出張が面倒なのは米国でも日本でも変わらないが、できることなら快適にしたい。記者のシリコンバレー生活をつづる本コラムの第5回では、先日テキサス州オースティンに出張した際に試してみた、各種の便利なサービスを紹介しよう。

 日本に比べて米国での出張が面倒なポイントは、大きく二つある。一つは航空券の手配、もう一つはレンタカーの手配だ。ホテルの手配は日本でも米国でも特に変わらない。それぞれの作業について米国だと何が面倒で、今回のオースティン出張でどのようなサービスを使ってその面倒さを解消させてみたのか、それぞれ説明していこう。

航空券の検索には「Google Flights」が便利

 まずは航空券の手配だ。記者が住んでいるシリコンバレーは、かつて住んでいた東京に比べて、利用できる空港と、利用できる国内航空会社の数がとても多い。規模の大きいサンフランシスコ国際空港(SFO)以外に、自宅から20分ほどの距離にあるサンノゼ国際空港(SJC)や、サンフランシスコの対岸にあるオークランド国際空港(OAK)も利用可能だ。

 国内線を飛ばしている航空会社としては、「United」「American」「Delta」「US Airways」といった大手航空会社だけでなく、「Southwest」「Virgin America」「Jetblue」「Sprint」といった、日本にいるときにはあまり馴染みがなかった航空会社もある。空港や航空会社の種類が多いのは便利である一方、「一番安い航空券を手配せよ」というプレッシャーにさらされている会社員にとっては、種類が多過ぎるのは悩みの種でもある。

 そこで航空券については、航空会社のWebサイトでいきなり検索するのではなく、米Googleの「Google Flights)、日本語での名称はGoogleフライト検索」という比較サイトを使用している。

 Google Flightsのポイントは、UI(ユーザーインタフェース)が優れているところだ。例えば、シリコンバレーからニューヨークに向かうのであれば、シリコンバレー近郊の主要空港(SFO、SJC、OAKなど)と、ニューヨーク近郊の主要空港であるケネディ国際空港(JFK)やニューアーク・リバティー国際空港(EWR)、ラ・ガーディア空港(LGA)などを結ぶあらゆる航空会社の直行便、経由便を一気に検索できる(写真1)。

写真1●Google Flightsの検索結果
写真1●Google Flightsの検索結果
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 検索結果も親切で、ただ安い便を優先表示するのではなく、直行便や待ち時間を含む総移動時間が短い便を「おすすめ」として推奨してくれる。飛行中に無線LANが利用できるかどうかも検索結果に表れるので、移動中でも仕事をしたいと言う人には特に便利だろう。検索結果は保存が可能で、航空券の価格の推移をチェックしたりもできる(写真2)。航空券の購入自体は、各航空会社のWebサイトで行う仕組みだ。Google Flights自体は、国際線や日本の国内線にも対応しているので、日本のユーザーにもお勧めだ。

写真2●サンフランシスコ-ワシントンDC間の航空券の価格推移
写真2●サンフランシスコ-ワシントンDC間の航空券の価格推移
「二日前に購入しておけば安かったのに」といった後悔しか生み出さない画面ではある
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スマホで手続きするレンタカーを試した

 レンタカーについては、安い会社を探す云々よりも、レンタカーを借りるという行為そのものが苦痛だ。都市内交通の発達していない米国では、多くの旅行者がレンタカーを利用する。そのため空港のレンタカーカウンターにはいつも長蛇の列ができている。

 手続きも面倒だ。米国では州によって自動車保険制度が変わるので、それぞれの州によって名称が変わる様々なタイプの保険を選んで、加入しておく必要がある。係員が「車種をアップグレードする?」と言うのでタダでアップグレードしてくれるのかと思ったら、ばっちり料金をとられるという罠も潜んでいるので何かと気を遣う。

 そこで今回は、レンタカーの手続きを極力簡素化したことを売りにする新興のレンタカー会社「Silvercar」を使ってみることにした。Silvercarはその名の通り、銀色の「Audi A4」だけを貸し出すというレンタカー会社だ。空港では紙の書類は一切必要無く、スマートフォンアプリ(スマホアプリ)だけで手続きが済むのが特徴だという。オースティンへの出張で実際に使ってみたその一部始終を説明していこう。

 まずSilivercarの予約はWebサイトやスマートフォンアプリ(スマホアプリ)で行った。車種はAudi A4の1種類だけで、料金は1日59~99ドル。保険については専門用語ではなく「ドライバーとその持ち物(You and your things)」「車だけ(Just the car)」「他の人とその持ち物(Other people and their things)」というくだけた表現で説明してあったので、選びやすかった。

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