Photo: Jessica Kourkounis / Getty Images

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ファスト・カンパニー(米国)

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Text by Talib Visram

2015年にノーベル経済学賞を受賞したアンガス・ディートンが、新著『米国の経済学 移民エコノミストが探る不平等の国』(未邦訳)を10月に上梓した。

米誌「ファスト・カンパニー」は同書を「経済学者にとって耳が痛くなる一冊」と称した。ディートンが、自身を含む経済学者やその助言を受け入れた大統領たちが犯した「過ち」に切り込んでいるからだ。

彼が「格差を招いたのは経済学者だ」と、自らのレガシーにまで疑問を投げかける理由とは──。


格差は研究対象ですらなかった


──米国に移住したそもそもの理由を教えてください。

あまり高潔ではない理由です。米国のほうが給料が高かったからです。当時はお金に困っていましたから。若かったし、小さい子供が2人いた。彼らの母親は早くに亡くなっていて、家計が苦しかったのです。米国なら不自由なく暮らしていけるのではないかと考えました。

それに英国の経済学者の界隈では当時、真にやりがいのある研究ができるのはやはり米国だという雰囲気があったのも事実です。ノーベル経済学賞を受賞した一流経済学者はたいてい米国で研究していました。

──しかし、米国で実際に不自由なく暮らしている人はあまりいません。それに、あなたが経済学者になられたころは、「格差」が本格的な研究テーマだと口にすることさえ憚られたそうですね。
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