rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

厚労省のワクチン有効性を読み解く

2024-12-21 11:56:15 | 医療

厚生労働省は2024年10月からコロナワクチン定期接種として5種類のJN1変異種対応の新型コロナウイルスワクチンを、65歳以上などを対象に接種を進めています。ホームページには掲示用のパンフレットも掲載されていて、「ワクチンの効果」と題する項目には、オミクロンXBB1.5対応ワクチンの効果として、新型コロナ感染症による入院を40-70%抑制する効果があった様な歯切れの悪い記載があります。

そこでワクチン有効性についてわざわざ例示されているJAMAに掲載された論文を読み解いてみました。

JAMAはアメリカ内科学会の学会誌で非常に権威のある雑誌であり、記載された内容は信用に値します。この論文の著者が主張したいのはどうもワクチンの有効性ではないと考えます。以下に読み解いた内容を示します。

目的はXBBワクチンの有用性だが・・

著者は新型コロナ感染症に対して、変異を繰り返して流行が何度も起こる現実は、「以前のワクチン接種が全く無効だから新たにワクチンを接種しましょう」と言いたかった様ですが、結論を得るまでに行った解析からは違う結論が出てしまいます。

 

ワクチン接種者のコロナ以外の入院率が増加

左の図データをわかりやすく表に読み込むと右の様になる。

対象となったのは18,199名の急性呼吸器症状で救急外来を受診した患者で、2,977名が入院加療を要しました。これらのうちコロナ検査陽性だったのは2,854名で、15,345名がコロナ以外の呼吸器感染症と診断され、入院はそれぞれ391名がコロナ、2,586名がコロナ以外の誤嚥性肺炎とかマイコプラズマ、インフルエンザとかによる入院と考えます。

この時点でコロナに対するワクチンの有効性が391名の中での比較で元々の18,000名の母集団に比べて「え?」というレベルの対象数の小ささであることが解ります。

表に示す様に、XBBワクチンを投与した患者の入院比率は13.7%でワクチン未接種者の15%よりも低いことは事実です。しかしXBBワクチン以外の古いワクチンを接種した(XBBは打っていない)人達のコロナによる入院比率はワクチン未接種者よりも多く、むしろ悪影響しか出ていないことが解ります。これは抗体依存性感染増強を証明したデータと言えます。

 

問題は対象患者が圧倒的に多い「コロナ以外の呼吸器疾患の入院比率」で、ワクチン接種者は軒並みワクチン未接種者よりも高率に入院しています。統計的有意差では、コロナ以外の入院についてのワクチン接種の有害性を確実に証明した論文と言えます。

ワクチン接種は確実に免疫を低下させていると結論づけられます。

コロナのために救急受診した率もワクチン接種者の方が少ないという結論も間違いではないが

ちなみに救急受診もワクチンで抑制されたとする根拠は同じ図の数値から得られる上記の表なのですが、XBBがとても有効といいながら前の株であるBA4.5を接種した人のコロナ陽性数がやけに少ない。こうなると住民全体の母集団における接種、未接種から計算する必要があり、論文が成り立たなくなります。だからあっさり未接種者よりも接種者のコロナ陽性率が低いと言うに留めているようです。逆に言うとBA接種者はコロナ以外の呼吸器疾患による救急受診が増加していることになる。

この論文の著者が本当に言いたかったのはむしろ接種者の易感染性ではないでしょうか。JAMAと言えどもワクチンが有害と結論づけた論文は掲載が困難な現状です。解析しやすい元データを載せて「こっそり事実を記載して解る人に気づいてもらう」のが現在世界中の科学者達が行い得る抵抗です。もしかしたらこの論文を引用した厚労省のお役人たちも「論文を読んでワクチンの現実に気づいてくれ!」という思いだったかも知れません。

 

追記

パンフレットにはJAMA以外にも長崎大学のXBB予防接種の効果分析、オランダの分析、CDCの分析が載っているのですが、JAMAほどの正確性がありません。単純にコロナ陽性者の中でXBBを投与したかどうかを比較しているだけで、一切ワクチンを打っていない人との比較が不十分です。分かりにくくなるので敢えて載せませんでしたが、長崎大の分析では、入院に関してはワクチン接種の方が効果があることになっていますが、投与しても時間が経つと未接種のほうがマシという結果でした。(下図)

発症予防について、あらゆる年齢で接種後時間が経つと効果がなくなり、未接種者と同様の状況、65歳以上についてはむしろ接種していない方が良いという事?(論文内に説明はない)

入院予防については接種者に効果ありでデータとして面目を保つ。但し武漢型とかは全く効果なし。

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2023年とそれ以降の超過死亡推移

2024-12-14 09:36:50 | 医療

日本の死亡者数が2021年以降増加し、それまでと比較した超過死亡が増大していたことは国会でも議論され話題になりました。世界でも同じ傾向が見られ、その原因は「新型コロナ感染症」と「コロナワクチン」で100%間違いないのですが、多くの人はそれが科学的真実であっても認めたがりません。ワクチンについての批判的論説が未だにSNS上で「禁忌」とされている事自体が「ワクチン犯人説」を自ら証明していることになります(全く根拠がないなら禁止する必要もない)。

