新卒で入社した会社で責任のある業務を任されたり、大学の友人から結婚・妊娠の話がチラホラ聞こえだしたころ、女性としての幸せと長年の夢に阻まれた27歳アラサー女子がいました。
今回のWhose Diaryでは、そんな彼女が直面したビターな経験を赤裸々に告白します。人生の選択に迷われている方の、小さな応援歌になることを願って。
理想的な恋人
海外文化に理解のない家庭に生まれた私は、学生時代に叶わなかった海外留学を、キャリアの方向性が確立し始めた社会人5年目のころに考え始めました。
とはいえ、年齢27歳。ほかの人と比べるのはよくないと内心わかっていても、結婚第1次ブームに乗り遅れている現実。そして独身で思いっきり新しい事にチャレンジするにはもうそろそろ最後のタイミングなのではという気持ちの間で焦燥感を抱えていました。
長年抱いていた海外留学の夢、資金的にもいまなら挑戦できる…。そんな悶々とした思いを抱いていたある日。交際期間1年の、3つ歳上の彼とひょんなことで将来の話をする機会があったのです。
「20代のうちに海外留学を経験してみたいなぁ。英語能力の向上だけじゃなく、グローバル文化に触れて視野を広げたい。そのあとには日本で経験を活かしたビジネスを行いたい!」
そんな計画性のない私の話に真剣に耳を傾けてくれた彼は、「じゃあ俺はその間にフリーな時間を作って、東南アジアとアフリカを旅して、新たな事業を探索してくるかな。その間お互い頑張ろうぜ!」という前向きな返事をしてくれました。
本当にこの人と付き合ってよかった。そう思えた瞬間でした。当の彼は10代のころからスモールビジネスに手をつけ、いくつかの事業売買を経験。その後IT会社を起業し、代表取締役として活躍する若手社長として注目を浴びていました。
業績も安定し従業員だけで業務が回るようになってきたころ、ベンチャー精神あふれる彼は、海外市場を目で確かめ、新たなビジネスチャンスを狙っているタイミングでした。
すでにお互いの親には紹介していて、時期は未定であるものの、結婚の話も明確にあがっている。彼はギラギラのベンチャー企業社長というよりは、若いころから苦労をしてきたこともあり、割と足元を見るタイプ。
家庭を顧みずに仕事や交友関係にどっぷりはまり込んでしまうと結局は地獄をみると、多くの先輩から釘を刺されてきたようで、謙虚ながらも愚直なキャラクターの持ち主でした。
叶う、夢と結婚の両立
当時の私は、「夢の海外生活を体験しつつ、パートナーと尊重し合って、新しい挑戦を同時期に開始できるなんて!しかも帰国後は、きっとこのままこの人と結婚。彼とは性格的相性もいいし、おまけに経済的な不安も少ない。私には本気でもったいない彼。こんなに幸せでいいの?」と幸福の絶頂を身に染みて感じていました。
結婚前のタイミングでお互いに海外で1年間過ごし、パワーアップして日本で集合。そのプランを遂行すべく、さっそく現地の学校を調べ、渡航時期や予算を算出。それまでにいま所属している会社で何を成し遂げたいか…といったことを考え始めました。
話が決まれば「鉄は熱いうちに打て」です。30代を前に帰国して、ビジネスを開始しつつも結婚し、できれば子どもも出産して…という、都合のよい未来予想図のシナリオをお花畑が広がる脳内で展開していました。
もちろんキャリアを捨てて海外に飛び出すことに不安がないといえば嘘になります。帰国後に職にありつけるのか、思うような成果を海外で得られずに胸を張って帰国できなかったらどうしよう…そんな不安もありました。
でもそんなときは、相変わらず前向きな彼が「絶対大丈夫、強くなれる」と私の背中を押してくれていました。すべての状況を俯瞰して渡航を6カ月後に設定し、あとは目標に向かって進むのみ!