野間易通のTw治外法権を剥奪した静岡地裁判決 - 「凪論」の臥薪嘗胆
野間易通が敗訴した昨年11月26日の静岡地裁判決、その判決文の「前提事実」には次の記述がある。「被告は、市民団体『レイシストをしばき隊』(以下『しばき隊』という。)を主宰する者であり、ツイッターアカウント@kdxn(以下『被告ツイッター』という。)を保有している。被告ツイッターのフォロワー数は、平成26年5月1日時点において、1万1123人であった(略)。市民団体『Counter-Racist Action Collective』(以下『クラック』という。)は、ツイッターアカウント@cracjpn(平成27年1月16日以降は@cracjpに変更している。以下『クラックツイッター』という。)を保有している。クラックツイッターのフォロワー数は、平成26年6月3日時点において4741人であった」(P.3)。前回の記事で、裁判官は「しばき隊」と「C.R.A.C.」について混乱することなく、正確に事実を認識していると指摘したが、その根拠となるのが上の記述である。さすがに裁判官だ。野間易通が「しばき隊」の主宰者であると認定している。しばき隊側が屡々使う詐術の口上では、しばき隊はすでに解散して存在しないという弁解が言われ、何も知らない素人は簡単に騙されて錯覚するのだが、地裁の裁判官は幼稚な詭計に引っ掛からなかった。
裁判所が正しく、野間易通をしばき隊の主宰者だと事実認定している。今後、われわれは正しく静岡地裁の判断に準拠し、しばき隊側の詭弁に惑わされることなく、野間易通を「しばき隊の主宰者」として位置づけ、「しばき隊は解散した」という誤解やデマの影響から自由になる必要がある。今回、裁判所の判決文というものを久しぶりに読んだが、非常に感銘を受けた。裁判官の判決というのはどこまでも主体的な営為で、医師の外科手術や建築家の仕事のようなものだ。方法というものがある。事実を認定するとき、フォーカスする部分とオミットする部分がある。この裁判官は原告被告双方の言い分を聞いた上で、野間易通とその周辺の全体像を洗い出し、しばき隊主宰者で影響力が大きく、Twでのプライバシー侵害や名誉毀損が広く世間に拡散し、不法行為を受けた側の損害が甚だしくなる点に着目している。そのことが、結論を導く上で重要な要素となっていることを説明している。前回の記事でも紹介したが、判決理由である「当裁判所の判断」の総括の部分(P.31)で、「被告はしばき隊の主宰者として新聞紙面に掲載される等、知名度のある人物であり、また前提事実のとおり、
被告ツイッターのフォロワー数は、平成26年5月1日時点において1万1123人(略)、インターネット上に掲載された被告ツイートは容易に拡散する可能性がある」と書き、判決文の要所で二度同じことを強調している。この冒頭部(P.3)の「前提事実」はまさに切り口で、原告勝訴の結論を導く設計上配置されたもので、総括部(P.31)でだめ押しされていることがわかる。裁判官にとってこの事実がポイントなのだ。そして、18個のツイートについて(1)プライバシー侵害、(2)名誉毀損、(3)侮辱の有無を検査、緻密で詳細なマトリックス表を構成して総合的な不法行為の考量判断を下している。二審の高裁でも一審と同じく一からの事実審理がされる。だが、まず目を通すのは一審の判決文だ。このように、18個のツイートについて一つ一つ検討と判定がされていたとき、果たして高裁の裁判官はそれをどこまで一つ一つ辛抱強くトレースし、一審に事実誤認があるかをチェックするだろうか。無論、仕事だからやるに違いないが、18個のツイートには輻輳した前後関係が絡まり、それらの関係者のTwテキストを調べ直して頭の中に事件全体像を再現するのは至難の業だ。面倒くさい。裁判官も官僚である。
こうやって一審判決で精密で堅固な法律論を構成されたら、私が高裁の判事なら正直なところギブアップである。この一審判決は、その意味でも簡単に覆せない方法的基準で作成されていることが窺える。あるいは原告側の弁護士が優秀で、訴状で裁判の戦略をそのようにキャリーし、結果的に奏功したのかもしれない。が、いずれにせよ、地裁の裁判官は18個のツイートの前後状況を正確に把握しているのであり、煩雑きわまるツイート群の読み返し作業を完遂させ、関係者の事実関係を正しく整理し、事件の真相を確信しているのだ。骨の折れる仕事である。ツイッターの名誉毀損事件のときは、被害届が警察に出された場合、担当刑事はこの同じ確認作業を根気強くやらなくてはいけない。野間易通の汚い罵倒ツイートを何度も読み、喧嘩や被害の経緯を調査検証しなくてはいけない。それが面倒だから、警察は被害者に民事訴訟せいと言うのである。刑事事件にしたくないのだ。鬱陶しいから。手間がかかるから。野間易通としばき隊との間で事件に巻き込まれた被害者は数多くいるが、警察沙汰にまではなるけれど、実際に告訴に至って刑事裁判が行われたという話を聞かない。警察が手抜きで民事に回しているからだろう。そうすると、被害者は高い金を出して弁護士を雇わなくてはならず、長い訴訟期間を強いられることになる。
