3D CG, CAD/CAM/3Dプリンタ な日常でつづる クルスの冒険ブログ

このブログは引っ越しました!引っ越し先は…「とある思索の集合演算」と検索してみてください。よろしくお願いします。

「立体コピー」とか「3Dコピー」とか (その5 最終回)

2009å¹´06月18æ—¥ | â–¡3次元CAD私論

「立体コピー」とか「3Dコピー」とかの話を進めてくると、3D形状データというものの性質に立ち入ることになる。

これは、どうしてもそうなる。そしてそれは、CADもCGも地続きである話。底でつながってるんだね。

設計や製造の分野で3D CADを使えるようになると、すごく楽になることがある。
その代表のひとつが、断面図、アイソメ図を作ること。これがとんでもなく楽になる。
どの場所の断面も、どんな方向のアイソメも、パソコン任せでサクっと作れる。

それもそのはずだ。だって、3Dのカタチの情報があれば、断面やアイソメは「作る」ものではなく、
もともと持っている膨大な情報量の中から、その「ごく一部を抽出する(切り出す)」ってことだからだ。

言ってみれば、「描く」のではなく、「写す」だ。行為としては、写真を撮るのに近い。
 
情報の量は、「立体>面>線>点」 ・・・ね?断面を切り出したりアイソメを描くのは、右向きの方向だから、楽なの。
情報量で見ると、高解像度の画像のサイズを小さくする、ってことと一緒の方向だね。

でも、それとは逆の方向…「立体>面>線>点」右から左向きに行く作業というのは、大変なんだ。

そう、もとになる情報では足りないから、情報を補わなければならないからだ。

足りない情報を補う…という作業は、パソコンは苦手だ。
 
逆に、それをやれる存在が一つだけある… そう、「ヒト」ね。
今、「立体コピー」と言われてる作業では、ヒトが結構な手間をかけて、立体スキャナと立体プリンタの
間を取り持っている、というわけですよ。

「立体コピー」とか「3Dコピー」の話をまとめに入りますが、
 
要するに、「立体スキャナー」の情報だけでは「立体プリンター」は動作できない、
という点が事をややこしくしている、ってわけだ。

<まとめ>
○立体スキャナー(3Dスキャナ)は、コピーする物体の表面の点しか得られない

○立体プリンター(3Dプリンター)は点では動けない(断面が要る)
 
○立体スキャナー(3Dスキャナ)は、光を使うので撮影(測定)出来ない部分が必ずある

○立体スキャナー(3Dスキャナ)の情報から立体プリンター(3Dプリンター)が動ける情報を作るのは、自動化が難しい

だから、「立体コピー機」は作りにくい。← 結論。

最初に約束したとおり、
 
「もし、立体コピー機が作れるとしたら…」というお話をしましょう。
全然難しくない。

○顔なら顔、それ専用の立体コピー機なら、割と作れるでしょう。
 
です(笑)

立体スキャナは光を使います(レーザーもカメラも基本は光)。
光は直進しますから、陰になっている部分は測定(撮影)できません。
かならずどこかに、カタチの情報を取れない部分が出てきます。
 
その部分を、「ある程度自動的に」埋めてしまうアルゴリズムを作れば、いい、というわけです。
 
少なくとも、現在大きくヒトが介在して修正しているデータの作業を、ある程度自動化することは出来るでしょう。
 
ただし… 「顔専用の立体コピー機」とか、「電車専用の」とか、「ヒコーキ専用の」とか、
 
そういう限定的な性格に対して、「コピー機」というコトバを当てはめるのは、
 
…どうだろう?(笑)
 
相応しいだろうか?… 相応しくは、ないよね。
 
一番最初に戻りますけども、一般にイメージさせる言葉の意味を強引に当てはめようとすると、
誤解が生じて決して良いことばかり起こらない、と、私は思います。
 
「立体コピー」という行為のキモは…
 
「立体スキャナのデータを、どれだけ自動で、どう修正するか?」
 
で、ございます。
スキャナもプリンタも、あまり問題じゃありません。その間に、問題はあります。
(紙のコピー機に比べたら、時間がかかるという問題は残るけどね)

これまたいつもの、「結局、誰がどういうデータを作るかなんだよ」
という話だけどね。
 
…次は、もっと軽い話題やろう…
こういう話題は、アタマ使うから大変(笑)
 
ではまた。
 

「立体コピー」とか「3Dコピー」とか (その4)

2009å¹´06月13æ—¥ | â–¡3次元CAD私論
どんなに簡単に書こうと思っても、難しいことは難しい(笑)
ただ、ウソになってしまうくらいならば、難しい方がいいと思うけれど。
とにかく始めちゃったからやらなきゃだ(笑)、行こう。

さて、前回の続き。回答からだ。
 
質問1: 昔の写メは解像度が低く、画質が悪いです。
その画質を高画質にするにはどうしたらいいでしょうか?

回答1: そんなのできないよ。できないから、あきらめる。
 
質問2: 画素数の多い高画質デジカメで撮った画像のファイルが大きくてこまっています。
このファイルサイズを小さくするにはどうすればよいでしょうか?
 
回答2: そんなのカンタンじゃね?ツールも沢山あるし、サイズを小さくするとかいくらでもあるね。

こんな感じじゃ、ないだろうかね?

誰でも分かる以上の話を言い換えると…
 
「解像度の低い写真をキレイにすることはできないけど、解像度の高い写真を軽くすることはカンタン」
 
つまり…

「沢山の情報を必要な分だけに間引くことはカンタンだけれども、
そもそも少ない情報を増やすことは出来ない、もしくは非常に困難」
 
ということなんだよね。わかるでしょ?
 
…さぁ、ここまで来たら気が付いてね(これはお願いだ 笑)

「情報の量」(=さっきので言う解像度だ)で見ると、

点 < 線 < 面 < 立体

なんだよ。

だから、より情報量の多い方… 例えば面から線を抽出することはカンタンだ。線から点も、同じ。

でも…問題はその逆なんだね。

点から線を作る、線から面を作る… というのは、かなり面倒なものなのだ。
 
なぜか? …うん、それは、
 
「そもそも足りない情報を補う作業」 だからだ。

「足りない情報を補う」とは… 「判断を要する」ということなんだよね。

足りない情報を補うには補うけれど、「どう補いますか?」という判断が必要になる。
 
こういうことだ。
 


この3つの点を通る線を描いてみようか。
 
こうかな?
 


それとも、こうかな?
 


これも、アリだ。
 


こっちも。
 


・・・どれがイイ?(笑)

そ、どれも正解、どれが間違いってわけじゃなく、どれもアタリだ。

つまり、「どれにする?」って判断が必要になる。

で、だ。
 
こういう、「いっぱいある点から線、面を作れ!」って作業はパソコンでやるんだけどさ。
 
パソコンってのは、
 
「判断の必要がない、決まったことをベラボウに速いスピードでやる」
 
というのには非常に向いている。だけどその逆
 
「自分で考えて、イイ感じにやって頂戴」

ってのが、最も苦手な仕事だ。…というか、ほとんど出来ない。
 
「イイ感じとは何か?」を指示されないと何も出来ないからなんだよね。
 
しかも、だ。

これが点が3つだからまだいい。
 
「立体コピー」「3Dコピー」ってことになると、膨大な点の集まりに対してこの判断と作業を行わなければ、ならない。
 
一言で言うと… 「すっごく難しいんだよ」(笑)ってことなんだ。

だから、

「イイ感じ」の線(ひいては立体)を作る…
 
というのと
 
「細かく点をスキャンする」
 
というのは、必ずしもイコールじゃないんだよね。
 
どちらを優先するのか?… って問題は必ず顔を出すものなんだ。
 
キレイな、滑らかな、自然な…カタチ… つまり「イイ感じ」の曲線は、
 
細かく点をスキャンすりゃ出来る、ってものじゃないからなんだ。
 
つまり、スキャンした点に対して、ある判断のもと、手心を加えないことには
「イイ感じ」のカタチにはならない。
 
…こうなると、どうだろう?3Dスキャンの「精度」ってのも …ね?(笑)

「イイ感じのカタチ」を作るには、スキャンの精度よりもむしろ、

スキャンした点の集まりを、どういう風に繋ぐ線を描くか?
 
