漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

ディアスポラ・・・神の不在の宇宙誌

2006å¹´07月05æ—¥ | èª­æ›¸éŒ²


「ディアスポラ」
グレッグ・イーガン著
ハヤカワ文庫SF

 ひとまず読了。
 感動的な本。

 最初、この本を読了できるかどうか、不安になったが、それは杞憂だったようだ。確かに難解だけれど、ストーリー自体が難解なわけではないからだ。この小説を好きではないという人は、多分、SF小説に向いていない人だろう。
 この本については、解説で紹介されていた英ローカス誌の発行・編集人であるチャールズ・ブラウンの「これはなんのためにSFがあるのかを雄弁に物語る作品だ」という言葉が、みごとに的を得ているような気がする。大森望氏が言うように、「イーガンはほとんど独力で、現代SFの最先端を支えている」のだろう。この作品は、ステープルドンからクラークを経て辿り着いた、「未来誌」の最先端であることは間違いない。
 この作品の素晴らしいところは、「神」あるいは「それに相当する存在」がいない点である。イーガンの短編「祈りの海」でも顕著なように、イーガンの作品からは、「絶対者」が完全に排除されている。僕がイーガンの作品を好きなのは、その点に依るところが大きい。
 僕には全く神仏に対する信心がない。幽霊や超常現象にも懐疑的だ。にも関わらず、僕はある意味で、自分がとても宗教的な人間だとも思っている。多分、人間はある程度、何かにすがりたくなる生き物なのだろう。
 僕が信じているものは、「世界のなりたち」なのだと思う。「神」のような、人が作り出したものではなく、そもそもこの物理的な世界を支配している「しくみ」。それを知りたいと思うのだ。
 





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イーガン (seedsbook)
2006-07-20 15:54:40
私は、少し前に彼の「万物倫理」を読みました。

とても面白かったです。

ストーリー性を追うだけの薄っぺらい話は面白くないけれど、イーガンの作品は多様に読めると思っています。ちなみにディアスポラ・は読んでいません。面白そうですね。

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Unknown (seedsbook)
2006-07-20 15:56:01
もう一度失礼します。

万物倫理ではありません

万物理論でした。(苦笑)
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Unknown (shigeyuki)
2006-07-20 19:21:29
こんにちは。

「ディアスポラ」は、読む価値のある本だと思いますよ。ここ数年に読んだSFの中でも、一番感心した小説です。SF的な設定を借りつつその内容はオカルトとラブコメの混合物、といった小説とは一味違う、真摯で真っ当なSF小説でした。
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