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富士通、2023年度の連結業績は増収減益 Uvanceを中核としたサービスソリューション事業は好調
中期経営計画の進捗についても説明
2024年4月26日 00:00
富士通株式会社は25日、2023年度連結業績を発表。そのなかで、2025年度を最終年度とする中期経営計画の進捗について説明した。
2023年度に売上収益で3000億円を目標としていたFujitsu Uvanceは3679億円となり、計画を上回る伸長をみせていることを強調した。また、Fujitsu Uvanceを中核とするサービスソリューション事業では、2023年度実績で調整後営業利益率が11.1%に達しており、2024年度にはさらに投資を拡大しながら、これを12.6%に引き上げ、2025年度の15.0%の達成に向けて着実に進捗していることを示した。
富士通 代表取締役社長 CEOの時田隆仁氏は、「従来のプロダクトおよび請負型SIを中心とする事業形態から、テクノロジーをベースに新たなアイデアを生み出し、次の成長につなげる価値をお客さまに提供する事業モデルへの変革を目指し、さまざまな改革を進めている」と、中期経営計画の基本的な方針について説明。
「サービスソリューションの事業比率は年々増加している。クロスインダストリーでSXに貢献するという新たな発想から生まれたFujitsu Uvanceも、お客さまとの実践例がグローバルに生まれており、手応えを強く感じている。地球環境問題の解決、デジタル社会の発展、人々のウェルビーイング向上に、事業を通じて取り組みながら、富士通自身がサステナブルに成長する企業になることに取り組めている」と、進捗状況について語った。
同社では2025年度の目標として、売上収益は4兆2000億円、調整後営業利益は5000億円、コアCFCは3000億円を計画。さらに、主力となるサービスソリューションでは、売上収益で2兆4000億円、調整後営業利益は3600億円を目標にかかげている。さらに、Fujitsu Uvanceの売上額は7000億円を計画。サービスソリューションに占めるFujitsu Uvanceの売上比率は30%を目指している。
3つの観点から進捗を説明
時田社長 CEOは、「事業モデルと事業ポートフォリオの変革」、「お客様のモダナイゼーションの確実なサポート」、「海外ビジネスの収益性向上」の3つの観点から進捗状況を説明した。
「事業モデルと事業ポートフォリオの変革」では、「従来型のSIから、Fujitsu Uvanceを中心にしたオンクラウドやビジネスアプリケーション、クロスインダストリーへの変革を進めている。2022年度は、DXを支えるテクノロジーやソリューションを提供するHorizontalの売り上げが中心だったが、2023年度はSustainable ManufacturingやConsumer ExperienceといったVerticalのオファリング強化を進め、Verticalの構成比が30%を超えた」と述べた。
2023年度は37種類のオファリングをリリース。AIプラットフォームであるFujitsu Kozuchiを22種類のオファリングに活用したという。今後は、AIを活用したオファリングを拡大。Fujitsu Uvance全体で、2024年度には64種類のオファリングがそろうことになることも明らかにした。
また、新たなコンサルティングサービスであるUvance Wayfindersの拡大、海外での本格展開を見据えたグローバル共通サービスの拡充も図る考えも示した。
時田社長 CEOは、Fujitsu Uvanceの狙いについて、あらためて言及。「Fujitsu Uvanceは、ソリューションのブランドではなく、新たな事業モデルである。Fujitsu Uvanceの価値がお客さまに理解されていることが大きな成長につながっている。それは、データ活用によって企業活動が変わり、サステナブルな経営に向かうことになる、という価値である」とした。
また、「これまでのソリューションとは売り方がまったく異なる。カタログを持って情報システム部門に、富士通の営業部門が売りに行くというスタイルではない。神奈川県川崎市の富士通本社には、Fujitsu Uvanceを体験できるゾーンを作り、お客さまのCEOやCDO、サステナビリティオフィサーなどに対して、私を含めた富士通の経営トップや、富士通研究所のトップが、直接効果を訴える手法を用いている。リアルのデータをお借りして、実際の効果を体験してもらうことになる。海外でも同じ手法を採用している。今後、富士通が拡充するコンサルタントが、お客さまのトップに向かって、しっかりと伝えていく仕組みを構築することが、Uvanceの事業拡大につながる」と述べた。