の方が、より重要になって来たりするんだよ。
 
ぶっちゃけ、「高精度で大量に点をスキャンする」努力は、

必ずしも「イイ感じのカタチ」「スキャンしたカタチの再現性」とはあまり関係なかったりする。ホントだよ。

面白いでしょう?
 
以上のようにですね…
 
「カタチ」というのは、その情報の量で見ると、とっても理解し易くなる。
 
身近な話では…
 
「キャラ絵」 と 「フィギュア」ではどっちがカタチの情報が多いでしょう?
 
って話。
 
当然、立体(物体)である「フィギュア」の方がカタチの情報量は膨大に多い。
 
(おっと、「想像力」の話じゃないよ。別にキャラの作家やマンガ家を悪く言う話じゃないからね、ご注意を)
 
で。原型師、スゲーって思うじゃない?思うよね?
 
その「スゲー」には、手先の器用さもあるのだけれど、むしろ…
 
「絵から立体を作りだす」
 
つまり、「足りない情報を補って、立体を成立させる」という能力
 
に、みんな「スゲー」と思うわけなんだ。
 
「絵」である、つまり立体(物体)にするには全然情報の足りない「長門有希」を、
その足りない情報を補って、
誰が見たって「長門だね」、と思ってもらえる立体(物体)にする…
 
この能力と器用さを原型師は持っている… ってわけなんだ。
 
それと全く同じように、3Dのモデリングが出来る人っていうのは…

「絵」である、つまり立体(物体)にするには全然情報の足りない「秋山澪」を、
その足りない情報を補って、
誰が見たって「澪ちゃんだね」、と思ってもらえる立体データ(3D CG)にする…

ってことをやってるんだよ。 → 参考資料 
・・・難しい?(笑)
 
でも、こういった事を理解して突き抜けると、次の理解が待ってるから。
 
そうすると、新しいことが見えるようになるから。
 
ワタシたちが仕事にして来ている3D形状データのことを、
 
より多くのヒトに理解されたくて、

ワタシも頑張って書くからさ。
 
じゃ、次回で一旦最後にしよう。
 
またね。

「立体コピー」とか「3Dコピー」とか (その3)

2009å¹´06月10æ—¥ | â–¡3次元CAD私論

最初に書いておきゃ良かったと後悔してますが…
 
○3Dスキャナ(デジタイザ、とか測定機とも言う)

には大きく分けて二つの利用目的があります。それが違うと全然違う話になる。

一つ目の目的はここで書いているように、スキャン(測定)したカタチを作る、ということ。
もう一つは、測定そのものが目的であること。目の前のモノが狙ったカタチや寸法になっているか?
を調べる、ってことだ。(違い、わかる?)

もちろんここでは、「作るためにスキャンする」という利用法について書いてます。
(…というくらい、この手の説明はとにかく前提として分かっていただかなくてはならない事が非常に多い…)
 
さて、続き。
(このblogは深夜に書いて翌日の昼にアップするパターンだから、どうしても夜のアタマで書いているので色々許してね)
 
今日は…ちょっと難しい。なるべく分かり易く書くから、ちょっとゆっくり読んでいただけると嬉しい。
 
ワタシも、これが世にいう「幾何」なるものであることを後から知った。
なるほど、学校の勉強はしておくものだったな…(とても後悔してます…)
 
じゃ、行こう。

二回に渡って、

○3Dスキャナ(デジタイザ、とか測定機とも言う)
○3Dプリンタ(RP機とも言うね)

の解説をして来ました。その中でどうやら分かって来たのは、以下のことだと思う。

1.3Dスキャナは、スキャンする対象の表面の点しかスキャンしない
2.3Dスキャナは、どうしてもスキャンできない場所がある
3.3Dプリンタは、作ろうと思うカタチの断面の情報をもとにして動く

こういう性質があるんだね。それぞれの原理として。
 
ここで気づくのは、

「…あれ? 3Dスキャナが取れる情報じゃ3Dプリンタは動けないんじゃね?」

ということだ。そう!そうなのよ!
それが分かれば、「立体コピー」とか「3Dコピー」とかが如何に言葉の持つ印象と実態とが異なるものかも、分かってしまう。

○3Dスキャナ(デジタイザ、とか測定機とも言う)
によってスキャンできる情報って、これだ。



そう、点の集まりだ。これは、いいね。

1.3Dスキャナは、スキャンする対象の表面の点しかスキャンしない

だね。
じゃ、これを3Dプリンタ(立体プリンタ)に渡して… と思いたいところだけど、チガウ。

3.3Dプリンタは、作ろうと思うカタチの断面の情報をもとにして動く

これが引っかかるからだ。
点は、断面の情報ではない。だから、点だけを元にしては3Dプリンタ(立体プリンタ)は全く動けない。

そこで、断面にしてあげなくちゃならない。少なくとも、線でつないで閉じたカタチにしてあげる必要がある。

点の集まりを一番カンタンにカタチにするには、隣り合った点と点を直線で結ぶってのが考えられる。
 
これだ。



ね?でも、これじゃ一層だけなのでそれが上下に積み上がると… 
こうなる。
 


…もうわかったね?そうです、これがいわゆる「ポリゴン」ってやつですよ。
ゲームとかで良く聞くね。

こうなるとね、これはもう立体です。立体には当然断面もあるから、3Dプリンタ(立体プリンタ)君もそれに従って
動けるようになるわけですよ。

これを見て、「おお!そういうことか!」と分かってくれる人が沢山いると嬉しいな。
 
でも点と点を直線で結んだ立体って… カクカクで嫌じゃね?(笑)
 
まぁ、そのカクカクをどんどん微小にして行けば、3Dプリンタ(立体プリンタ)で作っても
そんなに気にならないけどね。分からないくらいには、なるよ。

「でもなんか、滑らかなカタチにしたいよ…」

と思うと、こうする必要がある。
 


点と点を、「イイ感じ」の線で結ぶ、ってことだね。
 
ここまで行けば、なんとなく「立体コピー」とか「3Dコピー」が近づいてきたよね。

… ホントか? …ホントにそうか?(笑)

無数にある点を直線で結ぶ… とか 
点と点を、滑らかな「イイ感じ」の線で結ぶって… そんなにイージーなものなのか?

今日はここまでにしますが、最後にふたつのしつもん。
 

質問1: 昔の写メは解像度が低く、画質が悪いです。
その画質を高画質にするにはどうしたらいいでしょうか?
 
質問2: 画素数の多い高画質デジカメで撮った画像のファイルが大きくてこまっています。
このファイルサイズを小さくするにはどうすればよいでしょうか?
 

ちょっと、考えてみてね。

「立体コピー」とか「3Dコピー」とか (その2)

2009å¹´06月09æ—¥ | â–¡3次元CAD私論

はい、第二回。つづき、だ。
 
前回は、「立体コピー」とか「3Dコピー」とかってのも紙のコピー機と同じく…

○3Dスキャナ(デジタイザ、とか測定機とも言う)
○3Dプリンタ(RP機とも言うね)

の2つの要素が組み合わされて行われる、と書いた。

で、前回はそのうち3Dスキャナの方を説明したんだね。
 
じゃ、今回は3Dプリンタの方、行こうか。
 
…これだ。
 


ちょ、まっ!待ってよ。マジメにやってんだって(笑)

ホントだよ、ソフトクリームの作り方を知ってれば、3Dプリンタ(立体プリンタ)の原理は大体分かる。
 
そもそもモノを作る方法って、ざっくり分類すると意外と少ないものだ。
(細かく見ると、果てしない宇宙のように広く深いけどね…)
 
・切る、削る、穴をあける…(切削)
・曲げる、ぐぃっと型に押し込む、溶かして型に流し込む(塑性変形)
・材料を積み上げる(積層)

以上3つ。大体が以上の3つに当てはまる。
ホントだよ。大きくは、こんなもんしかないんだ。
  
で。
 
3Dプリンタは、三番目の「積層」って方法だ。
 
何もないところに、作りたいと思うカタチに材料を積み上げてつくる、これ。
ね、ソフトクリームと同じでしょ?(笑)
 
ソフトクリームは、平面方向(XY軸、この場合左/右と手前/奥)を動かして丸を描きつつ…
垂直方向(Z軸、この場合は上/下)、つまり下に少しずつ動かしてつくる。

だよね?バイトでやったことがある人もいるでしょ?
  