だから、大抵の場合は示談か泣き寝入りで片づいてしまうのだ。示談で処理されると裁判所の判決は出ない。黒白の決着はつかない。今回の「凪論」事件が画期的なのは、深刻な名誉毀損を受けた被害者が妥協せず、示談せず裁判を貫徹し、原告勝訴を勝ち取ったことである。しばき隊裁判に判決が出た。野間易通の、あの汚い侮辱と罵倒と誹謗中傷と個人情報晒しが、ようやく司法によって不法行為であると判定された。ネットでは「凪論」著者の勇気と奮闘が讃えられ、リベンジが喝采され、「凪論」の復活を待望する声が上がっている。雌伏2年。住所と職業を暴かれ、勤務先に押しかけられ、ブログとTwの閉鎖に追い込まれながら、裁判を準備し、弁護士費用を用立て、支援者もなく一人で闘いを続けることは、本当に大変なことだっただろう。個人情報を晒され、ネットで集団リンチにかけられる遭難は、何より家族に迷惑がかかる。本人だけの問題では済まない。野間易通としばき隊の暴力の毒牙にかけられた者は、こうして泣き寝入りし、戦うことを諦めてネットから次々と消えて行った。戦い続けると家族に被害が及ぶからである。しばき隊には組織がある。顧問弁護士がいる。朝日やAERAや東京新聞がついている。小熊英二の威光があり、論壇とアカデミーを押さえている。
左翼リベラル業界の支持がある。共産党がついていて、党員がしばき隊のTシャツを購入して売上を献上している。2年間、不遇の中でしばき隊の暴力と苛虐に屈服せず、臥薪嘗胆を貫いた「凪論」著者の意地と闘志は評価されるべきだろう。この判決を出した静岡地裁の裁判官は3名である。ベテランの男性が2名いて、1名が裁判長を務めている。残り1名は新人に近い若い女性だ。ここからは私の想像だが、気の滅入る証拠ツイートのガリンペーロ作業は、この女性裁判官の担当になったのではあるまいか。彼女は訴状に添付されたTwのゴミの山を精読し、暴力の密林と荒野に分け入って探査しながら、率直に「これは酷い」と思ったはずだ。そして、朝日やAERAや東京新聞で正義の英雄として持ち上げられている「社会運動家」の像と、ネットで蛮行を恣にしているゴロツキの実像とを見て、その乖離と矛盾に驚いたことだろう。「前提事実」と総括部分の二つに同じ事実が書かれていて、それが判決論旨のキーになっていることを考えると、私の推測は当たらずとも遠からずではないかと思う。通常であれば、こんな泥くさい精神的重労働をやって、20万円程度の名誉毀損の有無を審理判定するなど誰もやりたくないから、さっさと条件の相談をしませんかと示談を持ちかける。だが、「凪論」が信念を貫き、裁判官が粘り強くTwのヘドロの山を踏破し、不法行為認定の判決となった。
社会正義が実現されるときというのは、こういうドラマと瞬間を言うのだろう。野間易通のネットでの治外法権は剥奪された。
裁判所が正しく、野間易通をしばき隊の主宰者だと事実認定している。今後、われわれは正しく静岡地裁の判断に準拠し、しばき隊側の詭弁に惑わされることなく、野間易通を「しばき隊の主宰者」として位置づけ、「しばき隊は解散した」という誤解やデマの影響から自由になる必要がある。今回、裁判所の判決文というものを久しぶりに読んだが、非常に感銘を受けた。裁判官の判決というのはどこまでも主体的な営為で、医師の外科手術や建築家の仕事のようなものだ。方法というものがある。事実を認定するとき、フォーカスする部分とオミットする部分がある。この裁判官は原告被告双方の言い分を聞いた上で、野間易通とその周辺の全体像を洗い出し、しばき隊主宰者で影響力が大きく、Twでのプライバシー侵害や名誉毀損が広く世間に拡散し、不法行為を受けた側の損害が甚だしくなる点に着目している。そのことが、結論を導く上で重要な要素となっていることを説明している。前回の記事でも紹介したが、判決理由である「当裁判所の判断」の総括の部分(P.31)で、「被告はしばき隊の主宰者として新聞紙面に掲載される等、知名度のある人物であり、また前提事実のとおり、
被告ツイッターのフォロワー数は、平成26年5月1日時点において1万1123人(略)、インターネット上に掲載された被告ツイートは容易に拡散する可能性がある」と書き、判決文の要所で二度同じことを強調している。この冒頭部(P.3)の「前提事実」はまさに切り口で、原告勝訴の結論を導く設計上配置されたもので、総括部(P.31)でだめ押しされていることがわかる。裁判官にとってこの事実がポイントなのだ。そして、18個のツイートについて(1)プライバシー侵害、(2)名誉毀損、(3)侮辱の有無を検査、緻密で詳細なマトリックス表を構成して総合的な不法行為の考量判断を下している。二審の高裁でも一審と同じく一からの事実審理がされる。だが、まず目を通すのは一審の判決文だ。このように、18個のツイートについて一つ一つ検討と判定がされていたとき、果たして高裁の裁判官はそれをどこまで一つ一つ辛抱強くトレースし、一審に事実誤認があるかをチェックするだろうか。無論、仕事だからやるに違いないが、18個のツイートには輻輳した前後関係が絡まり、それらの関係者のTwテキストを調べ直して頭の中に事件全体像を再現するのは至難の業だ。面倒くさい。裁判官も官僚である。
