Photograph by Svet Jacqueline for WSJ

Photograph by Svet Jacqueline for WSJ

ウォール・ストリート・ジャーナル(米国)

ウォール・ストリート・ジャーナル(米国)

Text by Benoit Faucon

ロシアがウクライナで行う戦争は、爆撃や銃撃だけでなく、それと並行して経済戦争を活発に展開している。

その最前線は、ロシア支配下にあるウクライナの農地だ。ロシアとそのパートナーたちは盗み出した約10億ドル(約1400億円)の穀物を、急拡大する闇市場で売りさばいている。

ウクライナに侵攻したロシア軍は2022年以降、欧州屈指の肥沃(ひよく)な農地の一部を占領している。ロシア軍は収穫物を押収したり、(大抵は強制的に)安く買いたたいたりしている。

このビジネスには、ロシアの戦時利権システムの恩恵にあずかる幅広い顧客のネットワークが関与している。侵攻の装備を提供するロシアの造船所をはじめ、イラン革命防衛隊(IRGC)の関連企業、シリアやイスラエルと貿易を行うクリミア半島の実業家などだ。別の1社はアラブ首長国連邦(UAE)経由で販売している。

略奪したウクライナの穀物を取引することで、ロシアは経済的圧力が強まる中でも、同盟関係にある国々を資金で潤し、ロシアへの忠誠心を保つことが可能となる。それはロシア大統領府の目的に役立つ一種の簿外資金調達手段となっている。
残り: 2788文字 / 全文 : 3272文字
無料会員になると記事のつづきが読めます。

さらに有料会員になると、すべての記事が読み放題!

無料登録で「特典」を利用しよう

無料会員に登録すると、毎月2本まで

プレミアム会員限定記事が読めます。

プレミアム会員について詳しく見る

オススメのプレミアム記事

読者のコメント 0
コメントを投稿するには会員登録が必要です。
クーリエのプレミアム会員になろう クーリエのプレミアム会員になろう
ウォール・ストリート・ジャーナル(米国)

ウォール・ストリート・ジャーナル(米国)

おすすめの記事

loading

表示するデータはありません。

注目の特集はこちら

loading
    • {{ item.type }}
    • UPDATE

    {{ item.title }}

    {{ item.update_date }}更新 [{{ item.count }}記事]

表示するデータはありません。