ちょっと考えると分かると思うけど…
 
・切る、削る、穴をあける…(切削)
・曲げる、ぐぃっと型に押し込む、溶かして型に流し込む(塑性変形)

この2つは、まず材料があって、その「材料の表面」を相手にして加工するんだね。

ところが、
 
・材料を積み上げる(積層)

だけは、違う。積層は、「層」ってくらいのもんで、「材料の断面」を相手にして加工する。

ここが大きな違い。わかる?難しくないよ。
 
以上の事を「逆に言ってみよう」・・・そう!
 
・材料を積み上げる(積層)

は、作ろうと思うカタチの「断面が無いと作れない」・・・ってことだ。
 
そりゃそうだ。全ての断面を一層一層積み上げて作るのだから、断面の情報が無かったら作りようがない。
 
少なくとも、作ろうと思うカタチの最も外側の線が一本でつながっていなけりゃならない。
 
鋭い貴方はもうお気づきだろう…
 
3Dプリンタを使うには、「3Dのデータが必要」なのではなく、正確には

「作ろうと思うカタチの全ての断面情報が必要」

で

「その全ての断面を持っている情報の形式が…3Dの形状データしかない」

ってことなんだよね。そういう順番だ。
 
そう、立体ってのは断面の集積だ、とも考えられるわけだよ、うん。
 
実は数学なんだよね(笑)この話ってさ。でも、全然難しい話じゃない。

何度も何度もワタシが言って来ている

「3D CGでモデリングできる人は、3D CADが使えず製図しか書けない人よりも、ある意味では、製造業と親和性が高い」
 
「3D CGでモデリングが出来る人は、それだけで製造ポテンシャルを持っている」
 
その理由が、少し分かっていただけると思う。(と、いいな)

3D CGでモデリング出来る、ということは、「カタチを完全に定義出来る」ってことだからだね。

「立体プリンタ」「3Dプリンタ」は、そのことをとても端的に証明してくれる機械だ。
 
で。
 
「3Dプリンタ」「立体プリンタ」ってのは、元々はRP機なんて名前で呼ばれてて、
Rapid Prototyping(=素早い試作)って言われるジャンルの機械だ。
主には工業製品の試作用として発達して来た。
 
「3Dプリンタ」「立体プリンタ」には本当に沢山の種類があって、それぞれに利点・欠点がある。
 
当たり前だけど、そこはタダの機械だ。道具だね。
 
色々な種類があるけれど、
 
「作ろうと思うカタチの断面を、一層一層積み重ねて作るよ」

というのは全部共通してる。
 
何の材料を、どういう風に固めて積み上げるか? 

が、機械やメーカーによって違うだけのこと。これは特許なんかも絡む話だ。
 
この辺りの情報は、弊社のホームページにもそこそこ載っているので
ぜひご覧ください。
 
じゃ、これで「3Dスキャナ」「3Dプリンタ」の2つの要素が分かった。
 
次は、
 
「この2つの要素が揃っているのに、どうして3Dコピー機、立体コピー機はそうカンタンに出来上がらないのか?」
 
というお話に行きますよ。
 
繰り返しになるけど、「立体コピー」「3Dコピー」は、行為としては出来ますよ。
 
全然難しい話じゃない。現状では大変な「劣化コピー」にはなるけどね。
 
でも、紙のコピー機から連想されるような、スキャナとプリンタが一体となって、
 
自動で、手軽で、間違いがなく、安価で高品質な…
 
そういう「立体コピー機」「3Dコピー機」はできないよ、という話に行きます。
 
ご注意いただきたいのは、
 
別にワタシが「立体コピー機」や「3Dコピー機」が嫌いだとか、否定したいとかじゃない、ってことだ。
 
ワタシは、コトバの印象で技術が誤解をされてしまうのが嫌なんだよね。
 
本当のところをキチンと分かって欲しいから、書いてます。
 
ワタシは潔いので(笑)
 
「もし立体コピー機が作れるとしたら…」
 
という想定も書きます。
 
こんなにも複雑で、良く分からないチカラが作用する世の中だ。
 
せめて技術の話くらいは、印象だけの評価や誤解がまかり通って欲しくは、ない。

あらゆる技術が一般化することは道理だし、抗えないし、むしろ歓迎したい。

でも、印象だけの評価や誤解が大きいと、その技術の一般化そのものが阻害されてしまう危惧を、ワタシは持ってるのですね。
 
だから、ネットの世界は広大だけど、その片隅(隅という概念すらネットにゃないか…)であっても、本当のことを書いておこうと思ってるんです。

…書いてて思ったけど、このブログは、たぶん、RP機を販売している営業マンにこそ、お役に立つと思うよ(笑)ね?

そういう事で、…つづく~
 

「立体コピー」とか「3Dコピー」とか (その1)

2009å¹´06月07æ—¥ | â–¡3次元CAD私論
 
クルスの冒険です。

「立体コピー」とか「3Dコピー」という語句で検索して来てくれる方は多い。
 
最初に言っておくけど、今のところ世の中に「立体コピー機」とか「3Dコピー機」
という機械は存在しない。これホント。
 
そして皆さんが、その言葉から受ける印象のような「立体コピー機」とか「3Dコピー機」というような機械は
今後もしばらく出来ないだろうね。少なくともワタシはそう考えてる。

ワタシがそう考えるには、理論的な理由がある。その理由も分かるように書きます。
 
ただし、「立体コピー」とか「3Dコピー」は、行為としては出来ますよ。(質は悪い超劣化コピーだけどね)
「紙のコピー機」のような、手軽で、信頼性が高く、コピー代が安く、自動のは、まず出来ないよ、と断言しておきたい。

逆に言えば、「こういう条件がそろえば出来るでしょう」ということも書きます。

意外と大したことじゃないから、さ(笑)

さて。 
 
すごく先進的に聞こえて、とても革新的でハイテクな印象のある
「立体コピー」とか「3Dコピー」だけど、何も特別な技術じゃない。ホントだよ。
技術やその道具としては20年くらい前からある(もっと古いかも…)。
 
「立体コピー」とか「3Dコピー」の本質を理解する前に、普通に会社にある
「立体じゃない」紙のコピー機を思い出してほしい。そう、普通のコピー機。
 
紙のコピー機は、2つの要素で出来てる。

○スキャナ
○プリンタ

だね。コピーしたい紙を置いて、それをスキャナで読み取って、その情報を基に
プリンタがプリントする。
それが1個の機械で、ほぼ自動に行われる。それがコピー機。

だから複合機と呼ばれる機種はスキャナ機能を備えていたりする。
元々コピー機にはスキャナの機能は必須なわけだから、自然な話だよね。

「スキャナ一体型プリンタ」を、コピー機と呼ぶんだよね。
 
ここまではいいよね?
 
