2020年、日本政府は新型コロナの感染が広まって以降、企業に対してリモートワーク導入を要請したり、Go Toトラベル利用促進の旗振りを行ってきました。
そこで話題となっているのが「ワーケーション」。ワーケーションとはアメリカ発祥の働き方のひとつで、「バケーション」しながら「ワーク(仕事)」するという意味です。
「気になるけど、実際どうなの?」という疑問に寄り添い、今回はリアルタイムでワーケーション中のアラサー女子に、その実態について直撃インタビューしてみました。
登場人物
- アリサさん(以下、アリサ)
- 東京生まれ東京育ち、30歳・未婚。1年間の海外留学を経て現在は外資系IT企業の人事担当。リモートワーク歴5カ月。千葉の海沿いでのワーケーション歴は2カ月。
- 加奈さん(以下、加奈)
- 東京生まれ東京育ち、32歳・既婚。フリーランスと主婦の兼業。家族でロングワーケーションを開始し6カ月が経過。アリサと同じ千葉エリアで家族と暮らす。
ラプンツェルの気持ち、わかる…
―さっそくですがアリサさん、なぜ今回ワーケーションを始められたのでしょうか?
アリサ:ズバリいうと、新型コロナによる自粛生活で精神が擦れてしまって、何か新しいことを始めたい。それが根元にあったと思います。
新型コロナウイルスのパンデミック以降、仕事は完全リモートワークに切り替わり、誰からも邪魔されることなく業務を進められるし、自炊する時間も確保できる。なんといっても夢の「脱・満員電車だ!」と喜びの舞だったのですが、リモートワーク3カ月目からさまざまな心境の変化が起こってきました。
―もしかして、「コロナ疲れ」ですか?
アリサ:まさにそうですね。比較的アクティブな性格なのですが、まずはメンタルが少しやられてしまって。
具体的にいうと、リモートワーク導入当初は新型コロナ感染者の第1波の過渡期で、状況を把握しようとメディアに釘付けだったのですが、先行きの見えない不安だけが膨張していってしまいました。
それと、新型コロナ感染防止のために外部との接触をなるべく避けて生活をしていたので、人とのコミュニケーションが最低限となり、ルーティン化したリモートワークで社会との隔たりを感じてしまって。
さらには、減る運動量と増える体重。そこに追い打ちをかける、なかなか開けない梅雨。「いまならディズニー映画『塔の上のラプンツェル』の気持ちが心底理解できる」そんな気持ちでいっぱいでした。
―新型コロナパンデミック下のリモートワーカーの典型的な意見かもしれないですね。それでワーケーションを開始したのですね。
アリサ:割と私は新しい挑戦が好きなのと、いまの環境で挑戦できるのは居住地を変えることくらいかなと思い、今年の6月ごろに「どこか素敵な場所にマンスリー契約で部屋を借りてみよう」と思い立ったのが始まりです。
そのころはまだGo Toトラベルの話題もさほど注目されていなく、メディアから聞こえる「ワーケーション」のワードもちらほら程度。勤務地を考慮する必要がないのだから、1カ月くらいほかの場所で滞在してみようかな、というノリ程度でした。
―具体的に滞在先はどのように決めたのですか?
アリサ:滞在先の条件としては、問題として挙げていた運動不足を解消するために、趣味であるサーフィンができる場所、割と都心からアクセスしやすい場所、一度足を運んだことのある場所の3点を挙げました。
知り合いのいない未開の地に足を踏み入れることは、社会人を経験したあと海外に1年住んでいたこともあって抵抗はなかったです。
しかし、いままで地方暮らしをしたことがなかったので、その生活様式になじめるかが不安だったのと、急遽出社になった際でも対応できるようなロケーションが理想だなと考えていました。
―訪問歴のある場所は空気感もつかめて安心ですよね。
アリサ:そうですね、私のなかではこの点はかなり重要でした。
上記の条件でソートを掛けると湘南・葉山・伊豆・千葉と候補が上がり、「どうせだったら延期となった東京オリンピックのサーフィン会場の近くなんてどうかな」と思い調べてみました。
すると、東京駅から特急で1時間の好アクセス、マンスリー賃貸の家賃もサーフィンのメッカ・湘南エリアよりも安かったので、短期契約の物件を見つけると、サーフボードとキャリーケース2つ抱えて、2週間後には引っ越してたんです(笑)。