 

I.  ワクチン投与が2022年に終了した国々では超過死亡は減少しつつある

名古屋大学名誉教授の小島勢二氏が引用したOECDの各国の超過死亡のまとめではワクチン投与を続ける日本だけが超過死亡が増加したままであることが解ります。一時非常に増加していた米国の超過死亡も図の様に収束しつつあるように見えます。このようにワクチン投与が終了した多くの国では超過死亡が収まりつつある所もあるようですが、遺伝子ワクチン接種や変異種による新型コロナ感染症には、免疫機能を弱める作用があると考えられ、「がんの罹患数」は増加しているデータが出ています。

米国のがんによる死亡者数が2021年以降想定よりも増加し続けているというCDCの集計

ワクチン推進派の人達には都合が悪いデータですが、英国の保健省が集計した2021年7-9月期の死亡者数でワクチン非接種者と接種者(一度以上)を比較した図は、母集団で80%の国民が接種者であるという背景を含めても右側カラムの接種者の比率が異常に多い事が明白です。これは前後の月の統計も同じです。

 

II.  死亡者数は2024年現在も増加したままである。

2018年から2024年7月までの死亡者数月別推移を示します。この図で明らかな様に、2016年から新型コロナ感染症が流行し始めた2020年までは日本の死亡者数は、微増傾向はあったもののほぼ一定であったと言えます。しかしコロナに多くの国民が罹患し、しかもワクチン接種が本格的に始まった2021年4月以降日本の死亡者数が増加を始め、毎月1万人単位で増加したままであることが図から明らかです。22年23年は8月にも死亡者数が跳ね上がっており、「熱中症で」という言い訳がなされましたが、私は病院で救急外来を含む死亡診断書を全例確認してきた経験からそれだけで説明はできないと考えます。ワクチン接種をやめた他の国々で超過死亡が減少しつつある現実をどう説明するのでしょう。

 

III.  ワクチン接種回数と超過死亡が相関している証明

ワクチン接種率と超過死亡の多さの相関についてweb論壇のUnz reviewにおいて、ユージン・クスミアク氏がOur world in dataで利用可能であった57か国の一人あたりのワクチン接種回数と翌年の超過死亡率に相関があるかを計算して報告したものを示します。2021年に国民一人が接種した回数に対する2022年のその国の超過死亡率(赤プロット)と、2022年に国民一人が接種した回数に対する2023年のその国の超過死亡率(緑プロット)(計114プロット)を合わせて示したものです。日本を除く多くの国は既に2022年にワクチン接種は行われておらず、超過死亡が2021年の各国のプロット(赤)より減少していることが解ります。この図から国民一人1回のワクチン接種で翌年の超過死亡率が6.2%増加するという結果であり、この結果がランダムに発生する可能性は0.0%(P値)で明らかにワクチン接種と超過死亡の増加は統計的に有意性があります。

以下厚労省の人口動態統計のまとめから日本の死亡者数とその内訳についての推移を記します。

 

IV.  2023年死亡の内訳は悪性腫瘍、心疾患、老衰が増加

厚労省の死亡統計から1947年から2023年までの人口10万人あたりの各疾患の死亡者数を示します。超過死亡が増加した直近の2-3年においては、悪性腫瘍は緩やかな伸び、心疾患と老衰が著明に増加していることが解ります。多忙な救急外来の現場において、心肺停止で搬送されてきた患者の死体検案書用の死因判定にかける時間は5分がせいぜいです。明らかな基礎疾患が悪化して死亡したことが明らかでなければ、事件性がないと判断されたお年寄りは「老衰」、中年以下の人は「急性心不全」と死体検案書に記入します。それが救急現場の現実です。良く分からない状態で亡くなっても全員CT検査や病理解剖を行うわけではありません。ワクチン接種後の体力低下、易感染性、無症候性の心筋炎による心不全の増加など因果関係を特定しにくい中長期の合併症がこれらに関係している可能性は否定できないと考えます。勿論公に認めることはしないでしょうが。

同じく死亡統計の中のがん死の内訳を示します。がん全体では緩やかな増加でしたが、図の様に胃がん、肝臓がんなどは男女共に減少傾向にあります。一方で肺がん大腸がんすい臓がんなどは明らかに増加しています。非常に進行が速い悪性度の高い癌がワクチン接種とともに増加した傾向はありましたが、全ての癌が罹患してその年に亡くなる訳ではありません。ワクチン接種が終了してもがんによる死亡が増加しつづける理由がそこにあります。

 

V.  遺伝子ワクチンの問題点を記事にしています

Noteなどの現在発売中の雑誌記事の内容の一部を閲覧できるwebがありますので、公開されていた「紙の爆弾2025年1月号」に掲載されたrakitarouの記事の一部を載せますので続きを読みたい方は是非ご購入の上お読みください。

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祝バッタチャリア氏NIH長官指名

2024-11-28 08:37:47 | 医療


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/reuters/world/reuters-20241127061