じゃ、次。「立体」とか「3D」とか、行こうか。理屈は一緒だ。
 
その印象とか言葉の響きとは裏腹に、「立体コピー」とか「3Dコピー」も大したことじゃないよ。
ホント、大した技術じゃない。原理も、大したもんじゃないって(笑)
 
○3Dスキャナ(デジタイザ、とか測定機とも言う)
○3Dプリンタ(RP機とも言うね)

この2つを組み合わせて使うと…ハイ、「立体コピー」とか「3Dコピー」と呼ぶわけだ。
 
すげえじゃん!…いや、すごくないって(笑)全然大したことないよ。
 
じゃ、ひとつずつ見て行こう。まず
○3Dスキャナ(デジタイザ、とか測定機とも言う)
の方ね。
 
眼の前にある物体のカタチを測るとき、どうする?
…そうだね、物差しを使う。ちょっと正確にやりたいとノギスとかだ。
でも測りたい物体がグニャグニャしてたり、球では無い丸っこいカタチだと、どうする?全体に丸っこいカタチは測れない。
第一、測らないとホントに球かどうかも分からないよね。

…そうね、手段が無い。それを可能にしましょう、というのが
○3Dスキャナ(デジタイザ、とか測定機とも言う)
だと考えていい。
 
すげえじゃん!…いや、すごくないって(笑)
 
測りたい物体がグニャグニャしてたり、球では無い丸っこいカタチの場合は、
基準となる場所から、測りたいモノとの距離をたくさんたくさん計測して、その距離の集まりを並ることで、測るんだ。

こういうの、見たことあるでしょ?


基準となる場所から、測りたいモノとの距離をたくさんたくさん計測するのに、たくさんのピン(針)を使う。

こんな風に使うんだね。


「フォーマーゲージ」とか「コントラゲージ」、「針千本」なんて呼ぶ。
ナニ?見たことないか?…じゃあ、これは?



「ピンプレッション」とか「ピンアート」、たぶん商品名だ。
これは知ってるでしょ?これは、「ピース」してる手を計測したってことだ。

…これ、「立体コピー」とか「3Dコピー」とかの一つの要素である
○3Dスキャナ
なの。いや、ホントだって。考え方は、正にこれなんだよ(笑)
全然難しい原理じゃないでしょ?
 
実際、この無数のピンを測りたいモノにくっ付けて行って、計測する機械もある。

こういうのね。



台に乗ってる青いモノが測りたいモノで、上のピンを青いモノにくっ付けて行って、全体のカタチを測るってわけだ。

こレを見て、「スキャナ、チガウじゃん…」と思ったアナタ。アナタは思い違いをしてます(笑)

スキャナ、というときにはこういうピン状のモノを接触させてるとなんか違う…と思っちゃうけど、
このピンの代わりに、レーザー光線を当てたり、写真(まぁ、デジカメだ)を使ったり
するだけの話。
 
そういうのを、「非接触式」という風に呼ぶ。計測するモノにピンなどが触らないからだ。
 
でも、同じことだよ。
 
ここで押さえて欲しいのは、
 
「3Dスキャンで計測できるのは、立体表面のたくさんの点だ」
 
ってことだ。3Dスキャナが取るのは、たくさんの「点」なんだよね。それも、見えるところの表面の点だけ、だ。
 
「あー、なるほど、たくさん点が集まれば立体になるよなぁー…」
 
と思っちゃったアナタ!そう、そこのアナタだ。大間違いだからね、それ。
自分を教えてくれた数学の先生に謝ってきなさい。今すぐ、だ。
 
「点は座標をあらわすものであって、点には面積はない」
 
ってのを、忘れてたね?ハイ、謝ってきなさい(笑)。
そう、みんなここに引っかかる。

点は、何万点、何十万点、何億点集まっても、カタチじゃない。
点描ってあるけど、無数の点が集まっているとまるで色を塗ったような「面」に見えるのだけど、
点には面積は無いから、何億個集まったって面にはならない。
 
○塗ったように、カタチがあるように見える

ということと

○面である

ってことは、全く違うんだよね。
 
そろそろ今日のまとめをしますよ。
 
<3Dスキャナとは>
・スキャナがスキャンする対象から取れるのは、無数の点だけです
・点はいくら大量に集まっても面や立体ではありません
・光は基本、直進しますから後ろ側はスキャンできません(これは紙のスキャナと一緒ね)
・紙であれば表裏だけで済みますが、立体をスキャンするとなるとあらゆる方向からスキャンしなければなりません
・あらゆる方向からスキャンした点を、正しく立体に並べなければなりません
・奥まったところ、内側に回り込んだところは、スキャンできません
 
これが、3Dスキャナ、立体スキャナです。
 
次回は、3Dスキャナ、立体スキャナのもう一つの要素、3Dプリンタ、立体プリンタのお話をします。
 
それで、立体コピー、3Dコピーの要素が揃うってわけだ。

じゃ、また次回。
 

初音ミクに愛を込めて(その2)

2009å¹´02月10æ—¥ | â–¡3次元CAD私論

写真は、MikuMikuDanceで楽しむことを目的にDL配布されている
『初音ミク』の3Dデータをちょこっと修正して、
3D 立体プリンターにかけてみたところです。

どうですか?ミクに見えますか?
3Dデータから、自動で、色付きで、物体になりました。
 
でも、この「3D CGからの立体出力」を

・クオリティ
・コスト

で、一般に市販されているフィギュアと比べてはだめですよ。
どうしてか?そりゃ、あれだ、
「3D CGからの立体出力」は、一般に売られているフィギュアに
クオリティで足元にも及ばず、コストで全く見合わないものだからだ。
(みんなグッスマのを買おう!)
 
ただし「自分だけの、一個だけの初音ミクをつくる」という事にかけては
これしか方法がない。ボーンが入ってるからどんなポーズだって出来る。
表情も服も変えられる。
他に方法があるとすれば、市販のフィギュアを改造することだ。
貴方が非常に器用であるならば、手で改造することをお勧めします。
一個しか作らないなら、手に勝る方法はない。これは真理です。

モノをつくる…って行為は、一個だけつくることと、大量に同じモノをつくる、
ってことでは、まるで別の問題になるのだね。これは工学の常識。
  
MikuMikuDance(CGアニメーターツール)の登場。
これも、その経緯についてはwikiなどで別に調べていただきたいのだけど、
要するに以下のような流れだ(と、思う)。
 
0.ニコニコ動画の存在が環境としてあった←非常に重要!
1.ボーカロイドソフト『初音ミク』の発売→歌わせる(音のみの楽しみ)
2.初音ミクの歌声に映像を付けてニコニコ動画にアップしたい(PVを作りたい)
3.初音ミクの3DデータDL配布+MikuMikuDanceのDL配布
4.3Dの初音ミクに歌わせて躍らせる…という「遊びの提案」
5.数種類の初音ミク3Dデータ登場、DL配布開始
6.数種類の初音ミク3Dデータが存在
7.「ひとつの遊び」として一定層に定着、ニコニコ動画での隆盛
8.現在に至る

この流れの中で、大きな企業体が商売ベースで行っているのは、
0.と1.のみだった。
他の、開発費が発生するはずのMikuMikuDanceというソフトも、
モデリングの手間がかかる「○○式ミク」と呼ばれる数種類の
3Dデータも、非常に意欲的で、献身的で、しかも能力を兼ね備える
ネットの中のどこかの誰か、が基本的には無償で配布しているものだ。
(いわゆる「神」の存在ですね)
 
もちろんこれは、初音ミクという存在を広く解放している版権者の姿勢が
全ての基礎になっていることは、言うまでもない。ありがたい話。
  
少し惜しい!と思うのは、この一連の「遊びの提案」の中には、
「既存の初音ミク3Dデータに変更を加えて、自分なりの初音ミクにしよう」
という、3Dデータをいじる側の要素があまり無かったことだ。
 
例えるならば、魅力的なコンテンツのプラモデルとして、初音ミクキットは、広がった。
それも、数種類のバリエーション(作家性)を伴ったキットがいくつも世に出た。
しかし、キットを入手した側は、そのキットを素組した状態で、写真撮影に精を出した…
キットそのものに手を加える遊びの提案は、あまり成されなかった。
 
という感じ。実に惜しい!
 
