大学図書館のDVDを見ていくプロジェクト、ようやく記録が追いついてきました。
先日観たのは、映画「あの日 あの時 愛の記憶」。そのへんのメロドラマっぽい邦題ですが、そしてまあ実際、恋愛ものではありますが、見始めたら結構引き込まれました。( ´∀` )
アウシュヴィッツ強制収容所に入れられていた男女が脱出に成功するものの離れ離れになり、お互い死んだとあきらめてそれぞれの人生を歩んでいたところ、30年後に生存を確認して再会するというお話です。なんと、実話をもとにしているそう!
このあらすじ、ネタバレではありません。
映画は、1976年のニューヨークで、主人公の女性がテレビから死んだと思っていた恋人の声を聞いたところから始まるのです。
そして、早い時点で、この女性が、戦時中ナチの収容所に入れられていたこと、そこでポーランド人の恋人ができて妊娠していたこと、その恋人と収容所を決死の作戦で逃げ出したことがわかります。
つまり、観る人には、主人公とかつての恋人が生き延びたことは初めからわかっているのです。
それでも、どうなってしまうの~とハラハラする場面が続き、人間模様もやきもきさせられて面白い。
たどり着いた恋人の実家の母は、主人公がユダヤ人とわかって結婚に反対し、なんならナチ親衛隊に引き渡しそう…
この母が、いいところの奥様らしい気高さと、でも息子たち愛しさのあまり、その恋人(主人公)や長男の妻に対して持つ恨みの感情を併せ持っているのですが、それを役者さんがとても上手に演じています。
何かで見ている気がするなあと思ったら、ハネケ監督の「白いリボン」に助産師役で出ていました。ああ、あの印象的な登場人物!
↑この「白いリボン」の鑑賞記録は、検索で上位にヒットするようで、毎日アクセスがコンスタントにある記事です。
対して、密かに対ドイツレジスタンス活動をしている恋人の兄の妻は主人公にとても親切で、これまた芯の強い人。ポーランド人女性!って感じやわ~、いい役者さんやん~と思ったんですが、公式HPの主要キャストに載っていない。
方々見て確認したら、この映画より後の「Cold War あの歌、2つの心」の主演女優さんなんですね。
「Cold War」の方が、この女優さんにとっては出世作なわけですが、私は「あの日あの時~~」の役の方が魅力的に思えました。
この方、さらには、「イーダ」でも歌手役で出ているみたい。気がつかなかった。また確認してみよう。
そして、主人公の若い時を演じた役者さんも、とても魅力的。かわいくて、強くて。
と思ったら、この方も、以前に見た映画に出演されていたようです。それもまたどうやらユダヤ系ドイツ人役(たぶん)。この映画、ドイツで潜伏した生き延びたユダヤ人の人びとの映画。とても面白かったです。
女性たちの愛憎がリアルに感じたのは、監督や脚本が女性なのが効いているのかも。
現代(1976年時点)の主人公の夫がこれまたすっごくいい人なのも救い😢 理想的な夫って感じなのです。
70年代のニューヨークでインテリで優しい夫と美しく育った年頃の娘と幸せな家庭を築いている50代くらいの女性が、若い時に収容所に入れられて大変な目に遭っていたという設定にしたのも良かったと思います。
ホロコーストとか戦争を描いたものは大昔のことのように思えてしまいますが、生き延びた人にはその後も人生が続いていったこと、それほど前のことではないのだということを気づかせてくれるつくりになっていると思います。
ということで、それほどには期待していなかった作品ですが、予想外に収穫ありでした。