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重要度別:2024年6-12月 GA4のアップデート紹介(寄稿:小川卓)

小川さんアイキャッチ

株式会社HAPPY ANALYTICSの小川卓(id:ryuka01)です。

Google Analytlcs 4 (以下、「GA4」)は2022年に正式リリースされてからも継続的にアップデートを重ねています。今回の記事では、前回の記事公開後の2024年6月から12月に行われたアップデートをまとめて紹介いたします。

アップデートによって何が変わったのか、どう活用できるのか?そして筆者が考える役立ち度(5段階評価)も紹介いたします。対象が非常に限られているものや、影響が無いものはピックアップしません。それでは時系列で早速みていきましょう。

※リリース日は公式サイトでのアナウンス日を中心に参照していますが、各アカウントへの反映はその前後に行われており一定ではありません

2024年1月から6月4日までのアップデートに関してはこちらの記事をご覧ください。

 

2024年6月12日:ユーザー獲得・トラフィック獲得の表の指標変更

重要度:★★★★(より使いやすい指標が並んでいます)

ユーザー獲得およびトラフィック獲得でデフォルト表示される指標が変わりました。

変更点としてはユーザー獲得は「ユーザー」単位の指標、トラフィック獲得では「セッション」単位の指標に整理されたことです。

具体的には以下となります。

ユーザー獲得・トラフィック獲得の表の指標変更

【ユーザー獲得】

  • 総ユーザー数(アクティブユーザー数ではなくなりました)
  • 新規ユーザー数
  • リピーター数(リピート訪問の回数ではなく、リピートした「人数」となります)
  • アクティブユーザー数あたりの平均エンゲージメント時間
  • エンゲージメントのあったセッション数(1アクティブユーザーあたり)
  • イベント数
  • キーイベント
  • ユーザー キーイベントレート(キーイベントを発生させた人数 ÷ 総ユーザー数)

ユーザー獲得・トラフィック獲得の表の指標変更

【トラフィック獲得】

  • セッション
  • エンゲージメントのあったセッション数
  • エンゲージメント率(エンゲージメントのあったセッション数 ÷ セッション)
  • セッションあたりの平均エンゲージメント時間
  • セッションあたりのイベント数
  • イベント数
  • キーイベント
  • セッション キーイベント レート(キーイベントが発生したセッション数 ÷ セッション数)
  • 合計収益

これらのレポートはディメンションや指標をカスタマイズすることが可能ですので、その場合はカスタマイズした状態から変わっていません。

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2024年6月18日:ユーザー獲得・トラフィック獲得の表の指標変更

重要度:★(Google広告側で閲覧可能です)

ユーザー獲得・トラフィック獲得の表の指標変更

Google 広告内でも確認できる、広告セグメントの情報がGA4の「広告」内で確認できるようになりました。広告配信対象のオーディエンス量のチェックに利用します。

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2024年6月26日:広告の流入元特定の精度アップ

重要度:★★(広告の間接効果に影響が出ているかも)

Google側でgoogle / cpc に流入元が分類されるロジックの見直しが実行されました。GCLIDあるいはutm広告パラメータを利用している時の精度が上がっているようです。

今までより適切に紐づけられるようになったようですので、この日前後でGA4側で見た集客の間接効果に変化がないかをチェックしておいてもよいでしょう。

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2024年6月30日:Googleタグ 診断ツールが実装

重要度:★★★(確認したことがない場合はチェックしておきましょう)

Googleタグ 診断ツールが実装

管理画面内のGoogle タグページで品質チェック結果が表示されるようになりました。「issuesを表示」を押すと詳細を確認することができます。

Googleタグ 診断ツールが実装

エラーの内容によっては修正が必要ですが、意図して設定している場合もある(例:あえて特定のページの計測タグを入れていないなど)ので、公式ヘルプの内容とあわせて対応するかを確認しましょう。

対応の必要がある可能性が高いエラーは「タグによるデータの送信が停止されました」「ページの下部に配置されているタグが検出されました」「構成用に検出された追加のドメイン」あたりです。

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2024年9月3日:レポートで行を指定してグラフを表示

重要度:★★★★(昔のGAにあった機能ですがとても便利です)

表でチェックボックスを入れた項目(最大5つ)をグラフに表示可能になりました。またグラフで想定より大きい・低い数値が出ている場合に異常値として自動検出され目印がつきます。

レポートで行を指定してグラフを表示

今までは特定の項目を選ぶことができなく、時系列で内訳をみるためには探索レポートを使う必要があったのですがかなり手間が軽減されました。

上位のディメンションを入れてもよいですし、特定のディメンション値(特定の記事など)を見たい場合にも便利ですね。

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2024年9月3日:キーイベントレポートの廃止と、イベントレポートの「︙」からキーイベント追加