でも、素晴らしい変化だと思う。これで、

・ごく一般の人が
・個人の楽しみのために
・3Dデータを自分のPCにDLして
・何かをする…(今はムービーを作る)

という流れが、とりあえずは出来たからだ。
この流れが出来たのは、結構すごい事だと思う。
 
この流れにもう一つ、二つ、遊びの要素…

・DLした3Dデータを自分好みに改造して(背景や色だけでもいい)
・自分好みの3Dデータを作って…
 
が、「遊びの提案」に組み込まれて…さらに
 
・何かをする…

この「何か」にいくつかのバリエーションが増えると、世界は変わるだろう。
 
鋭い人はもうお分かりかと思うけれど、要するに
 
「オラザク選手権」を、3Dのデータで、魅力あるコンテンツ(今回は初音ミク)
をベースにやってみる提案をしよう、ということだ。
 
「オラミク」を3Dでつくろうぜ、って話。
 
「オラザク選手権」における

・バンダイのキット を 3Dデータ に置き換えて
・モビルスーツ を 初音ミク に置き換える

それだけの話。
 
もちろん、人によってレベルの差はあっていいし、それは当然出てくるだろう。
プラモでも、丁寧に素組をしたよ、というレベルと、どこにキットのパーツを
使ってるんだ?というほどのレベル、果てはキットは使わずスクラッチビルド、
という職人まで、レベルは様々だ。
 
それで、いい。
 
そうあって初めて、クリエイターの階層構造を作り出すことが出来るのだから。

ちょっと考えてみて欲しい。
 
3DデータをDLして来て(テンプレだね)、その3Dデータに手を加えて、何かをする…
 
という人が増えることを、3D CGのユーザが増加したと言えないだろうか?(言えるでしょ)
 
この全体の流れが出来たら、後は初音ミクをその時に人気のある何かに入れ替えていけばいい。
 
この流れが広く行われてはじめて、3DデータのDLにおカネを払ってもらえるようにもなるだろう。
 
そして、この「3Dデータを使って何かをする…」のバリエーションの中に、

ぜひとも、「3D CGからの立体出力」を加えて行きたい。
 
それは、単純に3Dデータを使った遊びのバリエーションを増やすことにもなるし、
 
いつも言っている「製造ポテンシャルを持った人口」を増やすことにも直結するからだ。しかもそのポテンシャルを本人が自覚することもできる。

ワタシが、ここまでして3Dモデリング人口を増やしたい理由が、まさにこれ。
3Dモデリング人口は、そのまま製造業へのポテンシャルになる。

これは、特殊技能を持った町工場の職人さんをTVで持ち上げることよりも
 
ずっとずっと私たちの国全体の、製造業という巨大な産業にとって
 
貢献することなんだと、ワタシは信じてます。
 
モノづくり産業が好きだから、3Dユーザを増やしたい…
 
そういうこと。

それがCGであるかCADであるかは、あまり問題ではない。
(これは何度も言いました)
 
…夢は、膨らむ。
 
でも、この夢において技術的な障害は全く無い。(ホントに何もない)
 
コスト的にも、全く高くない。PCはみんな持っているし、メタセコは十分な機能を持っている。道具は、十分にそろっている。
 
後は、この一連の流れを「趣味の提案」としてやるだけなんだ、と思う。
 
どうだろう?どこかの出版社さん、「オラミク本」作りませんか?
 
または、「オラミクをつくる」連載を雑誌でしませんか?
 
これは、別にCGの雑誌じゃなくていいと思う。
 
ハッキリ言って、CAD/CAMとかはもうネタ切れだ。
編集の皆さんもそう思ってるはず。読者もね、みんなそう思ってる。
 
こういうのが、あってもいいと思いますよ。
 
立体出力のところはお手伝いします。
 
肝心の「オラミク」モデリングのところも、お手伝いします。
 
興味のある方、連絡ください!

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初音ミクに愛をこめて(その1)

2009å¹´01月30æ—¥ | â–¡3次元CAD私論
 
さて、すなみさんからの話題の提起がとても面白いものだから、
頭の中にあるものを、クルクルと送り出してみたいと思うですよ。

最初に言っておきますが、この場合、3Dが指すのはCADなのかCGなのか?という分類はひとまずどうでもいいと思う。
なぜならば、最終的な目的が違うというのはあってもPCのモニターの中で
立体の形状を定義するという行為で見れば、どちらも本質的には一緒だからだ。
(そもそもCADというのは、CGの一分野なんだからさ)

それと、PCのスペックや3Dソフトの機能については相手にしない。
なぜなら、それらはもう十分に安価で、機能的にもさほど不足ないからだ。
いや、売り方や価格、機能というのは「市場状況」が生み出すものだから、変化の余地はある。しかし、今と、これから先は製品が市場状況を変えていくことはもう無理で、市場状況の変化があって、それに対応したより良い製品が生み出されるだろう、とワタシは考えているんだね。このニワトリ・タマゴは決着していて、もう明確に市場状況の変化が先だ、と思ってます。まぁ、順番の問題です。
  
一応テーマ的なものとしては、
 
「ところで3Dモデリング人口を今よりもっと増やすにはどうすりゃいいのか?」
 
これ。
なんとまぁ、遠大なテーマだこと(笑) 
 
PC前とPC後っていう時代の大枠で見ても、3Dモデリングはかなり特殊なものだと思う。それは、3D以外の適用業務(アプリ)は、PC以前にも必ず全く同等のものがあったからだ。
 
チラシを作ることも、写真を撮ることも、音楽を聴くことも、通信は電話や手紙、Faxで、ワープロは写植という方法で、そして設計は製図を描くという形で、ほとんどの行為がそれ以前から存在していた。ゲームですら、ボードゲームはPCやゲーム機に置き換えただけ、というものは数多い。
 
PCが誕生しても、それらの行為をPCで(=デジタルで)置き換える…ということに過ぎなかった訳だね。
 
言い換えると、従来からある行為を「これはPCで置き換えられるだろう」というトライを重ねることがアプリケーションソフト開発の主流であったと言ってもいいと思う。
 
ところが3Dモデリングって、それ以前には全く同等というものが無かった行為なんですね。
 
ただ、粘度細工や工芸や工作が、PC以前の3Dモデリングに相当するんじゃないか?という見方には賛成です。
ただし、これは年賀状のカラープリンタに相当する機能、つまりRP造型機、3Dプリンタの登場と普及が絶対条件でもあるわけです。
 
あ。ごく普通の人って、今でも3Dモデリングと製造っていうものの結びつきを、ほとんど理解できていませんからね。
これ、本当ですよ。ホントに分かってないです。
 
だから、例の立体プリンターなどをTVで見た時に、とっちらかった理解になっちゃうんですよ。もうね、脳内パニック(笑)
「すげぇええええっっ!」てね。
3Dデータと製造の関係が大枠理解できている人は、あまり驚かない。驚いたとしても、至って的を射た驚き方になりますね。
 
そっからして、今の状況はダメなんだ。 
 
CG映像としては、なんだろう?アニメ、か。自分でアニメ作る、って行為。これがPC以前に存在した行為でしょう。
 
それにしても、これらは、年賀状や写真に比べれば身近な行為ではなかった。だから、3D CGやCADは目新しかったわけです。
 
同じ理由から、設計部に3D CADが普及するのは大変に手間と時間がかかったのですね。これは従来のドラフター(製図板ね)を製図のCAD(2D CAD)に換える時の比じゃないくらい面倒なものでした。
 
従って3Dモデルを作る・使うという絶対的な機会は、どんなに普及しても写真や音楽や年賀状よりもずっとずっと少ないし、今後もそれらを追い越すことも無いだろう… と、私も思っています。
  
