【コメント】カジノを含むIR事業にかかる大阪府・大阪市の区域整備計画の認定について
立憲民主党 政務調査会長 長妻 昭
国土交通大臣は、本日、カジノを含む特定複合観光施設(IR)事業にかかる大阪府・大阪市の区域整備計画を認定した。
カジノ事業については、これまで多くの問題が指摘されてきた。立憲民主党は、(1)外国人観光客の集客と採算の見通しの甘さ(2)日本人客と外国人客の割合から見た地域経済と国益の比較(3)大阪府内および大阪府外来訪者のギャンブル依存症に対する対策と責任所在の必要性(4)違法なオンラインカジノの取り締まり強化と施設型カジノ(ランドカジノ)の運営管理への懸念(5)カジノ設置による海外の犯罪組織の流入と治安悪化の関係性(6)夢洲IR区域の土壌改良による788億円の公金投入とさらなる住民負担の懸念(7)国際展示施設の大幅縮小による大規模展示会招致の実現性(8)住民投票条例の制定を求める19万2773筆の署名を無視したIR推進--などの観点から政府の方針を質し、地域住民の福祉を最優先にする選択を求めてきた。しかし、今回の認定は、上記の課題が解決されていないままの認定であり賛成できない。
今回の認定にあたって、外部有識者で構成される審査委員会の認定審査では、合計1000点中600点以上が認定の条件とされ、大阪の審査結果は657.9点で「認定し得る計画」との評価が下された。しかし配点は観光や経済効果が主眼に置かれており、一番懸念されている住民への理解促進や依存症対策の配点が少ないうえ、得点の付け方の基準も不明確であり、認定ありきの審査ではないかと疑わざるを得ない。大阪府・大阪市のIR事業にかかる区域整備計画は、十分な要件を満たしておらず、住民福祉の向上に貢献しないことが明らかであるにもかかわらず、認定されたことは誠に遺憾である。
大阪府知事・大阪市長のダブル選での調査によると、まだ45%の住民がカジノ開設に反対している。夢洲IR区域の土壌汚染・液状化問題やIR用地賃料の住民訴訟が続いているなど多くの課題が残る中で、カジノ開業に突き進むことは拙速である。立憲民主党は、認定基準をはじめこれまでのプロセスを明らかにするよう政府に求めるとともに、カジノ反対の立場で、カジノを含むIR事業の問題点や懸念点を国会審議で質していく。今後進められるIR事業者との協定締結や政府のカジノ管理委員会による審査、カジノ免許交付などの手続き過程に可能な限り関与し、カジノ開業断念に向けた取り組みとギャンブルに頼らない観光戦略や街づくりを進めていく決意である。
以上