簡単に構築でき、RedmineだとAll in one Redmineというものがあり、両者とも簡単に構築することができます。

Redmineの場合、Railsで出来ているのでCapistranoを使ってリリースを自動化できます。頻繁なアップデートのことを考えると、Redmine(というよりRails)の保守性は高いと思います。また、いろいろなブ ログでも語られているように、Redmineの管理画面は、デフォルトでとても分かりやすく、1000人以上のユーザに使われるようになっても苦労することがありませんでした。

効果測定

Redmineは管理画面で「最終ログイン日時」を確認できます。また、TracもRedmineもユーザの動きであるアクティビティを確認することができます。これによりツールの「使われ具合」が見えるようになってきます。

ツール導入を進める場合は、こういった効果測定を気にする必要があります。DBを直接除けばどちらのツールでも測定はできますが、管理画面が充実しているRedmineは確認がしやすかったです。

まとめ

それぞれの項目に5点満点で点数をつけていきます。点数に満足されない方は、自分の点数に置き換えてみるといいと思います。

トレンド ドキュメント プラグイン 開発の活性度 コミュニティ 環境/運用 効果測定 合計
Trac 4 4 5 4 5 3 3 28
Redmine 5 5 4 5 5 4 4 32

私の中ではRedmineがTracよりも少し勝っているみたいです。その差分もトレンドと管理画面の便利さがしめている気がしますね。

また、少しだけ海外での評価についても調べてみました。

Trac vs. Redmine vs. JIRA vs. FogBugz for one-man shop?では、どのツールが個人向けか?について書かれています。この方は、Tracはプラグインカスタマイズが必須な点を指摘しており、Redmineの完成度の高さを評価しているみたいです。

Trac Vs. Redmine Vs. Trackerでは、複数プロジェクト管理や、Gitなどのサードパーティ製品連携から、Redmineを評価しているように見えます。

いろいろな意見があるとは思うのですが、導入を検討されている場合は、こういった機能を除いた視点を、評価基準に加えることをおすすめします。大規模の導入の場合は、運用や効果測定を忘れずに。小規模の場合は現場の好みで「使い捨て」と割りきってつかうのもありかと思います。

私はこんな感じで検討した!とか使っている!とかネタをお持ちの方はぜひ共有をお願いします。事例が集まれば第2回Redmine勉強会とかやれそうですね。

参考リンク

“Trac vs Redmine!導入に悩む人のための7つの比較ポイント” への 2 件のフィードバック

  1. mschibata (m柴田) と申します。

    Windows Server を前提にした場合になりますが、日本では Trac Lightning の存在が大きいです。

    Redmine だと BitNami Redmine があるのですが、インストールされ方が、BitNami 共通で、フォルダ構成などが特殊になりますから、通常の Redmine ガイドやコミュニティ上の情報が利用しにくいの (と提供元が英語サイト) が難点です。
    #初心者には厳しいと思います。

    BitNami Trac の方は、インストールすると、プラグイン類がまったく入ってなくて (ホントに素の状態だと機能が少ないので) 愕然としますから、単体としては Trac の最初に超えるべきハードルの方が高いのですが…

    その分 Trac Lightning の健闘が目立ちます。

    ちなみに Ubuntu 10.04 LTS の Synaptic で redmine をインストールしてみたのですがうまく動かなかったりします。Bitnami Redmine for Linux は確実に動きますが、それもインストールされたものがどこに収まったのか探すのに一苦労でした。

    総じて最初の環境を整えるところで、ところどころ引っかかるところが多いような印象があります。

    ちなみにうちは、Trac Lightning を経て、今は Redmine です。

    Trac Lightning とセットでインストールされている Subversion が本格的に使われていて、Trac だけをバージョンアップしようとすると、Trac を素からインストールする知識が必要になり、それが面倒でバージョンアップせずにおいたら、Redmine の方が機能豊富という状況になりましたので…

    Trac もマメにバージョンアップしてプラグインもそれなりに入れていければ、比較の対象にはできたでしょうけど、うちはそういう事情で Redmine にしています。

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  2. コメントありがとうございます。
    私もWindowsPCしかなかった時代にPure Tracを使っていて、最近はRedmineを使っています。

    All-in-oneパッケージは、さっと環境を作るのに適していますね。確かにおっしゃるような問題があると思います。RedmineのときはWEBRicを使っていたのですが、環境を移動する可能性があったので、RubyとGemがあればどこでも動くところが良かったです。

    プラグインに関しては、プラガブルなツールは、プラグインの力が強大ですが、Firefoxとかとちがって、開発者の絶対数が少ないので、すぐにバージョンアップすると「プラグインが動かない問題」が生まれてしまう。なので、どういうふうにプラグインでカバーするかを考えるようにしました。あまり依存したくなかったのです。

    環境や本体とプラグインのバランスは、導入する側として考えていかなければならないところだなぁと思います。最近は、小さく使うなら使いたい機能がある、使いたいツールを好きなように使い、大きく使っていきたいなら商用ホスティングを使うのがいいなと経験上思うようになりました。

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