でも、それだからといって、それにしたって…
あまりに少ないだろう… もっと増やせるだろう…増やしたいな...と思っておりまして、
 
ではどこに問題があって、どうすればいいのだろう?と、考えを進めて行きましょう。

ワタシなりの結論から言うと、
「3Dモデリング人口を増やすには、PC以前からあった行為の置き換えとしての普及を目指すべきである」
そして、 
「3Dモデリングの場合、PC以前からあった行為とは、アニメ映像制作と模型、工芸じゃなかろうか?」
となります。
 
3Dモデリングが置かれた状況を理解するには、マンガや模型と比べることで非常に際立って来ると思います。3Dモデリングの世界には、他の分野には存在するクリエイターの階層構造がほとんど無いってことだ。
 
マンガは、頂点とも言える鳥山明先生クラスの作家を頂点にして、自分では描かないまでも購入はする、という読者までの間が、膨大な数のクリエイターで埋め尽くされ、それが重層的な階層を持ち、巨大なピラミッド構造になっている。
 
趣味でマンガやマンガ絵を描く人というのはベラボーな数が居て、(コミケを見れば説明するまでもない)様々なジャンルを相手にし、様々な技術で巨大で複雑な階層を作っている。
 
これは、マンガに比べたらとても小さいけれども、模型の分野にも当てはまる。
頂点が一般に原型師と呼ばれる人たちであり、模型メーカーであるとすれば、底辺がキットや完成品を購入するだけの人、ということになる。底辺と頂点の間にはこれまた重層的な構造があって、クリエイターのグラデーションを成していると思う。

もうお分かりだろう。
 
3Dモデリングには、どうにもこの階層が存在しない。もしくは非常に薄い。
そしてその階層の貧困が、全体の市場として大きくなれない一番の原因に違いない。

これが、ワタシの見解です。
 
ゲーム、CG映像、模型、フィギュア、工業製品などを消費する層を底辺として、頂点である、実際に3Dモデリングをする層というのは、ほとんどが職業としてやっているか、玄人裸足のいわゆる「神」的な人ばかりで、頂点から底辺にかけての階層がほとんど存在しない中抜けの構造になっています。
 
コミケやワンフェスを眺めると皆無とは言わないですが、マンガや模型に比べたらやはり階層はスカスカだ、というのが妥当な理解でしょう。
 
この、「クリエイターとしての階層の無さ、薄さ」が絶対的な人口の少なさ=市場のサイズの小ささを決定付けていて、ソフトが売れない、サービスが始まらない、新しい商売をつくれない… ことの決定的な要因だと信じてます。

逆に言えば、これをマンガや模型のような構造にすることが、ソフトが売れ、サービスを始められ、新しい商売をつくり出せる… 状況にすることになるでしょう。
 
一筋の光は、ある。
それが、生誕一周年を過ぎた『初音ミク』の存在。
 
ただし、「初音ミクが救ってくれる」というんじゃ、ない。
初音ミクの登場が見せてくれた状況の変化、というものをスタディすることで、次を考えて行こうよ… という意味。
そういう意味で、16歳のボーカロイドの彼女は一筋の光だ、という事です。 
 
ここから、次の事を考えてみたいと思います。
初音ミクについては、皆さんが知っているという前提で話を進めますよ(笑)
分からない人は、調べてくださいね。

…つづく


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pike & shield (あ、英語でこういう言い方はないみたい…)

2005å¹´11月16æ—¥ | â–¡3次元CAD私論
本気(マジ)工場です。本日は、CADのお話の続きです。

さて、3次元CADが設計業務に使われ出した90年代初頭…
その時に3次元CADの一番の売り文句であり、買うときの理由であったのは、

・コンカレント・エンジニアリング (設計データの一気通貫も含む)
・形状の完全なる定義(曖昧さを無くす)

でした…
しかし、データの一気通貫は「やや一気通貫」であり、同時は「ちょっとは同時」だったの
は、今現在でもちっとも変っていません。

ということろからです。今日は、ホントにそうか?というところを見てみましょう。

解析はどうだ?解析は?
解析はですね。有限要素法のメッシュを切る都合上、あまり複雑な形ですと
メッシュが切り難かったり、計算時間がかかってしまったりするので、解析結果に
あまり影響が出ないであろう形状、穴とか角アールとか、を取って解析するのです。
これは、伝統的且つ一般的に行われることでして、解析は解析用に作られたソリッド
モデルの方が解析し易い…というのは、昔からずっとあります。こういう効率的な
解析手法も、解析者にとっての重要なテクニックなのです。
実際、「穴」や「角アール」といった形状情報(フィーチャなんて呼びますね)
を、(ホントはあるんだけど)無かったものとしよう!という機能を備える
3次元CADも一般的になってきました(形状の抑制、などと呼ばれます)。
確かにその機能により多少は楽にはなりましたが、それで全てが解決出来た話はありません。
結構な手間をかけて、設計で作った3次元ソリッドのモデルを、解析し易い解析
モデルに変えている、という事は今でも残っています。

金型はどうだ?金型は?
金型・製造はですね…一気に通貫しない典型です(笑)
確かに図面から金型用のモデルを作ることは大変に困難なのですが、かといって
設計から3次元のソリッドモデルが来たとしても、そのまま使えることはまず
ありません。どんな製造にしても、製造上の要件があり、その要件を満たす
ためにはある程度(どころじゃないことも…)ソリッドで来たモデルを
変形しなければならないからです。ちょっと製造業に携わっていれば、設計部で決めている
形状は出来上がった最後の形状であって、それを製造するための形状とすんなり
ネガ/ポジの関係にはない…ということは誰でも知っていることです。
樹脂型の抜き勾配やプレスの戻り見込みは、その典型例です。
これも、CADメーカー各社は、抜き勾配を簡単に付けられる機能を作っていますが、
それで済んだ話は非常に少ないのです。
過去も、そして今でも、3次元ソリッドのデータを面データにして、要件に合う
形状にするため、線を引き直して面を張り直して… という事を普通にして
います。だから、金型屋さんはIGESでもらえれば、まぁ、ひとまずはOKなんです。

ね。全然通貫してないでしょ?(笑)
さらに現実的な問題としては、協力会社さんなどに設計と同じCADが無ければ
コンカレントにならないじゃん…とか、そんなCAD高価で買えないよね…などという
なんとまぁ“トホホな事情”は今でも あるのです。
これじゃあ、ますます通貫しません(笑)

・一気に通貫で
・全員同時にするため
・曖昧さの無いソリッド

のはずなんだけど、ある程度は曖昧じゃないとどこの部署でも困るんだよね(笑)これが。

事実、「コンカレントにしましょう!」って言われて3次元CADを買ってみて、最初
の設計の仕事は…「じゃあ、出図をゴールに設定しましょう!」…ということは、
普通にあったのでした(笑)随分苦労してモデリングした割には、最終的な結果は
製図のCADの時と一緒… って何かヘンじゃないですか?(笑)
もちろん、製図では確かめようも無かった事がソリッドでは分かりますから、
悪いことばかりでは無いのは言うまでもありません。でももし、もしですよ。
カンペキな製図を引いて、カンペキに理解出来る人々であれば、その恩恵
(ソリッドにした改善幅)は、小さいものになっていたでしょう。
もしくは、とても3次元ソリッドでないと分からないような部分だけ、3次元ソリッド
でモデリングしていた… という会社さんも、実際に結構居たのです。

こういうものは、当然、対象となる製品やその会社さんの様子によって大きく異なります。
それでも、製品の設計・製造プロセスは非常に複雑で、それぞれの工程はとても専門的です。
それぞれの工程に必要な情報をひとつのモデルで行うことは、結構な苦労を 強いられる、
というのは一般的な事実のようです。

つまり、

・一気に通貫で
・全員同時にするため
・曖昧さの無いソリッド

を同時に目指したはずの3次元ソリッドCADシステムは、
「一気に通貫」と「全員同時」はセットとしても、それらと
「曖昧さの無いソリッド」 との間に潜在的に矛盾する要素を含んでいたのではないか?…

そう思えて仕方ないのです。

私は、この仮説に思い至ったときに、一人で小躍りして喜びました(笑)
だって、面白いじゃないですか。

さて次は、「なぜそんなことが?」「ではどうすれば?」
に、どんどんと入って行きます。

CADユーザを助けだせ!