新たに開始したコンサルティングサービスであるUvance Wayfindersについては、「社会が複雑性を増すなかで、企業は答えがない道を探っている。ICTを活用し、新たな事業価値を生み、事業を成長させることへの関心が高まり、経営とICTのリンクはますます強くなる」と前置き。
「富士通は、テクノロジーを有する企業として、お客さまのパートナーとして相談に乗り、導き、一緒に道を探っていくことができる。ビジネスコンサルティングに加えて、もともとの強みであるテクノロジーによるコンサルティングを組み合わせることで、新たな事業機会の創出を狙う。12万4000人の社員を擁する富士通には多様な人材が世界中にいる。その10%はコンサルタントとしてお役に立てる素養を持つことになる。生まれるアイデアを、コンサルティングノウハウとして提供し、機会を創出し、クロスインダストリーによって、多くの企業に仲間になってもらい、スケールを作り、事業を拡大する。Fujitsu Uvanceの先導役となるのがUvance Wayfindersである」と位置づけた。
2つめの「お客様のモダナイゼーションの確実なサポート」では、国内市場を中心にモダナイゼーションビジネスが順調に拡大していることを強調。2023年度はデマンドに対するリソース要件の可視化のほか、モダナイゼーションナレッジセンターによる商談およびプロジェクト推進の効率化、グローバルパートナーとの連携によって実績があるツールを提案する活動を行ったという。
「2024年度以降も、既存システムのモダナイゼーションのデマンドは継続すると予想している。可視化されたリソース要件をベースに、商談状況に応じて機動的なリソースのアサインを行い、確実に、効率的にプロジェクトを遂行する。また、モダナイゼーションに必要なスキルを保有する人材を継続して拡充し、ビジネスの変化に対応しながら、クラウド化やDXを見据えたモダナイゼーションをサポートしていく」と語った。
3つめの「海外ビジネスの収益性向上」については、海外ビジネスの調整後営業利益率が1.7%にとどまっていることに触れながら、「依然として採算性が課題になっている」と反省。だが、「事業ポートフォリオの変革などにより、回復を見込んでいる」と述べた。
Americasは事業ポートフォリオの変革が順調に進展。サービスビジネス比率の割合が増加しており、利益率が改善傾向にあるという。Europeではドイツにおけるプライベートクラウド事業のカーブアウト、採算性が低い地域からの撤退、サービスビジネスとハードビジネスの分離による法人体系の再編を進め、2025年度には構造改革を完了する予定だという。2024年度にはEuropeにおける調整後営業利益率で4.3%を計画している。また、Asia Pacificでは、競争が激しいインフラビジネスから脱却し、ビジネスアプリケーションなどのサービスビジネスにシフトするための構造改革を検討しているという。
「いずれも地域においても、Fujitsu Uvanceを中心としたサービスビジネスへのシフトを進めていく」と述べた。
サービスソリューションの収益性向上の取り組み
さらに、時田社長 CEOは、サービスソリューションの売上総利益率改善に向けて、デリバリーの変革と、顧客への提供価値に基づくプライシングの導入を進めていることにも触れ、「GDC(Global Delivery Center)の人員拡充により、内製化率やオフショア率を向上。JGG(Japan Global Gateway)では全社共通の開発プラットフォームを活用して、開発作業の標準化や自動化を推進し、工数削減の効果が出ている。従来のコストベースの見積もりから脱却し、提供価値に基づくバリュープライシングへのシフトも進めている。2023年度からは、SAP、ServiceNowにおいて、グローバル共通のレート設定を行い、すべてのリージョンに展開している。すでに一定の効果が得られている」と語った。
こうした取り組みの結果、2023年度におけるサービスソリューションの売上総利益率は2ポイント改善し、35%となっており、「競争力のあるサービスと、お客さまにとって価値の高いサービスを提供するために必要な人材育成に投資を行い、提供価値を高める。外部環境の変化によるコスト増も加味しながら、適正なプライシングを行い、さらなる収益性と生産性向上に努める」とした。
