Photo: Chev Wilkinson / Getty Images

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ブルームバーグ(米国)

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Text by Matt Robinson

不貞行為と不正行為には強い相関関係がある──と聞いたら意外だろうか、それとも納得するだろうか。この関係を真面目に調査した金融学教授たちの論文が、「米国科学アカデミー紀要」に掲載された。調査したデータは、不倫サイト「アシュレイ・マディソン」からハックされたユーザー情報だ。そもそもそれは倫理的なのか? 米経済メディア「ブルームバーグ」が報じた。

不倫サイトのデータを分析?


配偶者に対する不貞行為は、職場での不正行為と密接に関係している。

最新の挑発的な学術調査の結論だ。この調査では、企業幹部・財務顧問による不倫と職場での不正行為の強い相関関係が見出された。

この調査は、意外なやり方で実現した。テキサス大学オースティン校とエモリー大学の金融学教授らが、「アシュレイ・マディソン」顧客を分析できてしまったのだ。あの、浮気、もしくは「人目を忍ぶ出会い」を求める既婚者のための出会い系サイトだ。

こんな調査が可能となったのは、同サイトの3000万人超のユーザー名と個人データが、2015年のコンピュータハックで暴露されたからだ。

研究者は、ユーザーのうち特定の4集団を調査した。ブローカー、企業幹部、ホワイトカラー犯罪者、警察官の計1万1000人だ。

公的記録と照合したところ、これらのアシュレイ・マディソンの顧客が、職業上の行動規範に違反する可能性は、対照群の2倍以上高いことがわかった──と執筆者のジョン・グリフィン、サミュエル・クルーガー、ゴンザロ・マトゥラーナらは述べている。

「ある文脈での不正行為が他の文脈での不正行為に引き継がれることを我々の研究は示している」とウォール街での違法行為調査を専門とするグリフィンは言う。

「倫理を論じるとか、人々を諭すつもりはない。我々はただデータを分析しているだけだが、そのデータはきわめて強力だ」


#MeToo時代には私生活も問われる


企業の役員室では、これまでずっと「禁句」とされてきた会話のネタがあった。役員の私生活だ。もちろん、それも「#MeToo」時代に突入する前までのことではあるが。今回の発見は、この時代の流れに結びつくものだ。

結果は、4職業すべてで、きわめて一貫していた。たとえば、2010〜15年のあいだ、米国証券取引委員会から証券法違反で告発された個人の4.1%が、アシュレイ・マディソンの有料アカウントを持っていたことがこの調査でわかった。

一方、対照群で有料アカウントを持っていたのは1%だった。対照群は、同様の職歴があっても不正行為で告発されていない人々の集団だ。

Photo: Chev Wilkinson / Getty Images


アカウントを持っていたCEOとCFOは、2008〜2014年のあいだ、金融上の虚偽表示に関与したか、もしくは証券訴訟で共同訴訟の的になった可能性が2倍高かった。

不貞するブローカーは、金融取引業規制機構の管理する記録に汚点を持つ可能性が対照群よりも高かった。


そのデータ使用は倫理的か?


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