小笠原諸島の父島から望む無人島の東島 Photo: John S Lander/LightRocket via Getty Images

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エコノミスト(英国)

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日本の地図を描けと言われれば、北海道、本州、四国、九州の四島のみを描く人が大半だろう。だが、英誌「エコノミスト」は、本土から遠く離れた数多くの離島こそが日本の海洋力を支えていると論じている。

遠くから見ると、日本列島はごくわずかな島々で構成されているように見える。だが近づくにつれて、多くの島々が見えてくる。まるで習字の筆から墨汁を垂らしたように、地図上に点々と散らばっているのだ。

日本にはおよそ1万4000の島があるが、そのうち人が住んでいるのは400程度だ。それらの本土から遠く離れた「離島」と呼ばれる島々が、日本の国境を定めている。時には本当にちっぽけな、ごく小さな島々だが、それらが一体となることで海洋国家としての日本のアイデンティティを形成し、その海洋力を支えている。

離島はとかく見過ごされがちな存在だ。日本の人口1億2500万人のうち、本州、九州、四国、北海道、沖縄の5島以外に住む人は1%にも満たない。日本の国土に占める割合も2%程度だ。

だが、離島は排他的経済水域(EEZ)の半分を占めており、日本が海上で国土規模以上の優位性を発揮するのに役立っている。日本は国土面積は世界で62位だが、海域面積では第6位なのだ。離島の海岸線(日本全体の海岸線の20%)を合計すると、ブラジル全体のそれよりも長い。さらに離島は、文化的・生物学的多様性の宝庫でもある。

だが、この地味ながら重要な島々は大きな圧力に直面している。本州北岸に位置する佐渡島や北海道に近い利尻島などでは、人口構造が変化し、コミュニティの空洞化が目立つ。

気候変動の脅威は、既にサプライチェーンが脆弱な小笠原諸島のような島々に脅威を与えている。グアムとの中間に位置する小笠原諸島は、本土との連絡をフェリーに頼るしかない。台湾と九州の間に位置する南西諸島では、島民が台湾有事に備えて飛行機での避難計画を立案中だ。

本土に近い離島には、何世紀も前から日本人が暮らしてきた。佐渡島を訪れた人は何十棟もの茅葺き屋根の能楽堂を目にすることができるが、これは15世紀初頭にこの島に流された能楽師、世阿弥元清の影響を示すものだ。
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Translation by Naoko Nishikawa

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