非財務目標の進捗についても言及。スコープ3におけるGHG排出量は、ネットワーク製品の販売減少の影響があり、2025年度の12.5%の削減目標(2000年度比)を大きく上回る31%の削減を達成。1人あたりの生産性は、全社連結では落ちているが、サービスソリューションでは前年比40%以上の伸長を実現。従業員エンゲージメントは前年度と同じ69となったが、「いまは課題に着手できるものから迅速に対応している段階にある。今後、複雑な課題にも取り組むことになる。2025年度の75の目標達成に向けて努力する」と述べた。
エフサステクノロジーズの取り組み
なお富士通では、2024年4月1日付で、サーバー、ストレージなどの開発、製造、販売、保守などの機能を統合したエフサステクノロジーズを発足している。
グループ内に散在していたハードウェアに関する各種機能を集約し、ワンストップ体制を構築することで、経営判断の迅速化、徹底した事業効率の向上を追求。最先端テクノロジーをもとに、高付加価値なトータルソリューションを提供することを目指している。2024年度以降には、事業の効率化による効果創出を図ることになる。
時田社長 CEOは、「ハードウェアソリューションは、今後数年に渡って、大きな成長が見込める分野ではない。エフサステクノロジーズに統合したサーバー、ストレージ事業は、この分野に集中した戦略を独自に作れるという自由度が上がった経営ができるようになる。さまざまなオポチュニティを開拓するために、自社のIPだけでなく、他社のIPとのアライアンスを含めて価値提供を創出し、それをさまざまなお客さまに提案できるようになる。新たなポテンシャルがあると考えている」と説明。
「これまでは、富士通の業種部門との連携だけであったが、エフサステクノロジーズの新たな経営陣による新たな戦略が、これまでには成しえない新たな機会の創出につながることを期待している。また、ネットワーク事業は大口顧客であるキャリア各社のデマンドの影響を大きく受けるビジネスであり、その動きも見ても急激に回復する事業ではない。製造ラインの効率化を図り、製造の状況を注意深く見守り、キャリアとのコミュニケーションを図り、これ以上のロスが出ないように努める」などとした。
また、「富士通が進めている事業ポートフォリオの変革において、ハードウェアソリューションとサービスソリューションは区別していない」とし、サーバーおよびストレージ事業だけをグループ外に切り出す考えについては否定した。
2023年度の連結業績
一方、同社が発表した2023年度(2023年4月~2024年3月)連結業績は、売上収益は前年比1.1%増の3兆7560億円、営業利益は同52.2%減の1602億円、調整後営業利益は同11.6%減2836億円、税引前利益が同52.1%減の1781億円、当期純利益が同18.3%増の2544億円となった。
富士通の時田社長 CEOは、「2023年度は、サービスソリューションを成長の柱とする事業ポートフォリオの変革に取り組み、各種施策の効果が出ている。だが、その一方で、欧州での事業再編、ネットワークおよびデバイスの需要悪化に伴う売上減がマイナス要因になった」と総括。富士通 代表取締役副社長 CFOの磯部武司氏は、「主力のサービスソリューションは力強い増収増益となっている。PFUの事業再編影響を除くと、売上収益は前年比9.9%増になり、国内ビジネスを中心に大きく伸長している。採算性も大きく改善している。当期利益は2年連続で過去最高益を更新した。事業構造改革を進めたことによる税効果の獲得も寄与している」と述べた。
セグメント別業績は、サービスソリューションの売上収益が前年比7.7%増の2兆1375億円、調整後営業利益は同45.5%増の2372億円となった。調整後営業利益率は11.1%となっている。
「国内ビジネスは12%増となっている。DXやモダナイゼーション商談が牽引したほか、Fujitsu UvanceがSXなどの強い需要を取り込んだ。継続的な規模拡大に加えて、採算性改善が着実に進捗している。Fujitsu Uvanceのオファリング開発投資の拡大や人材への投資を進めるなかでも、10%を超える高い利益率を達成できた」(富士通の磯部副社長)。
採算性改善では353億円の効果を創出。売上総利益率は35%となり、前年度から2ポイント改善した。GDCの活用率(オフショア率)は14%となり、前年度から3ポイント上昇。サービスデリバリーの標準化や自動化、内製化を進めている効果が出ている。
