JR東日本、Suicaをデジタルプラットフォームとするため今後10年間でのSuicaの機能グレードアップを発表

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2024/12/12 06:30

 JR東日本は、中長期ビジネス成長戦略「Beyond the Border」にもとづき、Suicaをデジタルプラットフォームとするため、今後10年間にてSuicaの機能を順次グレードアップする。Suicaは「移動のデバイス」という今までの当たり前を超え、交通、決済だけでなく、地域のユーザーのさまざまな生活シーンで利用できる「生活のデバイス」に生まれ変わる。

 2026年秋ごろにはモバイルSuicaアプリによるコード決済機能などの新しい決済体験、2028年度にはユーザーに応じた割引やクーポンなどの便利な移動体験の提供を進めるとともに、今後10年以内にはチケットやSFなどのバリューをセンターサーバーで管理するシームレスで便利なサービスの提供を目指す。

 Suicaはあらゆる世代のユーザーが利用できるユニバーサルな「生活のデバイス」として、新しい当たり前を創り、ユーザーに応じた体験価値(ライフ・バリュー)を創造し、「心豊かな生活」を実現する。

1.Suicaの当たり前を超える

 今までのSuicaの当たり前を超え、「Suicaアプリ(仮称)」のリリースをはじめ、ユーザーに応じた鉄道サービスや各種の決済機能の検討を順次進め、ユーザーに不可欠な移動、決済、地域といったさまざまな生活シーンにおける新たな体験やDXの提供を目指す。

2.今までの当たり前を超える

  • Suicaは今までの当たり前を超えて、心豊かな生活を創るためにチケットやSFのバリューをセンターサーバーで管理する新しいプラットフォーム型のシステムへの移行「センターサーバー化」を順次検討していく。

(1) 鉄道利用は固定的という当たり前を超える

  • 鉄道利用は定期券とSFという当たり前を超える。2028 年度には、新しくリリースされる「Suica アプリ(仮称)」においてセンターサーバー管理型の鉄道チケットの提供を開始する。たとえば、毎月3,000円を払うことにより、自宅最寄り駅である大宮駅を起点として、どの駅でも運賃が50%割引となるサブスク商品(割引上限あり)、鉄道の日などの記念日、駅ビルやイベントでの買い物により配信される鉄道クーポンなど、これまでにない便利なサービスが利用できるようになる。

(2) 改札はタッチするという当たり前を超える

  • 鉄道での利用にはタッチが必要という当たり前を超える。将来的にセンターサーバー化により、タッチせずに改札を通過できる「ウォークスルー改札」、改札機がない駅での「位置情報などを活用した改札」の実現を目指していく。

(3) Suica 利用エリアという当たり前を超える

  • Suicaは利用エリアのみで利用可能という当たり前を超える。2027年春頃には、首都圏(長野含む)、仙台、新潟、盛岡、青森、秋田のSuica エリアを統合し、たとえば、Suicaで常磐線を上野から仙台まで利用することが可能となる。また、Suica 未導入エリアにて、モバイルSuicaアプリで購入できる「スマホ定期券(仮称)※」が利用いただけるようになる。(※モバイルSuicaアプリで定期券の画面表示にて利用可能)
  • 将来的には「位置情報等を活用した改札」の実現により、同社全線でSuica が利用になれる。

(4) 事前にチャージという当たり前を超える

  • 事前にSuicaへのチャージが必要という当たり前を超える。センターサーバー化により、現在広く利用されているSF機能に加えて、将来的にはあらかじめユーザーのクレジットカードや銀行口座と紐づけることにより、チャージする必要のない「あと払い」の実現を目指していく。

(5) 少額決済という当たり前を超える

  • Suicaが便利なのは少額決済だけという当たり前を超える。2026年秋頃には、モバイルSuicaアプリを大幅にリニューアルし、Suicaならではの簡単&便利なタッチ決済に加え、Suicaの上限額(2 万円)を超える買い物にも利用できるコード決済機能、たとえば家族、友だち同士でバリューを送ったりする電子マネーを送る&受け取る機能、お得に買い物できるクーポン機能、地域限定のバリューの発行など、さまざまな機能が追加される予定。
  • これにより、モバイルSuicaはさらに便利になり、年齢問わず「日常も旅先も、これさえあればいい」、そのようなユニバーサルな決済ツールへと進化していく。

3.新しい当たり前を創る

(1) 各地域に根差した新しいSuicaを創る

  • 現在、自治体と同社のMaaSの連携にて実現している移動と地域のDXモデルを地域連携ICカードとの統合により拡張し、各地域に根差した「ご当地Suica(仮称)」を創り、地域の生活における新しい当たり前にしていく。このサービスは「Suica アプリ(仮称)」をベースとし、マイナンバーカードとの連携により、地域内の生活コンテンツ、サービス(地域割引商品、デマンドバスなど)、商品券や給付金の受け取りや行政サービスの利用を実現する。これによりあらゆる生活シーンをDX し、地域が抱える課題を解決していく。

(2) ユーザーの生活に徹底的に根差したSuicaを創る

  • 移動や生活シーンにてSuicaを利用したデータを活用することにより、たとえば旅行時に新幹線が到着したらタクシーが待っていたり、帰宅時にお風呂が沸いていたりする「おもてなし」サービスや、ユーザーの健康状態に合わせた食事のレコメンドをする「お気遣い」サービスを実現することで、広くユーザーの生活をサポートする。

(3) 訪日外国人がシームレスにご利用できるSuicaを創る

  • 2025å¹´3月に海外からのユーザー向けの「Welcome Suica Mobile」(iOS)サービスを開始します。 日本入国前にアプリのダウンロードやSFチャージを可能※とし、成田および羽田空港からJR 線や東京モノレールほかの鉄道各線をシームレスに利用できる。(※各国の法規制により一部機能が制限されるケースがある)
  • さらに2025年秋には「JR東日本の新幹線eチケット」や「在来線特急のチケットレスサービス」を、2026年春には中央線をはじめとした普通列車グリーン車もこのアプリから簡単に利用できるようにグレードアップする。
  • 将来的にはセンターサーバー化により海外からのユーザーにもウォークスルー改札や同社全線でのSuicaの利用が当たり前にできるようになり、さらなる利便性の向上を行っていく。

(4)他交通事業者へのSuicaサービスの提供

  • 2024å¹´11月にモバイルSuicaにて新たに開始した「東京モノレール区間の定期券(通勤定期券)」と同様に他交通事業者の定期券発売サービスを行っていく。2026 年春頃には通学定期券への拡大も行っていく。
  • 同社は他交通事業者と協調、共生を行い、社会における持続可能な交通系IC乗車券システムの実現に貢献していく。そのためにセンターサーバー化によりSuicaサービスを共通プラットフォームとして構築し、ほか交通事業者のシステム導入や更新時におけるコストを抑え、ニーズに応じて利用できるようにしていく。
  • 将来的にはこれらのSuicaサービスを、モビリティを含めたTOD・スマートシティ開発のひとつの機能として位置づけ、海外マーケットへの拡大を目指していく。