はてな村からお届け物が来たよ!本を贈ることによるメッセージ


 たびたび話題には挙がるものの、本当に “そこ” に存在するのかどうか。どうにも判別のできていなかったインターネットの寒村、「はてな村」からお荷物が届きました。聞いてよダンボー! はてな村は本当にあったんだ!

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 何の事はございません。こっそりと公開していた、ほしい物リストからのプレゼント。心優しい方が、わざわざウィッシュリストから贈り物を選んでくださったようです。ありがたや……ありがたや……。

 

知っているようで知らない、「はてな村」からの贈り物

 3月上旬、ハンドルネーム名義で我が家のポストに投函された、Amazonからの配送物。わざわざ自分に何かを送ってくれるような物好きさんは、数えるほどしかいないだろう、と当たりをつけておりました。きっと、あの辺のブロガーさんかなー? と。

 そんなわけで、外の包みに記された贈り主の名前はあえて目に入れず、「プレゼントの内容で当てたる!」という心持ちで開封。その内から取り出されたるは……?

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 ショウペンハウエル著『読書について』(岩波文庫)。ちょうど自分がブログの更新を始めたばかりの頃、某ブログで感想記事を読んだ覚えがあります。――とくればもう、あのブロガーさんしかいないでしょう。

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 贈り主は、「マトリョーシカ的日常」の、局長(id:kyokucho1989)さん! ちゃんと「はてな村」って書いてある……。

 ブログを本格的に始めた当時、まず目に入って読むようになったブログのひとつということもあり、「読書系はてなブログ」と言えば、まず真っ先に思い浮かぶブロガーさんです。ありがとうございます!

 また、お礼が遅くなって申し訳ありません。「これは、気合を入れて読まねば!」と取り掛かった結果、内容の濃さに打ちのめされておりました。たまーに岩波文庫に触れると、これっすよ。しっかりと噛み砕いて読もうとすると、どうしても時間がかかってしまうのです……。

 

モノを贈ることで生まれるメッセージ性

 同封のメッセージにもあったように、おそらく局長さんは「面白いから」ということで本書を贈ってくださったのだと思います。

 しかし、この『読書について』という本は如何せん主張が強いがゆえに、単純に「おすすめ!」という理由で贈られたのではなく、まるで「こういう考え方もあるんだよ?」と指摘し語りかけるような、メッセージ性をも感じてしまった。深読みのしすぎでしょうが。

 局長さんご自身の感想記事でも明瞭にまとめられているように、本書は少なからず「読書」という活動に身を置いている人にとっては、ドキリとさせられる内容であると言って間違いありません。3篇構成になっていますが、最初の「思索」(原題:Selbstdenken)の部分、20ページ足らずを読んだだけでもビリビリ来る。

 

 もともと自分のいだく基本的思想にのみ真理と生命が宿る。我々が真の意味で十分に理解するのも自分の思想だけだからである。書物から読みとった他人の思想は、他人の食べ残し、他人の脱ぎ捨てた古着にすぎない。

 つまり自ら思索する者は自説をまず立て、後に初めてそれを保証する他人の権威ある説を学び自説の強化に役立てるにすぎない。

 読書は言ってみれば自分の頭ではなく、他人の頭で考えることである。絶えず読書を続けて行けば、仮借することなく他人の思想が我々の頭脳に流れこんでくる。

 

 ゆえに、 “読書は思索の代用品にすぎない” 。さらに多読は脳の思考力を奪い、自ら “思索” し、 “思想” を育むことを阻害する。一口に言えば、まさに「お前ら頭使って本読めよ」である。

 ブログで好んで使われる表現で言えば、「アウトプット」の問題かしら。しかし、それ以前の話でもある。そもそも “他人の食べ残し” で得られた情報は自分の内から生れ出でたものではないため、根っこの部分から体系立てられたものでなく、曖昧で、説得力を欠いている。

 僕自身、1年前の自分のブログの記事を読んでいると、「なんか嘘くせえ」と感じることがしばしばあります。表現は自分なりの言葉に変わっているけれど、「この部分、あの本から得た知識だよね」と何となしにわかってしまう。

 更新頻度の高い読書ブログが「要約」になりがちなのも、やはりアウトプット以前の “思索” ができておらず、根幹に “思想” がないことに起因するように見える。「一部抜粋」を繰り返し引用しているだけで、「感想」にすらなってない場合もあるので。なら、帯の紹介文でも良いじゃん、と。

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 ──なんてことを読みながら考えてしまったため、「これはもしや、『あんたの読書はなってない』という局長さんからのツッコミか!」と深読みしてしまいました。純粋におすすめしてくださっていた場合にはごめんなさい!ありがとうございます。

 本書に限らず、誰かの思想がパッケージされた「本」という媒体を贈り物として選ぶ場合は、プレゼントする側からされる側に対して、ある種のメッセージ性が付与されることもあるのかもしれない。今回、プレゼントをいただいて、その内容を読んで、そんなことを考えました。

 しっかりと全文を読んだうえで、改めて感想をまとめようと思います。局長さん、この度は素敵な贈り物をありがとうございました!

 

 

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