2005å¹´09月28æ—¥ | â–¡3次元CAD私論
 
続きを書きます。
3次元のCADには、90年代初頭までの
・CAM用、解析用の時代
と、90年代初頭からの
・設計用の時代
があると書きました。今日はその続きです。

90年代初頭からは、
・設計用の時代(本格的に設計に適用し始めた時代)
に入ります。細かく考察していくと、「設計とは何か?」とか(笑)
「広義のCAEと狭義のCAE」とか、どんどん拡散していきますので、この場合の
「設計に適用」という定義をしっかりしておきたいと思います。
それは、製図のCADの代わり、もしくは前段階として共存し始めた、という
ことです。従来の製図CADのユーザと同じ人が使い始めた…ということを
意味します。
CAEなるコトバの本来的な概念にも触れておくと、もっと親切なのだと思いますが
…こちらも拡散していくのでとりあえず、置きます。

さて。
その転換の理由を考察したいと思います。言い換えると
「ナニを売りにして3次元CADは売られたか、ナニを理由に買われたか?」
です。

・コンカレント・エンジニアリング
・形状の完全なる定義(曖昧さを無くす)

このふたつだったんですね。主には。たったこれだけ。

コンカレント・エンジニアリングとは、平たく言うと設計・製造における
全ての工程が同時進行することによって、期間の短縮を実現する…ってな
もんです。それには各工程で全員が設計の対象物として共有するモノが
必要でしょ?と。それには図面じゃだめだよね、と。だからソリッドを
使うんですよ、ということです。データの一気通貫などという事も同じ
文脈の中で語られていました。

形状の完全なる定義(曖昧さを無くす)とは、こいつも平たく言うと、
図面じゃ間違うでしょ?と。曖昧な図面は後工程で間違いを招き、
結果手戻りが発生、その分時間もコストもかかるでしょ、と。
図面は曖昧でしょ?だから…ソリッドなんですよ、ということです。

難しいことは何もないです。

そして両者は、表裏一体・不可分の関係として語られて来ました。
いずれもが、最終的なメリットとして「期間の短縮」を挙げていたことにも触れて
おきましょう。

しかし、その主張(全員とか完全とか同時とか)には、最初からデザインや
意匠面とか金型とかは含まれていなかったんですよね(笑)
だって出来なかったんだもん、ソリッドじゃ。
いや、夢や願望としてはありましたよ。やがて…なるだろう、なるといいな…
というカンジで。

でも。
最初から、同時進行する工程もデータが一気に通貫する対象も、「限定的」
だったんですよね(笑)つまり同時じゃないし、通貫もしてなかったんですよ。
一気通貫は、「やや一気通貫」であり、同時は「ちょっとは同時」だったんです。
しかも、それは今でもほとんど変っていません。

面白い。。。

どんな商品にも「売り口上」があって、それはいつでも実際よりもやや美しい
というのが当然です。ワタシもそこをとやかく言うつもりは毛頭ありません。
もちろん、この市場を否定しているつもりも、まるでありません。
いや、ほんとに無いの(笑)
ただ。
一時期の熱狂が冷め、低価格化、一般化した今だからこそ
「あれは、一体何だったんだろう…?」
という分析は、しておきたいと思うのです。
 
誰も、こういう包括的な分析はしていないようですしね。
知っている人は皆知っていますが、誰もアプローチしていないのも事実
のようです。

ワタシはここにアプローチしたい…と。
なぜか?…えー… 結構好きだから(笑)ですかね。いやいや、当時の売り口上
を盛んに言って来た自分を省みて、総括くらいしとかなきゃ…なんて思うのです。
せっかくだから、恥ずかしながら、微力ながら、許されるなら…今後はこう
あるべきでしょうなぁー、違いますかなぁー…くらいのことは、言ってみたい
なぁー…という動機でしょうか。

…でもまぁ、結局は好きなんでしょう(笑)

あ、異論反論、その他ご意見大歓迎です。
トラックバックに張るか、コメントお待ちしています。
ただし、同業者かそれに近い方々は是非ご自身でブログを始めるのが良い
でしょう。その方が盛り上がっていいでしょう。

次回から、いよいよコトの本質に迫ります。
チャンネルは、そのまま(?)
  

ヒストリーを捕まえろ!

2005å¹´09月27æ—¥ | â–¡3次元CAD私論
写真:『アルミの気持ち』 アワワ削られるぅ(汗)…
 
えー…『その時歴史が動いた』の時間です(笑)
さて、このお話を続けるためにちょっと歴史を振り返って整理します。

3次元のCADには、90年代初頭までの
・CAM用、解析用の時代
と、90年代初頭からの
・設計用の時代
がある、と考えられます。
前者は、非常に明確な説明が可能です。
・金型やモックアップを加工するために必要な3次元の形状定義
と
・有限要素法解析をするために必要な3次元形状定義
のことです。

ナニ?CAMとCAEはCADではない?まぁまぁ、そう言わずに(笑)
3次元CADの源流は、CAMと解析モデルにあるというのは揺るぎない事実です。
でなければ、現存する3次元CADメーカーの多くがどちらかかの背景を持って
いることの説明が付きません。どちらにも源流を持たないメーカーも存在する
ことは事実ですが、それは後に台頭してくる新興メーカーとして分類するのが
妥当でしょう。

ソリッドかサーフェスか、という話も根本的な違いにはなりません。
「コンピュータ内での形状の定義」こそがCADの本来的な意義であるので
あれば、その意義を実現するための要素技術たるソリッドかサーフェスか、
という問題は、その次の話と言えるでしょう。
その本義からすれば、簡易モデルでヨシとする解析よりも、製造そのもの
であるCAMでは、後者の方がよりCADの源流であると言えると思います。
(ソリッドの、という切り取り方をすると解析が早かったでしょう)

ここで重要なのは、初期の3次元CADは、全てに明確な後工程(目的)があり、
その目的のための手段、もしくは段取りとして存在したという事実です。

・金型を削るために、コンピュータで形状を定義する必要があった
・解析を行うために、コンピュータで形状を定義する必要があった

だから3次元のCADが必要だった、ということですね。
プリ/ポストという風に言い換えれば、CAMのプリ、解析のプリに3次元CADは
位置していたというわけです(プリ? 笑)

世間では意外と間違って覚えられていますが、3次元CAD自体は全然新しいもの
などではなく、80年代後半にはすでに「フル3次元で設計しよう」という
試みはあったのです。実際、非常に普及したCADAMというCADを導入する時に、
その競合にはしばしば3次元CADがあがっていました。それらの
3次元CADメーカーはすでにありませんが、その当時すでに設計には製図の
CADか?3次元か?という議論は盛んにあったのですね。
つまり、ちぃーっとも新しい話なんかじゃないんですよ。20年です。
(もちろん、当時値段はバカ高かったのですけど)
この場合、3次元とはサーフェスなのかソリッドなのか?という事も考えなければ
なりませんが、より最近のものである、と思われているソリッドでさえ、
解析分野では当時より実用されていました。

で。現在へと続く転換期、90年代初頭(92~93年あたり)を迎えるわけです。

本日のお話は、3次元CADの発祥は90年代初頭のフィーチャ・パラメトリックや
ソリッドを設計業務に使う…という流れよりも遥か昔にあり、それが現在まで
影響をし続けている…というのが、ポイントです。

これ、試験に出ます(笑)

余談ですけど…こういう話を製品名を出さずに書くのってすごく大変だという
のが、分かりました(1コ出たけど)。

どっちが勝つかCADシステム!

