2023年から24年にかけて日本の通信市場において激しい論争を巻き起こしたNTT法の見直し議論。NTT法廃止は難しい情勢となったが、NTTは多くの規制緩和を勝ち取った。25年の展望とこれからの戦略について、NTTの島田明社長に聞いた。

24年4月に改正NTT法が施行され、研究成果の開示義務などが撤廃されました。

NTT島田明社長(以下、島田氏):研究成果の開示義務が撤廃されたことは非常に大きな前進だ。パートナーと協業する際にも非常にやりやすくなった。我々としては全面緩和してほしかったが、NTT持ち株会社への外国人役員規制の撤廃や社名変更も可能になるような法改正をしていただいた。着実に実行していきたい。

島田明(しまだ・あきら)氏
島田明(しまだ・あきら)氏
1981年日本電信電話公社に入社。2007年NTT経営企画部門担当部長、11年NTT東日本取締役、12年NTT取締役総務部門長、15年NTT常務取締役、18年NTT代表取締役副社長を経て、22年6月から現職(写真=的野 弘路)

25年6月の株主総会で現在の正式社名、日本電信電話株式会社を変更する考えでしょうか。

島田氏:社名変更は株主総会マタ―になるため、25年の株主総会に付議したい。外国人役員についてもできれば付議する考えだ。具体的に決まっているわけではないが、まずは社内から登用したい。

現在のブランド名である「NTT」はなかなか変えづらいのではないでしょうか。またロゴマークである「ダイナミックループ」も変えるのでしょうか?

島田氏:社名についてはいろんな選択肢がある。(ブランド名の)NTTは変えづらいかもしれない。

 ロゴについては、現在、グローバルにいくつかチームをつくって議論しているが、意外と現在のダイナミックループのデザインについて評価が高い。伝統も重要な要素の一つであるため、ダイナミックループはおそらく残す方向になる。

NTTのロゴマークである「ダイナミックループ」。デザイナー亀倉雄策氏によるデザインであり、無限運動を表すループによって企業のダイナミズムを表現しているという(写真=加藤 康)
NTTのロゴマークである「ダイナミックループ」。デザイナー亀倉雄策氏によるデザインであり、無限運動を表すループによって企業のダイナミズムを表現しているという(写真=加藤 康)

NTT法見直しの議論では、NTTに課せられた全国一律の固定電話サービス(ユニバーサルサービス)について、モバイル網を一部活用する方向となりました。

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