幼児でも盛り上がる手分け
筆者が4歳児数名の面倒をみてだんだん手に負えなくなってきたときだった。
ふと思いついて適当な作業をでっち上げた。そして君はあれをしろ君はこれだと手分けをしてみた。するとどうだ。異常な盛り上がりを見せたのだ。手分けって幼児でも盛り上がるのかと驚いた。
もちろんこうした盛り上がりは職場でこそよくみられることだろう。
最近あった手分けとして編集部の古賀さんがあげたのはこの状況。時間がなくて一人でやる作業を分担したのだそうだ。
古賀さんが最近盛り上がった手分け事例。こういう状況があったそうだ
「グルーヴを感じた」と古賀さん。ただの分担作業がなぜ盛り上がるのか?
あのとき私たちグルーヴを感じたよね…
これが「グルーヴを感じた」というほど盛り上がったそうだ。
なるほど、今回撮影のために再現してみたが何も作業してないのになぜか達成感があった。そのまま軽い打ち上げに行ってしまいそうなほどだ。
こうした手分けの盛り上がりはどんな状況にもあてはまるのだろうか。たとえばこういう状況。
「飲み会、今から入れる店ある?」こういう時も手分けで盛り上がるのか
たとえ飲み会の店探しでも盛り上がるのか?
飲み会の店を急に探さなければならなくなったとき。めいめいが携帯電話と向き合って検索している。気まずい時間である。
これも手分けをすることで盛り上がるのではないだろうか。その場で作業をわりふってみた。
お店探し作業を手分けした。動画を見られない方のために↓でセリフを書きだしている
一定のリズムで作業をわりふっていく。イメージは『踊る大捜査線』であるが、やってることはただの検索である
憧れの「ホームレスに聞き込み」である。その風貌から左端の岩沢が担当
ここで重要なのは「いくぞ」と「はい!」の掛け声である。これが盛り上がる
なぜか散る一同
走った先には特になにもない
食べログで検索をする予定の松元も走り出した。なぜだ
「いやー、盛り上がった盛り上がった」またもや軽く打ち上げに行くムードが
めちゃくちゃ盛り上がった
作業をわりふったあとで重要なのは「さあいくぞ」「はい!」の掛け声である。これが盛り上がる。
そのあと一同あちこちに走り出してしまったほどだ。検索なんてその場ですればいいのにだ。
終わったあとはゲラゲラ笑いながら「いやー、盛り上がった盛り上がった」である。ただの飲み会の店探しなのに温泉でひとっ風呂浴びてきたかのようなムード。
つづいてはこれ。プラモデルのようなみんなでやると地味な作業も盛り上がるのか?
プラモデル作りも盛り上がるのか?
一人でコツコツやる寡黙なたのしさのプラモデル作り。集団でこれをやって盛り上がるとは思えない。
これも手分けの効果でどれだけ盛り上がるのかためしてみよう。作業をわりふった。
ただのプラモデル作りなのに捜査本部感がすごい!
せっかくなのでそのまま作業に入ってみたが……袋から出すだけの松元が早々に終わった
古賀が説明書を読み上げるのだが、みんな絵を見てないのでさっぱりイメージできない
バキッ「……あっ」 いろいろと失敗であったが士気だけは高かった。
プラモデルを分業すると実際の作業はズタズタになることがわかった
作業までは保証できないが、盛り上がりは出る
たしかに盛り上がりは出た。しかし実際の作業に入るとあらが出てきて、ついには岩沢がパーツをバキッと割ってしまった。
手分けはたしかに盛り上がるかもしれないが、良い結果になるかは別問題だ。少なくとも説明書読む人と組み立てる人を分けるべきではない。
たとえばこんな看板があった。作業でもなんでもないがわりふってみよう
作業でなくても盛り上がるのか?
手分けはたしかに盛り上がる。もしかしたらこれは作業でなくても盛り上がるんじゃないだろうか。
たとえば公園に書いてあった禁止事項。これを一つずつわりふってみよう。わけがわからない集団となりそうだが、盛り上がりはどうだろうか。
公園でやってはいけないことを手分けしてやるチーム。車で乗り入れるわ、爆竹鳴らすわ、ひどい大人たちだ。「夜にさわげ!」はもはや詩的ですらある
「酒を飲んで迷惑をかけろ」その手は思いつかなかったし今後も思いつくことはないであろうタイプの作戦である
ハトにエサをやるだめな司令官のもと、一同はまた走りだした
盛り上がるのは盛り上がるな
盛り上がった。意味のないただのいやがらせのりふりでもなぜか高揚感があった。
悪事も手分けした瞬間に盛り上がるな。数多の銀行強盗たちも(……盛り上がってるな!)と思ってきたことだろう。
そうだ、どんなことでも手分けは盛り上がる。さらにここから先がある。やってくうちに気づいたが、より盛り上がるコツのようなものが存在するのだ。
それはわりふられた作業の拒否である。
たとえばこれからお誕生日会の準備をするとしよう。こういう状況だ。
「ムリよ!」適度に拒否や否定を入れると盛り上がる
拒否されてもわりふる。仲間を信頼するという姿勢になり、当人の責任感がより強固なものになる。結果、盛り上がる
適度な拒否、そして言われてなくても分担をかってでるのもいい
だいたいスーパーの方にむかって走っていくお誕生日会準備班
もしもわたしが犬ならうれションしてたであろう。なんて充実感だ…
上級者手分けはどんどん陳腐なドラマ化していくぞ
責任感とリズム感が盛り上がりを生む
集団作業においてやる気をなくすのは責任がなくなったときである。人は責任が発生するとやる気が出る。だから作業を任せると盛り上がる。ただしそれは個人の話である。
次に大事なのはリズムである。グルーヴとはなんであるか?という問いに「次に来る拍子が分かっている状態」と答えた人がいる。
この場合は手分けによってポン、ポン、ポン、と責任が発生していくのだ。あ、次、おれにも責任来るなと思っているタイミングでやっぱり来る。これがグルーヴだ。一定のリズムによって、責任のグルーヴが生まれるのである。
こうして手分けは確実に盛り上がるのだ。
しかし「いやー、あれ盛り上がったよねー」と仕事を振り返るのはなぜかダメな大人な感じも出る。その思いはそっと胸に秘めておいたまま、どんどん手分けしていこう。
盛り上がりすぎて各参加者のポーズ付き写真を撮ったのだが全部ボツである。松元さんと宮森さんはニフティの社員さんでただ駆りだされてポーズとらされてボツになった。かわいそうだ。