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「AIが雇用を奪う」リスクは度々語られるが… Illustration: Getty Images

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ニューヨーク・タイムズ(米国)

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Text by Steve Lohr

デイヴィッド・オーターは、AIを楽観視するとは思えない人物だ。マサチューセッツ工科大学(MIT)で労働経済学を研究するオーターは、テクノロジーとグローバル化が専門性や経験のない「ミドルスキル労働者の雇用」を脅かしてきたと、これまで指摘してきた。

だが彼はいま、「生成AIの波」がこうした中間層にある人たちの雇用を後押しする可能性があると述べる──その理由とは?

AIが「エリート専門職」を開放する理由


2024年2月、デイヴィッド・オーターは米誌「ノエマ・マガジン」で発表した論文で次のように書いた。

「AIはうまく利用さえすれば、自動化とグローバル化によって空洞化した米国労働市場の要である中間層の復活に、一役買う可能性があります」

そしてオーターは、医師や弁護士、ソフトウェアエンジニア、大学教授といった専門知識をもつ高所得エリート層の仕事の一部を、より多くの人が担えるようになると説く。

大卒以外の労働者を含む多くの人がさらに価値の高い仕事に就けるようになれば、所得が増え、中流層の仲間入りをする人も増えるというわけだ。

「AIで雇用は奪われる」と聞くが…


オーターは研究のなかで、1970年代以降の30年間は大卒労働者への需要が高まったが、その主な理由にコンピュータ化を挙げている。

ほかの経済学者らは、オーターのこの論説について、刺激的ではあるものの、あくまで推論にすぎない思考実験だととらえている。

カリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクールのローラ・タイソン教授はこう述べる。

「彼の仮説は起こりうるシナリオのひとつにすぎません。AIが生産性の向上をもたらすという点では広く意見が一致していますが、それが賃金と雇用にどう反映されるかはまったくわからないのです」

AIが需要を拡大させる分野とは?

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