米国のeコマースで4割強のシェアを握る米アマゾン・ドット・コム。米高級スーパー、ホールフーズ・マーケットの買収によって、課題だった食品領域にも強力な足場を築いた。

 書店や出版社、百貨店などアマゾンの前に業界ごと轟沈した企業は数多い。先日、米玩具販売大手のトイザらスが破綻した。食品スーパーの株価が下落しているのは、投資家が「ここでも同じことが起きる」とみているため。ホールフーズとの融合でアマゾンが「業界」を破壊していくことは必至だ。

 日経ビジネスは10月2日号特集、「アマゾン ベゾスに見える未来」で、恐るべき勢いで巨大化しているアマゾンへの直接取材を敢行した。その中で、アマゾンが全米で建設を進める巨大なフルフィルメント(配送)センターに潜入している。アマゾンの強さと影響力の詳細は本誌に譲るとして、最先端のロボットが動き回る最新鋭の自動化倉庫の様子を動画と写真で見ていこう。(ニューヨーク支局 篠原匡、長野光)

 ※以下の動画をごらんください

アマゾンの本社があるシアトルの郊外にある最新鋭のフルフィルメントセンター。東京ドーム2個分の敷地に2000万を超える商品が保管されている(写真:Hayley Young、以下同)
アマゾンの本社があるシアトルの郊外にある最新鋭のフルフィルメントセンター。東京ドーム2個分の敷地に2000万を超える商品が保管されている(写真:Hayley Young、以下同)
フルフィルメントセンターがオープンしたのは2016年。ここでは2012年に買収したキバ・システムズ(現アマゾン・ロボティクス)のロボットが縦横無尽に動き回っている。従来のフルフィルメントセンターよりも小さいが、保管できるアイテムの数は増えた
フルフィルメントセンターがオープンしたのは2016年。ここでは2012年に買収したキバ・システムズ(現アマゾン・ロボティクス)のロボットが縦横無尽に動き回っている。従来のフルフィルメントセンターよりも小さいが、保管できるアイテムの数は増えた
以前は注文の商品を集めるため従業員が歩き回っていたが、今では商品を保管している棚そのものが動く
棚を動かしているのはオレンジと黒の小さなロボットだ。約340キロの重さまで背負うことができる。全世界で10万台が稼働しているという
棚を動かしているのはオレンジと黒の小さなロボットだ。約340キロの重さまで背負うことができる。全世界で10万台が稼働しているという
ロボットは床にあるQRコードで自分の位置を把握している。棚自体が動くようになったことで、数時間かかっていた作業が数分になった
ロボットは床にあるQRコードで自分の位置を把握している。棚自体が動くようになったことで、数時間かかっていた作業が数分になった
消費者の注文が入ると、最も早く出荷できる棚をコンピューターが判断して、その棚を作業者のところまで動かす。人間はモニターを見ながら対象の商品を出すだけだ
消費者の注文が入ると、最も早く出荷できる棚をコンピューターが判断して、その棚を作業者のところまで動かす。人間はモニターを見ながら対象の商品を出すだけだ
棚の中をよく見ると、商品がランダムに収められていることが分かる。しかも、一つの小部屋に異なる商品が詰め込まれている
棚の中をよく見ると、商品がランダムに収められていることが分かる。しかも、一つの小部屋に異なる商品が詰め込まれている
驚くべきことに、バラバラにして保管する方が効率的なのだという。どの小部屋に商品が保管されているかは商品を格納する時にハンドスキャナーで記録する
驚くべきことに、バラバラにして保管する方が効率的なのだという。どの小部屋に商品が保管されているかは商品を格納する時にハンドスキャナーで記録する
人間は空間を認識する能力に優れている。また、異なる商品の中から該当するものを瞬時に取り出す能力も高い。ロボットもそこまではまだできない
人間は空間を認識する能力に優れている。また、異なる商品の中から該当するものを瞬時に取り出す能力も高い。ロボットもそこまではまだできない
取り出した商品は黄色い箱に入れ、一杯になった段階で押し出す。ここでは複数の消費者の商品が混在した状態だ。この後、別の場所で消費者ごとに仕分けされる
取り出した商品は黄色い箱に入れ、一杯になった段階で押し出す。ここでは複数の消費者の商品が混在した状態だ。この後、別の場所で消費者ごとに仕分けされる
クリスマス前の繁忙期には1日に100万個以上の商品がここから出て行くという
アマゾン ベゾスに見える未来

PROLOGUE
産業を超える「破壊と創造」 アップル、グーグルも超越する

PART 1 激戦地はここだ! 容赦なき“破壊攻撃”
1.対小売り・食品スーパー
 8000億ドル市場で巨大店を焦土に
2.対メーカー(製造業)
 電池からサプリまで、"劇薬"PBを続々投下
3.対コンテンツ(ビデオ・音楽)
 「会員はタダで」、戦慄のおまけ戦略
4.対物流(運送会社)
 クリスマスの惨劇。「運送屋には頼まない」
5.対広告・マーケティング業界
 ボタンと音声、仕組まれた"中毒症"

PART 2 「魅惑のエコシステム(生態系)」の全貌 全てをのみ込む小宇宙
1.マーケットプレイス
 世界で売りまくる"成長装置"
2.AWS(クラウドサービス)
 使わない企業は破綻する?
3.アレクサ(音声認識機能)
 もうスマホは古い、次代のインフラ

EPILOGUE 想定外の「独占」企業 楽園が暗黒郷に変わる時

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