聖職者による性的虐待の被害者の証言を目の前で聞いた教皇フランシスコ Photo: Alessandra Benedetti / Corbis via Getty Images

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ニューヨーク・タイムズ(米国)

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Text by Elisabetta Povoledo

プロのバリトン歌手であるローレンス・ジアンは、世界中の名高い歌劇場で歌ってきた。だから、バチカンにあるサン・ピエトロ大聖堂の絢爛豪華さにひるむこともとくにはなかった。

しかし、彼の登場を強烈な体験へと変えたのは、教皇フランシスコや大勢の司教と枢機卿も含む聴衆にジアンが伝えに来たメッセージだった。ジアンは少年時代、ある司祭から性的虐待を受けたと語ったのだ。

10月1日の夕方に開かれた厳粛な儀式のなかで語ったことは、「私自身の魂の旅にとって、素晴らしいものでした」とジアンは翌朝、ローマの宿泊先で、取材に応えて語った。教皇フランシスコはその儀式のなかで、これまで犯されてきた数多くの罪の赦しを請うたのだった。

バチカンの広報官によれば、聖職者による性的虐待の被害者が、大聖堂での正式な祈りの集いで語ったのはこれが初めてだという。

現在63歳のジアンは、11歳の少年だった頃、南アフリカの寄宿学校である司祭から数ヵ月にわたって性的なグルーミングを受けた。そしてある朝、「沈黙の叫びのなかで、どんな子供からもけっして奪われるべきでないものを、彼は私から奪った」とジアンは言う。
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