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マクドナルドは、2021年に米国の歌手スウィーティーとタイアップした限定メニューを発表した Photo:  Jerritt Clark / Getty Images

マクドナルドは、2021年に米国の歌手スウィーティーとタイアップした限定メニューを発表した Photo: Jerritt Clark / Getty Images

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MITスローン・マネジメント・レビュー(米国)

MITスローン・マネジメント・レビュー(米国)

Text by Marcus Collins

米マサチューセッツ工科大学(MIT)の経営大学院が発刊するビジネス誌「MITスローン・マネジメント・レビュー」に、「大衆という神話」と題された記事が掲載された。

中立的な層におもねっても振り向いてはもらえない──記事にはこう書かれている。マーケッターたちは大衆を追いかけるのではなく、ファン層に向けたメッセージを送るべきというわけだ。行動を起こし、周りにブランドを拡散してくれるのはいつでもファンたちだからだ。

マクドナルドの事例をもとに、これからの時代のマーケティングを再考してみよう。

マクドナルドに訪れた危機


マクドナルドは昔から、食生活の不健康さを象徴する食べ物と思われてきた。肥満や高血圧を加速させているのはマクドナルドだ、というように。

同社はこの良からぬイメージを払拭しようと、10年以上も戦略を繰り広げてきた。新メニューを開発してアピールし、現代の食生活のトレンドに寄せた健康的なメニューを提供してきた。だが、効果はゼロだった。売り上げは年々減少し、ブランドイメージは悪化の一途をたどった。

そこでマクドナルドは、ついに反撃に出た。マクドナルドを毛嫌いする反対派を懐柔したり、好きでも嫌いでもない中立派の心をつかもうとしたりするのをやめたのだ。批判にもめげずにマクドナルド好きを公言するファンに力を注ぐことにしたのだ。

“開き直ったマーケティング”で一変


まず、マクドナルドは「マック好き」を公言するセレブと提携開発したメニュー「フェイマス・オーダーズ」を販売した。ヒップホップ界の大御所トラビス・スコットや、Kポップの大スターBTSなどとタッグを組んだ。

また、ファンが好む商品の組み合わせをそのまま公式メニューとして導入した。このようにファンの人気メニューを押し出したところ、もともとのファン層の消費が増えた。そればかりか、マクドナルドの素晴らしさを口コミで広めたいとファンが意欲的になったのだ。

その結果、同社の2021年の全世界売り上げは2018年比で10.4%増加。マクドナルドから遠ざかっていた客層も戻りはじめた。その4分の1超はフェイマス・オーダーズが目的で、実に1年以上ぶりの来店だったという。

ブランド・マーケティングの悪い手本だったマクドナルドはたちまち、見習うべき手本へと一変し、優れた広告効果をあげた事例に数えられるようになった。


中立派に媚びる必要はない

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