重要度:★★★★(キーイベントの数値は管理画面あるいは探索レポートで確認)

キーイベントレポートの廃止と、イベントレポートの「︙」からキーイベント追加

レポート>エンゲージメントから「キーイベント」のレポートがなくなりました。イベントレポートに統合された形となっています。

また編集権限以上を持っている場合は、イベントレポートで「︙」を押すとキーイベントとして登録できるようになります。ただ、管理画面からも登録できますので、あえてここから利用する必要はないかなと考えています。

ではなくなったキーイベントの数値はどこで見ればよいのか。3つほど方法があります。

(1)イベントレポート内で見る
イベントレポートではキーイベントとして登録されているイベントも一覧には出てくるので、検索ボックス等で絞り込んでみることはできます。ただ複数登録している場合などはちょっと面倒ですね。

(2)管理画面で確認する
管理画面内のプロパティ設定>データ表示>キーイベント で確認できます。一覧で簡単に見ることはできますが、各キーイベントの発生回数と、値を設定していた場合にその数値(purhcaseであれば売上)しか見ることができません。

キーイベントレポートの廃止と、イベントレポートの「︙」からキーイベント追加

(3)探索レポートで確認する
自由形式で表を作成し、イベント一覧のレポートを作成し、フィルタで「キーイベントです」を「true」に設定することで、キーイベントのみに絞り込むことが可能です。

キーイベントレポートの廃止と、イベントレポートの「︙」からキーイベント追加

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2024年9月3日:トランザクションIDレポートの追加

重要度:★★(特定の購入を見たい場合に便利)

レポート>収益化>トランザクション のレポートが新たに追加されました。

トランザクションIDレポートの追加

取引ID単位での情報を見ることができます。今までは探索レポートでしか作成できませんでしたが、新たに用意されました。

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2024年10月3日:データエクスポートの行数を拡大

重要度:★★★★(大規模なサイトにとってはありがたい変更)


データエクスポートの行数を拡大

非サンプリングデータ探索のTSVとCSVに関しては1,000万セル(有償版のみ)、通常のCSV及びGoogle スプレッドシートに関しては10万行が新たな上限となります。

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2024年10月9日:リアルタイムページレポートが追加

重要度:★★(ページの計測テストや急激な流入を見るのに便利)

新たなレポート「リアルタイムページレポート」が追加されました。こちらは直近30分でアクセスされたページ(ドメインとパラメータなしのURL部分)のアクティブユーザー数と表示回数が表示されます。

リアルタイムページレポートが追加

今までリアルタイムレポートでも、ページタイトルの表示回数だけは確認できましたが、新たなページ単位のレポートが増えた形になります。

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2024年10月17日:セグメントの複製とプロパティへの保存が可能に

重要度:★★★★★(セグメントを使っているすべての方への朗報!)

探索で作成したセグメントは今まで、最大1つの探索レポート内で10個までしか作成できず、その探索内でのみ利用となっていました。つまり同じセグメントを別の探索レポートで利用したい場合、都度再作成が必要でした。

またあるセグメントの一部だけを変更して新しいセグメントを作成したい場合(他条件は一緒だけどランディングページのURLだけを変えたい)ときも一から作成が必要で非常に面倒でした。

この2つが一気に解決されました。既存のセグメントを複製することで、簡単に似たようなセグメントの作成が可能になりました。


セグメントの複製とプロパティへの保存が可能に

そして作成したセグメントを「プロパティに保存」すると、探索レポートではなく、プロパティ内に保存されるようになったため、他の探索レポートや、他の同プロパティのユーザーも保存されたセグメントを利用できます。


セグメントの複製とプロパティへの保存が可能に

また、共有されているセグメントに関してはセグメントの横に共有アイコンがつくようになりました。

セグメントの複製とプロパティへの保存が可能に

なお、保存したセグメントは「管理」内の「セグメント」で確認がをできます。ただ保存できるセグメント数には上限があり、1プロパティあたり最大50個までとなります(最初に用意されている9個は除く)。

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2024年10月28日:ベンチマーク機能が登場

重要度:★★★(参考にはなるけど、どれくらいの精度かは正直わからない)

「ホーム」のレポートでベンチマーク(同業他社との数値比較)が可能に。指標を選択するとグラフに同業他社の中央値(点線)、75%タイル(上位から25%に該当する数値)、25%タイル(下位から25%に該当する数値)を確認することができます。

ベンチマーク機能が登場

対応している指標は以下の通りです。

eコマース・収益関連(GA4でeコマース計測をしていないと意味がないです)

