社員の育児・介護と仕事の両立を実現するために、改正法は企業側に具体的な対応を求めている(写真=theghan/stock.adobe.com)
社員の育児・介護と仕事の両立を実現するために、改正法は企業側に具体的な対応を求めている(写真=theghan/stock.adobe.com)

 育児・介護休業法を巡っては2022年に産後パパ育休制度が創設され、23年4月に男性の「育児休業取得率」または「育児休業・休暇の取得率」の公表が従業員1000人超の企業に義務づけられた。

 そして25年4月と10月に段階的に施行される今回の改正法では、従業員が仕事と育児・介護の両立を実現できるような環境整備や制度の導入を企業に求めている。労働法制に詳しい竹花元弁護士は「育児や介護を理由とする離職をなくすため、国は法改正によって踏み込んだ環境整備を企業に求めている印象だ」と話す。

テレワークが努力義務化

 法改正のポイントを大きく分類すると、既存の制度が拡充された点と、新たな義務を企業に求める点の2つに分けられる。

 制度拡充としてまず挙げられるのは、子供の看護休暇の対象拡大だ。対象となる子の年齢は小学校3年生修了までに範囲が拡大され、取得の理由には感染症による学級閉鎖や入学式などが追加された。

 企業がこれまで労使協定によって看護・介護休暇の取得対象から除外できる労働者は①週の所定労働日数が2日以下②継続雇用期間が6カ月未満──の2種だった。4月以降は①のみを除外できる。

 また、育児中の労働者が残業免除を請求できる範囲は、これまで子供が3歳になるまでだったが、小学校就学前まで延長できるようになった。

 そして今回、努力義務として盛り込まれたのがテレワークの導入だ。3歳未満の子や要介護者を家族に持つ従業員がテレワークを選択できるよう企業に対応が求められる。25年10月からは3歳から就学前までも、企業は従業員が仕事と育児を両立できる「柔軟な働き方」を実現できるように5つの措置から2つ以上を選択して実施する義務がある。

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