サイロシビンはマジックマッシュルームに含まれる主要な活性成分だPhoto: Yarygin/Getty Images

サイロシビンはマジックマッシュルームに含まれる主要な活性成分だ
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ガーディアン(英国)

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Text by Ian Sample

マジックマッシュルームに含まれる幻覚作用のある化合物サイロシビンが、心理療法と併用されれば、重度のうつ病を緩和するのに役立つかもしれないことがある臨床試験で示された。既存の抗うつ剤が効かなかった人にとっては、期待が高まる結果だ。

被験者となった重度のうつ病患者たちのなかで、サイロシビン25ミリグラムが入ったカプセルを1錠服用したのちに、心理療法を複数回受けた被験者の3分の1近くが、すみやかな寛解を示したと研究者らは述べている。この心理療法の目的は、患者がうつ病の原因やありうる解決策を見出す手助けをすることだという。

うつ病に対するサイロシビンの効果を見るものとしてはいまのところ最大規模であるこの臨床試験の結果は、「抜群」だった──そう評するのは、欧米22ヵ所で実施されたこの試験を主導したメンタル・ヘルスケア企業「コンパス・パスウェイズ」最高医療責任者のガイ・グッドウィン教授だ。

治療抵抗性うつ病を患っている人は、世界におよそ1億人いるとされている。少なくとも2つの抗うつ治療の効果がなかった大鬱病性障害と定義される治療抵抗性うつ病の患者の半数ほどが、日常作業をこなせずにいる。

「治療抵抗性うつ病患者の寛解率は通常10〜20%です。一方、今回の被験者たちの寛解率は3週間で約30%と、非常に申し分のない結果が出ています」とグッドウィンは言う。

長期的な効果も見られる


キングス・カレッジ・ロンドンでの臨床試験に携わった精神科医のジェームズ・ラッカー博士によれば、治療抵抗性うつ病は患者と周りの人たちに「途方もない」負担をかけるものであり、イギリスでは1年で総額39億ポンド(約6600億円)のコストがかかっているという。

今回の後期第2相試験では、治療抵抗性うつ病の患者233人が募集され、「Comp360」と呼ばれるサイロシビンの合成物質が1ミリグラム、10ミリグラム、もしくは25ミリグラム入った1錠のカプセルのどれかを服用するよう無作為に割り振られた。
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