サービスソリューションのうち、Fujitsu Uvanceの売上収益は、前年比84.0%増の3679億円となり、サービスソリューション全体に占める売上構成比は、前年度の10%から17%に拡大。内訳はVerticalが1163億円(前年度実績は150億円)と大きく成長。Horizontalの売上収益は2515億円(同1850億円)となった。
「2023年度にUvanceが大きく成長の背景には、GK Softwareの買収が見逃せない。これがFujitsu Uvanceのオファリングに合致した。年間で300億円程度のプラス影響があった」という。また、Uvanceの受注は、2023年度に前年比80%増の4493億円となっており、ここでも大幅な成長になっていることを強調した。
サービスソリューションにおける投資は、前年比で214億円の増加となり、Fujitsu Uvanceのオファリング開発、専門人材の育成やリスキリング拡大、人材獲得に活用。セキュリティの強化やIT基盤の強化など、成長に向けた投資も積極的に実行したという。
サービスソリューションのうち、グローバルソリューションの売上収益は前年比17.9%増の4803億円、調整後営業利益が171.7%増の137億円となった。
リージョンズ(Japan)では、売上収益が同5.7%増の1兆2621億円、調整後営業利益は44.3%増の2131億円。リージョンズ(海外)の売上収益は同3.9%増の6041億円、調整後営業利益は前年並の103億円となった。
2023年度の国内サービスソリューションの受注状況は、全体では前年比16%増と堅調。分野別では、エンタープライズ(産業、流通、小売)が前年比7%増、ファイナンスビジネス(金融・保険)が15%増、パブリック&ヘルスケア(官公庁、自治体、医療)が19%増、ミッションクリティカル(ミッションクリティカル、ナショナルセキュリティなど)が27%増となっている。
磯部副社長は、「国内ビジネスは、広い領域において引き続き好調である。基幹システム刷新やモダナイゼーション商談に加えて、SXなどによるクロスインダストリーでの課題解決に向けたFujitsu Uvanceによるオファリングをリリースできたことが貢献している」と振り返った。
エンタープライズではモダナイゼーション案件を中心に、製造、モビリティ、リーテルが牽引。ファイナンスは、メガバンクや保険での基幹システム更新やモダナイゼーション案件を多数獲得したという。また、パブリック&ヘルスケアにおいては、官公庁のシステム更改案件を複数獲得したほか、ヘルスケアでは電子カルテや医療情報システムへの投資が堅調だという。ミッションクリティカルではナショナルセキュリティの大型商談を複数獲得し、前年度の高い成長をさらに上回ったとしている。
海外の受注状況は、Europeが8%減、Americasが27%増、Asia Pacificが17%減となっている。Europeは、前年度の公共系大型商談の反動や、ドイツプライベートクラウド事業のカーブアウトが影響。Americasは、民需向けビジネスアプリケーション商談をはじめとしたFujitsu Uvanceビジネスが拡大している。Asia Pacificは、前年度の公共系大型商談の反動減が影響した。
ハードウェアソリューションの売上収益は前年比2.2%減の1兆1080億円、調整後営業利益は同25.7%減の836億円となった。そのうち、システムプロダクトの売上収益は同7.2%増の9250億円、ネットワークプロダクトの売上収益は同32.2%減の1830億円となった。システムプロダクトは為替影響により増収。ネットワークプロダクトは、国内および北米向けが前年度の高い需要の反動により減収となった。「2023年度のネットワークプロダクトは、大型需要が一巡したなかで、ネットワークの高速化、大容量化、低遅延、低消費電力の実現など、次の成長サイクルに向けた開発投資を拡充している」と説明した。
ユビキタスソリューションの売上収益は前年比4.4%減の2733億円、調整後営業利益は同178.4%増の242億円になった。「為替影響を含めた部材価格の上昇に対するコストダウンや価格転嫁が進んだことで増益になった」という。2024年4月には、欧州におけるパソコンをはじめとしたクライアントコンピューティングデバイス(CCD)事業から撤退しており、「競争環境が厳しく、採算確保が難しい事業からの撤退により、2024年度以降は、この分野からの損失が発生しなくなる」という。
デバイスソリューションは、売上収益が前年比25.2%減の2863億円、調整後営業利益は同76.3%減の183億円となった。「半導体パッケージのデマンドは、2022年度下期から減速し、低調が続いている。工場操業の低下も加わり、大幅な減益となった。だが、2024年度からは需要回復を見込んでいる」とした。なお、2024年度中には、新光電気工業の株式を譲渡する予定だ。