2005å¹´09月22æ—¥ | â–¡3次元CAD私論
 
本日、本気(マジ)工場では、とあるクルマ屋さんのナニをナニしております。。。
例によってお見せできなくて残念です。。。あー苦しい(笑)

さて、3次元CADのお話の続きですけど。

使用者から見たらどう見たって単なる道具にしか見えない…
CAD側から見たら、従来の道具と一緒の解釈をされてはかなわない…
この乖離が、設計用3次元CADの普及に実に多くの時間がかかってしまった正体で
あろうと考えています。CAD屋さんも言ってたんですけどね、プロセス変えましょうって。
でも、買う側にはいま一つ理解出来なかったんですよね。良し悪しではなく、そう
いう理解不足が双方にあったのです。

でも。
前回からズラズラとつづって来た内容にほとんど当てはまらず、3次元CADに取り
組んだ職場もあったんです。はてさて?

それは、複雑な3次元曲面を定義する・実際に作るというジャンルの仕事です。
金型屋さんとか、クルマのボディ屋さんとかです。ホントか?本当です。
理由はカンタン。3次元CADじゃないと、曲面の定義自体がすっごくやり難かった
からです。他にほとんど手段が無かったんですよね。手作り木型を脱した先には
倣い加工があって、すぐに3次元CADがあった…と(ほとんどね)。だって作らなき
ゃならないカタチには寸法じゃ定義できない部分がいっぱいあったんですから。
当然サーフェスから入りましたし、今でもこれらの仕事はサーフェスで用が足りて
しまう事の方が多いんです。

そういう職場をずっと抱えていたクルマ屋さんでは、製図のCADの発展した先に3次
元CADがあると思っていなかも知れませんね。だって、3次元のCAD(サーフェスで
すけど)は、製図のCADとほぼ同時期に導入され始まったんですから。場合によっ
ては、ドラフターで製図を書く隣で、サーフェイスの3次元CADを使っている、という
風景だって普通にあったのです。そもそも両者は、狙う効果が違ったんですね。

だから…(言うぞ言うぞ)ソリッド・フィーチャパラメトリックを謳って世に出て
きた新しいタイプの3次元CAD会社たちは、これら伝統的な3次元CADユーザを見て見
ぬふりをしたのでした(笑)当初は。ホントですよ。

なぜか?それらのユーザは、「道具」としての3次元CADをすでに10年ほど実践していた
からです。そして、ソリッド・フィーチャパラメトリックでは、いまだに伝統的な
3次元CADのユーザを満足させる事はできないでいるのです。
(あ、そもそもソリッド・フィーチャパラメトリックで出来る範囲で仕事をしてい
る会社は別ですよ、当然)

ところがね(笑)ここからが面白いハナシなんですけどね…
じゃあソリッド・フィーチャパラメトリックの時代に入る転換期に、転換の理由と
なったことは一体何だったでしょうか?言い換えれば
「ナニを売りにして3次元CADは売られたか、ナニを理由に買われたか?」
です。

それは、覚えている人はみんな覚えてる

・コンカレント・エンジニアリング
・形状の完全なる定義(曖昧さを無くす)

でした…

この続きは、またの機会に。次回は、歴史を整理しながらのお話にしましょう。
『カノッサの屈辱』風にするのはホネが折れるのでやめますが(笑)

 

工具箱の秘密

2005å¹´09月02æ—¥ | â–¡3次元CAD私論
 
CADの話をしたら?と、このブログを読んでくれている人に言われました。
確かにCADそのものの話題が無いですね…ワタシがこの業界に入ったのは、
どちらかと言えば3次元のCADとCAEの世界からで、専門と言えば専門なのですが…
ただでも長い文章が(笑)すっごく長くなりそうなので気が引けるんですよね。

…じゃ、ちょっとだけ。それも、やや昔話になりそうな状況に話題の中心を置きます。
それと、このお話は全ての企業に共通するわけではない、ということを前提に付け
させてください。それくらい、製造業は多様ですから。

CAD屋さん(いわゆるCADを作っている会社、今は外資系がほとんどですね)
の中では、「CADは道具だから…」みたいな言い方を非常に嫌います。ワタシは
好きなんですけどね(笑)その言い方。彼らの中には、「CAD=道具」という定義
に関して非常に強い忌避感情があるのです。(だからCAD屋さんで浮くんだけどね、
ワタシは)この傾向、ちょっと前は今よりもっと強く、製図のCADよりも3次元の
CADの会社の方が強くありました。それが垣間見えるのは、CAD屋さんを呼んで話を
聞いてると、なんというか…デカい話が多くて、道具の話が意外と少ないことでも
分かるかと思います。CAD屋さんが単なるCAD屋でなく、突然PLM!とか言い出している
のもこの話とは無縁でないと思います。

なぜでしょう?

本気(マジ)工場がブログで書く話ですから、タテマエの話はよしましょう(笑)
ズバリ核心の話に行っちゃいますね。

その理由は「3次元CAD=道具」と定義されてしまうと、3次元CADは道具として大変に
劣っている、本来的に出来の悪いものだからです。(あーぁ言っちゃった…)
出来が悪いとは、ユーザの期待と実態に乖離がある、ということです。
一方的に道具だけ悪いって話じゃないですよ。誤解なきよう。

道具ってなんでしょう?多分その定義は、2つくらいしかありません。
・使うことによって、使用者に時間効率の向上をもたらすもの
・使うことによって、使用者に精度の向上をもたらすもの

焚き火とヘラでハンダ付けはしたくないですし、指でナットを回してもトルクが
かかりません。定規を当てればまっすぐ切れますし、ちまちまと指でやっていたの
では日が暮れてしまいます。道具って、つまりはそういうものなんですね。
そしてその価値基準は、大抵は使用者にあります。

で。3次元CADは
・使用者に時間効率をもたらしているでしょうか?
・使用者に作業精度の向上をもたらしているでしょうか?

…ビミョーですわね(笑)これが。
これは、CAD屋さん・ユーザ双方に理解の隔たりがあったりしまして、それが
ビミョーなんです。

3次元CADって、要するに、一発で乱暴に言ってしまうと、「製造行為の前倒し」
なんですね。ここまで3次元CADが一般化するはるか以前にも、3次元のCADは
ありました。CAMに使うためですね。当時は、サーフェスモデラーが一般的でした。
でも本質的には今のソリッドと変わりません。その頃は、設計の人はどこかで誰かが
コンピュータで3次元形状の定義をしてくれている…なんて、あまり意識しなかった
んですね。図面を出せば作ってくれるよね、という程度ですかね。

で。そのどこかで誰かが…の部分を3次元CADでは設計の人がそれぞれやっている、
というのが事の本質としてあるんです。もちろん、設計の人も3次元にすることで
発見があったり、試せることが増えたり、間違いが減ったり、と精度の面などでは
メリットが無いわけじゃないんですよ。
でも、製品を作る流れの中の一部ではなく、「私個人」として考えた場合、当然ながら
仕事量は製図のCADの時より増えているわけです。以前は後工程がやってくれたものを
自分でやるわけですから。
だから、「CAD=道具」と解釈されてしまうと、「私個人」としては道具として大変に
劣っている出来の悪いもの、となってしまうというカラクリです。

従いまして、3次元CADをそれなりに大きな組織で導入するときには、道理として設計の
「期間延長」を盛込むのが正しいと言えるのです。そうです、「設計期間の延長」です。
後工程の非常に多くの部分を前倒しているのですから、当然です。その代わり後工程で
大幅に取り返しを付けて、設計と製造・生産トータルで期間短縮を狙う…という事が
道理として必要になるのです。

でも、どうでしょう?非常に多くの企業が3次元CADを導入する時に、「設計期間の短縮」
を理由に、そこにこそ期待したのが実際では無かったでしょうか?
「新しいCADを入れたんだから、これで設計早くなるぞ、出図を急げよ…」と。

ほら、ビミョーでしょ?(笑)もちろんそうじゃなかった企業もありましたが、
そのとおりだった企業も、いっぱいありました。

この話、続け…ます?(笑)コメントいただけたら、続けようかな…なんて弱気です。
(やっぱり長いじゃん!)