若者の経済的不満による「テストステロン投票」がトランプに勝利をもたらした

彼女が負けた理由を議論するよりも、彼が勝った理由を考察する方が興味深い。わたしたち左派は「彼は僅差で国民投票に勝っただけだ」とか「ウィスコンシンはたった3万票差だった」といった言葉で自らを慰めようとするが、現実にはドナルド・トランプはカマラ・ハリスを完膚なきまでに打ち負かした。

トランプは初めて国民投票で勝利し、7つの激戦州すべてを制した。これは政治的な地震であり、従来型メディアと戸別訪問を20世紀の遺物に変えた。トランプはラテン系から13ポイントを獲得し^※1、その衝撃はカリフォルニアの選挙戦にまで及んだ。その余震は今後4年間（そしてそれ以降も）続くことになるが、震源地は明らかである。

社会契約の崩壊



国民投票で51対48の僅差だったにもかかわらず、米国人の4分の3が一つのことで意見が一致している^※2。それは、わたしたちは間違った方向に進んでいるということだ。これは今世紀のほとんどの期間における政治的現実であり、高い不満度が一連の「変革」選挙をもたらしてきた。

その理由は、有権者たちがミレニアル世代とZ世代がブーマー世代やX世代の親たちほど豊かではないことを認識しているからだ。例えば、1981年の住宅購入者の年齢中央値は38歳だったが、今日では54歳に達している。



2024年の政治的地震の震源は、移民問題でも、身体の自己決定権でも、民主主義でもなかった。それは米国とその市民との間の社会契約だった。この契約は単純明快だ。懸命に働き、ルールを守れば、あなたの子どもたちはあなた以上の生活を送れるというものである。しかし、250年間で初めて、この契約が破られたのだ。

「T」大統領



地震の瞬間、わたしたちが信じている大地の堅固さなど幻想に過ぎない。この事実をわたしは1971年、シルマー地震がロサンゼルスを壊滅させた時に痛感した。プレートの動きは普段、年にわずか数センチメートルで、その存在すら気付かれない。

しかし一旦滑り出せば、足元の地面さえ引き裂くほどの凄まじいエネルギーを解き放つ。プレート同士が出会い、圧力が蓄積され、やがて断層線で破壊が起きる。この選挙で言えば、その震源は米国の社会契約であり、断層線は男らしさだった。