消去・全社では、売上収益が前年度から223億円改善したものの、マイナス491億円。調整後営業利益は前年度から388億円悪化し、マイナス797億円に赤字が拡大した。中長期的な事業成長投資を引き続き拡大しており、研究所におけるAIや量子、省電力プロセッサなどの先進的先行研究の強化と、経営基盤強化に向けたOne Fujitsuプログラムの推進、グローバルセキュリティへの投資など、経営基盤の強化を進めているのが理由だという。
2024年度通期の業績見通し
2024年度通期(2024年4月~2025年3月)の業績見通しは、売上収益は前年比0.1%増の3兆7600億円、調整後営業利益は同16.3%増の3300億円、調整後当期純利益は同4.2%減の2260億円とした。
時田社長 CEOは、「Fujitsu Uvanceビジネスの拡大、デリバリー変革などによる利益率の改善を進めながら、サービスソリューションを中心に収益性を高めていく」と述べた。
セグメント別の見通しは、サービスソリューションの売上収益は前年比4.3%増の2兆2300億円、調整後営業利益は同18.0%増の2800億円としている。調整後営業利益率は12.6%を目指す。そのうち、グローバルソリューションの売上収益は前年比10.3%増の5300億円、調整後営業利益が同45.7%増の200億円。リージョンズ(Japan)は、売上収益が同8.5%増の1兆3700億円、調整後営業利益は同12.6%増の2400億円。リージョンズ(海外)の売上収益は同10.6%減の5400億円、調整後営業利益は同94.0%増の200億円とした。
Fujitsu Uvanceの売上収益は、前年比22%増の4500億円を計画。そのうち、Verticalが1800億円、Horizontalで2700億円を見込んでいる。
磯部副社長は、「これまでの実績や受注残の積み上がり方から見ても、2024年度は1.5倍ぐらいの成長が十分狙えると、個人的には期待している。オファリングのリリーススピードをあげること、標準化率50%以上を目指すこと、提供するリソースを確保することが成功要因になる。いまの計画の一段上を狙いたい」と強気の姿勢をみせた。
Horizontalは国内外半々の比率になっているというが、国内での成長が著しく、2024年度は国内55%、海外45%を想定しているという。「主戦場としている国内大手企業に理解が進んでいることが、伸びに影響している。いまは立ち上げ時期であり、オファリングはSustainable Manufacturingから、日本の企業から、大手企業からというのが現状だが、Fujitsu Uvanceの価値が理解されるフェーズに入ると、裾野が急激に広がると見ている。価値訴求を進め、理解を深めてもらえれば、今後、富士通を支える大きな柱になる」と述べた。
ハードウェアソリューションの売上収益は前年比7.0%減の1兆300億円、調整後営業利益は同16.4%減の700億円。ユビキタスソリューションの売上収益は前年比19.5%減の2200億円、調整後営業利益は同17.4%減の200億円。デバイスソリューションは、売上収益が前年比17.0%増の3350億円、調整後営業利益は同118.3%増の400億円としている。
なお、英国Post Office向け会計システムの事案についても言及した。時田社長 CEOは、「事案によって被害を受けたサブポストマスターや、その家族、英国市民には大変な不安を与えており、そこに富士通が関わっていることは残念である。申し訳なく思っている。英国で法廷調査が進んでおり、調査はフェーズ5にある。全面的に協力している。賠償については法廷調査の結果を待って考えていくことになる。英国政府とは密なコミュニケーションを取り、どのような対応が適切であるのかを考えたい。いまは、パブリックセクターを中心に新規受注を自粛している。現時点での業績への影響は限定的であり、大きな影響を発生していない。信頼の回復に努めたい」とコメントした。
また、コンビニ証明書交付システム「Fujitsu MICJET コンビニ交付」において、高松市での誤交付が発生し、総務省から行政指導を受けたことについてもコメント。時田社長 CEOは、「高松市の市民に、不安と迷惑、心配をかけたことをおわびする。昨年来、品質改善に取り組んできたが、今回の行政指導を真摯(しんし)に受け止め、しっかりと対応をしていく。改善施策については、5月15日に総務省に報告することになっている」とした。業績への影響は限定的だとしている。