ユヴァル・ノア・ハラリ 歴史学者。イスラエルのヘブライ大学教授Photo: Getty Images

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デイリー・テレグラフ(英国)

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Text by Harry de Quetteville

急速な勢いで成長し続けるAIの危険性に、ベストセラーとなった『サピエンス全史』の著者ユヴァル・ノア・ハラリは警鐘を鳴らす。ハラリが描くディストピアとは。


イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ(47)にとって、人間が作り出す“物語”は非常に重大な要素だ。語り(ナラティブ)には形がない。だが、ときに大洋を超えて人間特有の能力を押さえつけたり団結させたりするのは、この無形の語りだ。

彼は著書『サピエンス全史』で、この無形の語りを考察の中心に据えた。約10年前、本書の英語版が出版されるとベストセラー入りし、ハラリを現代の予言者的地位へと押し上げた。だからなのだろう。ハラリは、物語の創作に長けた人類に挑む勢力が台頭しつつある現状を心の底から懸念する。その勢力とは、人工知能(AI)だ。

「これは歴史上初の、物語を生み出すテクノロジーです」と、ハラリは語る。

ハラリは宗教、金融、国家などの“物語”に対する我々の集合的信仰こそが、人類に地球の支配者としての力を与えたのだという。たとえば、もしポケットのなかの5ポンド紙幣を見た店員が、ただの青い紙としか受け取らなかったら、その5ポンドにどんな価値があるのだろうか?

現代のAIは、その種の魔法をかけることができる。それは偉大なる善にも、とんでもない悪にも進む可能性がある。かつては遠い未来の机上の理論のように思われていたテクノロジーが、ふと気づけば現実のものになりつつある。
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