  • 購入者率
  • アクティブユーザーあたりのトランザクション数
  • カートに追加した回数(アクティブユーザーあたり)
  • ユーザー1人あたりの購入回数
  • 決済回数(アクティブユーザーあたり)
  • 購入者あたりのトランザクション数
  • ARPPU
  • ARPU
  • アクティブユーザーの平均購入収益額
  • 購入による平均収益
  • 総広告収入(アクティブユーザーあたり)

イベント関連(カスタマイズイベントなどを計測している場合は参考にならないかと)

  • アクティブユーザーあたりのイベント数
  • セッションあたりのイベント数

セッション関連

  • アクティブユーザーあたりのセッション数
  • エンゲージメントのあったセッション数(1アクティブユーザーあたり)
  • エンゲージメント率
  • セッション キーイベントレート
  • 直帰率
  • 平均セッション継続時間

ページ関連

  • アクティブ ユーザーあたりのビュー
  • セッションあたりのページビュー数

ユーザー関連

  • アクティブユーザーあたりの平均エンゲージメント時間
  • DAU/MAU
  • DAU/WAU
  • PMAU/DAU
  • PWAU/DAU
  • WAU\MAU
  • セッションあたりの平均エンゲージメント時間
  • ユーザー キーイベントレート
  • 初回購入者率
  • 新規ユーザーあたりのFTP
  • 新規ユーザー率

同業他社の業種に関しては、自社プロパティの登録情報から自動的に選択されていますが、グラフの右上のアイコンを押すことで、ベンチマーク対象とする同業他社グループを変更することが可能です。

ベンチマーク機能が登場

なおベンチマークデータを利用するには、プロパティの管理>アカウント設定で「モデリングのためのデータ提供とビジネス分析情報」の設定を有効にする必要があります。

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2024年11月7日:Account Data API の割り当て履歴機能が追加

重要度:★(管理者向け機能。通常は気にしなくてOK)

Account Data APIは利用できるプロパティ トークンに制限があります。本画面ではどのアカウントがどれくらいトークンを利用したかを確認することができます。
※利用には、アカウントの管理人権限が必要となります

Account Data API の割り当て履歴機能が追加

項目は以下の通りとなります。

  • アクセス日時:アクセスがあった時間
  • アクセスしたプロパティ:アカウント配下のどのプロパティのデータにアクセスしたか
  • アクセサーのアプリ名:どのアプリがデータにアクセスしたかを確認できます。代表的なものはPage Analytics / Looker Studio / GA4 Reports Builder for Google Analyticsâ„¢/ そのほか外部連携サービスなどがあります
  • ユーザーのメールアドレス:アクセスしてきた人のメールアドレスです
  • Data API 割当カテゴリ:「コア」「リアルタイム」「ファネル」の3種類になります。詳しい違いは以下、公式ヘルプをご覧ください。

プロパティに割り当てられたトークン量の上限に近い場合や超えている場合は、どの内容が原因なのかを探るのに活用しましょう。

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最後に

2024年はGoogle Analytlcs 4のアップデートが非常に多い1年でした。今回ピックアップしたアップデート内容は多くの方に影響がありそうなものを中心に紹介しており、実際のアップデート回数は倍ほどあります。

有償版のみや、一部のサイトにしか関係ないようなもの、ユーザー側で特に何か対応ができないものなどは省いております。

最新のすべてのアップデートをチェックしたい場合は以下ページをご覧ください。

ただ本ページでもすべてのアップデートが掲載されているわけではなく、新たに追加されたディメンションや指標などの細かいアップデートは気づいたら変わっていることも多いです。このあたりも今後掲載してくれると良いのですが。

いずれにせよ、2025年もさらなる進化が期待できるGA4。分析の自動化部分を中心にパワーアップしてくれることを期待しております。


 

* *

今回、寄稿いただいた小川卓氏による過去の連載記事も合わせてご覧ください。

また、Googleアナリティクス4のオンライン勉強会のレポートもご覧いただけます。


▼関連記事

勉強会の資料は以下よりダウンロードしていただけます。

参考資料なども含めてGA4の理解や移行に役立つ情報がまとまっています。ご希望の方は必要情報を記載の上お申し込みください。

Google Analytics 4解説資料ダウンロード

【資料サマリ】Google Analytics 4の概要/オウンドメディアで計測すべき5つの指標と設定方法/ユニバーサルアナリティクスと同様の設定をGA4で実現する方法(全66ページ)

著者名:小川卓 株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。ウェブアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の社外取締役、大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。

【全66ページ】GA4オンライン勉強会資料ダウンロード

GA4オンライン勉強会の資料をご希望の方は以下より必要情報をお送りください。参考資料なども含めて、GA4の理解や移行に役立つ情報を全66ページにおまとめいただいております。
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この記事に関連する資料はこちら!

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