※本インタビューは2023年4月に行われ、実話BUNKAタブー2023年7月号に掲載されたものです。
首相襲撃以降のメディア批判論
4月15日、和歌山県の雑賀崎漁港に選挙応援に訪れていた岸田文雄首相に筒状の爆発物が投げつけられた。
異常事態に気づいたSPが防護板で爆発物を跳ね返し、首相は避難。爆発物を投げつけた犯人・木村隆二は、地元の屈強な漁師にガッチリ押さえられた。その後、かなり遅れて投げつけた筒がドンッ!! と大きい音をあげて爆発。爆発までに50秒と、かなり長い時間がかかったため、被害者は出なかったが、もし爆弾が九州のヤクザの抗争などで使われるガチの手榴弾だったら、岸田首相や首相の周りにいた人たちなど大勢が亡くなっていた可能性もある。
この事件を見て、誰しもが安倍元首相銃撃事件を思い出したはずだ。事件が起きたのは2022年の7月8日とまだ1年も経っておらず、生々しい記憶がある。覚えているからこそ、今回の爆弾事件は驚きだった。
爆発物が投げつけられる前からの映像が公開されていたが、岸田首相は地元の人に囲まれて特産の足赤エビを試食していた。人と要人の距離が近い。むしろ安倍元首相が殺害された時より、スキが大きいように見えた。イベントの主催者も、警察も、テロリストが危険物を使ってくることを重々想定するべきだが、安倍元首相が殺害された時に露呈した「警察の杜撰な警備」は全く反省されていないことが浮き彫りになった。今回の事件は、どう考えても警備上のミスが一番大きい。しかし、批判の矛先は思いもよらぬ方向に向けられている。
「岸田首相が暗殺未遂にあったのは、マスコミが山上を英雄視した報道をしたからだ。山上の言い分を真に受けた模倣犯が現れた。そういう報道をしてきたメディアやジャーナリストに責任がある」
というものだ。正直「はぁ?」と言うしかない意見だが、思いのほかそういった声は大きい。統一教会と自民党の癒着問題に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏も、批判される立場になっている。エイト氏はそのような声に対してどのように感じたのか。