こうやって一審判決で精密で堅固な法律論を構成されたら、私が高裁の判事なら正直なところギブアップである。この一審判決は、その意味でも簡単に覆せない方法的基準で作成されていることが窺える。あるいは原告側の弁護士が優秀で、訴状で裁判の戦略をそのようにキャリーし、結果的に奏功したのかもしれない。が、いずれにせよ、地裁の裁判官は18個のツイートの前後状況を正確に把握しているのであり、煩雑きわまるツイート群の読み返し作業を完遂させ、関係者の事実関係を正しく整理し、事件の真相を確信しているのだ。骨の折れる仕事である。ツイッターの名誉毀損事件のときは、被害届が警察に出された場合、担当刑事はこの同じ確認作業を根気強くやらなくてはいけない。野間易通の汚い罵倒ツイートを何度も読み、喧嘩や被害の経緯を調査検証しなくてはいけない。それが面倒だから、警察は被害者に民事訴訟せいと言うのである。刑事事件にしたくないのだ。鬱陶しいから。手間がかかるから。野間易通としばき隊との間で事件に巻き込まれた被害者は数多くいるが、警察沙汰にまではなるけれど、実際に告訴に至って刑事裁判が行われたという話を聞かない。警察が手抜きで民事に回しているからだろう。そうすると、被害者は高い金を出して弁護士を雇わなくてはならず、長い訴訟期間を強いられることになる。
だから、大抵の場合は示談か泣き寝入りで片づいてしまうのだ。示談で処理されると裁判所の判決は出ない。黒白の決着はつかない。今回の「凪論」事件が画期的なのは、深刻な名誉毀損を受けた被害者が妥協せず、示談せず裁判を貫徹し、原告勝訴を勝ち取ったことである。しばき隊裁判に判決が出た。野間易通の、あの汚い侮辱と罵倒と誹謗中傷と個人情報晒しが、ようやく司法によって不法行為であると判定された。ネットでは「凪論」著者の勇気と奮闘が讃えられ、リベンジが喝采され、「凪論」の復活を待望する声が上がっている。雌伏2年。住所と職業を暴かれ、勤務先に押しかけられ、ブログとTwの閉鎖に追い込まれながら、裁判を準備し、弁護士費用を用立て、支援者もなく一人で闘いを続けることは、本当に大変なことだっただろう。個人情報を晒され、ネットで集団リンチにかけられる遭難は、何より家族に迷惑がかかる。本人だけの問題では済まない。野間易通としばき隊の暴力の毒牙にかけられた者は、こうして泣き寝入りし、戦うことを諦めてネットから次々と消えて行った。戦い続けると家族に被害が及ぶからである。しばき隊には組織がある。顧問弁護士がいる。朝日やAERAや東京新聞がついている。小熊英二の威光があり、論壇とアカデミーを押さえている。
左翼リベラル業界の支持がある。共産党がついていて、党員がしばき隊のTシャツを購入して売上を献上している。2年間、不遇の中でしばき隊の暴力と苛虐に屈服せず、臥薪嘗胆を貫いた「凪論」著者の意地と闘志は評価されるべきだろう。この判決を出した静岡地裁の裁判官は3名である。ベテランの男性が2名いて、1名が裁判長を務めている。残り1名は新人に近い若い女性だ。ここからは私の想像だが、気の滅入る証拠ツイートのガリンペーロ作業は、この女性裁判官の担当になったのではあるまいか。彼女は訴状に添付されたTwのゴミの山を精読し、暴力の密林と荒野に分け入って探査しながら、率直に「これは酷い」と思ったはずだ。そして、朝日やAERAや東京新聞で正義の英雄として持ち上げられている「社会運動家」の像と、ネットで蛮行を恣にしているゴロツキの実像とを見て、その乖離と矛盾に驚いたことだろう。「前提事実」と総括部分の二つに同じ事実が書かれていて、それが判決論旨のキーになっていることを考えると、私の推測は当たらずとも遠からずではないかと思う。通常であれば、こんな泥くさい精神的重労働をやって、20万円程度の名誉毀損の有無を審理判定するなど誰もやりたくないから、さっさと条件の相談をしませんかと示談を持ちかける。だが、「凪論」が信念を貫き、裁判官が粘り強くTwのヘドロの山を踏破し、不法行為認定の判決となった。
社会正義が実現されるときというのは、こういうドラマと瞬間を言うのだろう。野間易通のネットでの治外法権は剥奪された。
by yoniumuhibi
| 2016-05-24 23:30
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