新型コロナウイルス感染拡大の影響で不動産市場の先行きにも不透明感が漂っている。そんな中、首都圏近郊の沿岸部に建つ中古住宅に目を向ける動きが表れている。業界関係者は、都市部を中心に新型コロナの感染者が増加したことから、人口の少ない地域の物件が見直されているとみている。在宅勤務の広がりで、太平洋を望みながら、仕事スペースを確保できるというセカンドハウスを求めるニーズもあるようだ。
高価格帯の不動産売買を手掛けるリスト サザビーズ インターナショナル リアルティの福島麦・銀座オフィス支店長は「千葉県の物件の人気が急に高くなった。南房総の海沿いエリアで中古住宅を探す顧客が急増しており、2月前半の2週間と比べると、4月前半は同エリアの問い合わせ数が3.9倍になった」と驚く。一番人気は南房総市で、富津市や館山市、勝浦市、いすみ市の物件にも照会が多いという。
物件に求められる条件は主に3つ。「オーシャンビュー」「広い敷地」「安定した再販価格」だ。千葉県は2019年に猛威を振るった台風15号や19号で被災した。地域によっては暴風雨の爪痕がなお残っている。新型コロナが拡大する以前は、「南房総エリアの中古物件への問い合わせは皆無だった」(福島支店長)という。
しかし、東京湾アクアラインなどを利用すれば都内にも出やすいことから、2拠点生活を考える経営者や専門職らから注目されている。実際、南房総エリアで「リゾート物件」とされる高価格帯中古住宅の購入を検討する経営者からは、「コロナが落ち着くまでは疎開用の住居として生活し、その後は従業員が利用できる保養施設として使える物件を探したい」との要望があったという。
4月に中古物件探しが増える“異常事態”に
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