あらゆる業界に昔から続く常識や慣習といったものが存在する。社会が変わりつつあるとき、こうした古き良きレガシーは変革を阻む最大の要因へと姿を変える。長年たまってきた澱(おり)を取り除くために、企業はどのような姿勢で臨むべきか。印刷、物流、広告と様々な業界でトランスフォーメーションをしかけてきたラクスル代表取締役社長CEO(最高経営責任者)の松本恭攝氏の目から見えている風景とは。(写真=的野 弘路)
シリーズ
松本恭攝の「産業DXの要諦」
16回
社員がイキイキと働く「分社」、大事なトップのメッセージとは
私がハコベルのJV化で最も強く感じているのが「ハコベルメンバーが非常に前向きに、そしてイキイキと働くようになった」ということです。これはひとえに「やっと手応えのある事業グロースを実現できるようになった」という理由に尽きると思います。
事業成長の限界を「JV化」で突破する
「高い利益を出しながら、成長領域の事業に投資し、なおかつ伸び悩む事業を見直す。私は、経営者として複雑な方程式を解く必要に迫られたのです」
「企業は人に投資せず、個人も学ばない」を変えよう
「日本企業が感じる人材マネジメントの一番の課題は何か?」という調査で最も多かった回答は、「人事戦略が経営戦略にひも付いていない」というものでした。これは、多くの企業が経営の中心に「人」を据えていないということを意味しています。
入社初日でも「信頼」し合える環境づくりの極意とは
ラクスルは「信頼」を中心に据えた新しい人事制度をつくろうとさまざまな取り組みを行っています。それが今年1月31日からスタートした「Be Trusted」です。
薄れる事業の「手触り感」と深まる孤独に立ち向かう
「自分で直接手掛ける事業もなく、会社でのインプットもない日々。事業の『手触り感』がどんどん薄れていく状況下で私は孤独を深めていきます。コロナは私にとって、経営者であると同時に個人として非常に大きなハードシングスだったのです」
急成長がもたらすハードシングス
資金調達に成功し、スタートアップとして飛躍的に成長を遂げる「最もエキサイティングな時期」こそ、経営者として一番つらかった。今回は私にとってのハードシングスについて話します。
「マーケティングの民主化」が変えた競争軸
広告の効果測定に、多くのIT企業が「認知率」という曖昧な数値ではなく「売り上げの伸び」という測定にこだわるのか。それには大きく2つ理由があります。
ギャップに見いだした商機
実は地方のテレビCMは非常に安い。決して地方のテレビ局や広告代理店がブラックボックスにしているわけではなくイメージと実体の間のギャップが知られていないだけだ。
事業の成長をどこまで待つか
横展開できるものはあれど、「事業のつくり方」というフォーマットはない。新規事業を生み出す際に大事なのは「過信しないこと」だ。
新事業への挑戦を急いだ理由
会社設立から6年、「印刷」に続く第2の事業「物流」へと歩を進めた。投資家の反対を振り切ってでも新事業を急いだのには理由があった。
「世界」から刺激を受ける意味
世界中から優秀な人材をどんどん引き寄せていくために、必要なのは経営陣の意識改革。トップリーダーは日本の外にいる時間、つまりは世界と向き合う時間を増やしたほうがいい。
失敗の経験をデザインする
DX人材を育成する要諦は「不確実性の高い小さなビジネスに見込みのある人材を投下して、失敗をたくさんさせること」。圧倒的に難しく、しかし、学びも大きい。
情シスに「考える業務」を
情シスこそ、アナログ業務から解放され、「考える業務」にフォーカスしてもらわなければならない。日本全体のDXを推し進める上で、コーポレートIT業務の効率化は避けて通れない。
“なんでもオリジナル”の罠
内製主義が根強く残る日本。オリジナルの仕様ににこだわった結果、大手ベンダーのがんじがらめに遭うケースが多い。コア領域とノンコア領域を切り分けられる人がいないのが原因だ。
経営のOSをアップデートしよう
経営者層の高齢化とともに、攻めのマインドが薄れたことがDX後進国になった要因ではないか。経営のOSは絶えずアップデートする必要がある。
DXの最終形態を考えてみよう
既存の企業にとって「いま持っているものを捨てて新しいものを作る」ことは難しい。様々なレイヤー(階層)があるDXで、最終形態とはどのような姿なのか。
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