《耐えられない 身辺整理終了次第に控訴を取下げる 死刑執行連行時、処刑場まで書信係職員を呪うことだけ考えて吊られて逝く 執行されるのが大拘職員への復讐だ》
2020年3月19日、寝屋川中学生男女殺人事件の被告人だった山田浩二死刑囚が弁護人に宛てて書いたはがきには、拘置所職員への恨みに満ちた言葉とともに、控訴を取下げる意思が綴られていた。このはがきを書いた5日後の24日、山田死刑囚は控訴取下げの書類を提出し、2021年8月25日に死刑が確定した。
全国紙記者が解説する。
「一審で弁護側は、被告には殺意がなかったことに加え、刑事責任能力がないことについても主張していました。結果として一審判決は死刑でしたが、弁護側は即日控訴。裁判員裁判の一審で死刑が確定することは異例ですし、取材の中で被告自身も高裁でも争う発言をしていたようで、高裁で再び審理されるというのが大方の予想でした。そのため、被告からの控訴取下げは予想外の展開でした」
極めて異例といえる、死刑判決を受けた被告本人からの控訴取下げ。その経緯から見えてくるのは、被告に振り回される裁判所と弁護士の姿、そして事件そのものにも共通する山田死刑囚のあまりにも軽率な姿だった。日本中を震撼させた事件の死刑確定までの狂騒曲を紐解いていく。
「寝屋川中学生男女殺人事件」とは
事件は2015年大阪府寝屋川市で起きた。当時中学生だった平田奈津美さんと同級生の星野凌斗さんが行方不明になったのだ。
「警察の必死の捜索にもかかわらず、平田さんは高槻市内の駐車場で、口や鼻などを粘着テープでぐるぐる巻きにされ、遺体で発見されました。遺体にはいくつもの切り傷があったといいます。
星野凌斗さんも後日、柏原市の雑木林で、遺体で発見されました。警察は周囲の防犯カメラなどから容疑者を特定。平田奈津美さんの死体遺棄容疑で山田被告を逮捕したのです」(前出・全国紙記者)