トランプ次期大統領は「都市閉鎖やワクチン義務化などの誤ったコロナ政策」を早くから批判していたスタンフォード大学の医療経済学者ジェイ・バッタチャリア教授を次期NIH長官に指名しました。保健長官に指名されたRFKジュニア氏と同様誤った医療・公衆衛生政策を科学に基づく正しい方向に軌道修正する上で強力な人選が行われたと言えるでしょう。

rakitarouが2020年10月13日のブログでロックダウンやPCRによる感染診断は誤り(FDAもこの時点で明確に表明していた)であるという欧米5,000名以上のまっとうな医師・科学者が署名したGreat Ballington宣言について紹介しましたが、狂った日本のメディアは完全にスルーでした。バッタチャリア医師はこのバリントン宣言の提唱者の一人です。

AP通信の記事引用

トランプ大統領、COVID集団免疫を支持したジェイ・バッタチャリア氏を国立衛生研究所の所長に指名

ドナルド・トランプ次期大統領は、パンデミック対策のロックダウンやワクチン接種義務化に批判的な医療経済学者ジェイ・バッタチャリア博士を、米国を代表する医療研究機関である国立衛生研究所の所長に選んだ。

トランプ大統領は火曜日夜の声明で、スタンフォード大学医学部の56歳の医師で教授のバッタチャリヤ氏が、保健福祉省長官に指名したロバート・F・ケネディ・ジュニア氏と協力し、「国の医学研究を指揮し、健康を改善し、人命を救う重要な発見をする」と述べた。「ジェイとRFKジュニアは協力して、慢性疾患や疾病の危機を含むアメリカ最大の健康問題の根本的な原因と解決策を調査し、NIHを医学研究のゴールドスタンダードに回復させるだろう」と彼は書いた。

バッタチャリア氏をこのポストに選ぶという決定は、COVIDパンデミックが政治と公衆衛生に及ぼす継続的な影響を改めて思い起こさせるものだ。バッタチャリヤ氏は、ロックダウンが取り返しのつかない損害を引き起こしていると主張する2020年10月の公開書簡「グレート・バリントン宣言」の3人の執筆者のうちの1人だった。

この文書は、新型コロナウイルスワクチンが利用可能になる前、トランプ政権時代に作成されたもので、感染リスクの低い人々は感染を通じて新型コロナウイルスに対する免疫を構築しながら通常通りの生活を送るべきであるという考えである「集団免疫」を推進している。文書では、保護はむしろリスクの高い人々に重点を置くべきだとしている

「ロックダウンは公衆衛生上の最大の過ちだったと思う」とバッタチャリヤ氏は2021年3月、フロリダ州のロン・デサンティス知事が主催したパネルディスカッションで語った。

(引用終了)

医学や自然科学の正しい答えは一つしかない

文系の社会科学における倫理や政治においては、正しい答えは複数存在しえるのですが、理系の医学・自然科学は正しい答えは一つしかありません。毒性が低く、感染力が強い新型コロナ感染症への対応は「集団免疫の獲得」の一択であることは発生後半年から1年で末端の医師である私を含め、世界中の多くのまっとうな医師、科学者は見抜いていました。専門家ほど早く気付くものであって、今では世界中の一般市民の人々も納得している科学的真実です。

「底に穴の開いた船は沈むという科学的真実」を「真実を告げられては都合が悪い権力者」は認めようとしないでしょう。科学者でも自分の地位保全のために忖度で科学的真実を曲げる曲学阿世の輩は「穴は小さいから大丈夫」の様な見解を出します。権力者は「科学者の先生が言っているから科学的に認められた」と言い、「穴が開いているのは危険だ」と真実を伝える者を「フェイクニュース」「陰謀論者」として葬ろうとするでしょう。しかし科学的真実は変える事はできません。いよいよ浸水して船が沈みそうになって「誤魔化しきれない」状況になると真実を認める他ないのです。

新型コロナに対する異常な対応、リスクのみで利益のない遺伝子ワクチンの推奨、誤魔化しきれない真実を突きつけられて「曲学阿世の輩と権力者」が右往左往し始めているのが現在の状況です。

世界で未だにワクチンを勧める日本の異常さについて、2025年1月号の「紙の爆弾」12月初旬発売にrakitarouが記事を載せましたので是非お読みください。

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レプリコンワクチンをめぐる問題

2024-08-31 13:54:28 | 医療

日本政府は2023年11月28日に海外で開発された「レプリコンワクチン」と呼ばれる遺伝子ワクチンを承認し、2024年10月1日から健常日本人への接種が開始される予定です。日本看護倫理学会は「緊急声明」として安全性の確立されていない自己増殖型ワクチンを医療従事者たる看護師たちに接種推奨する事に反対する声明を出しました。このきわめて論理的で真摯な声明に対して、より医学的専門家である医師会や専門の学会が沈黙している事の情けなさはいかがであろうかと思います。

暫くコロナワクチンについて論考していませんでしたが、現状で入手できる論文などから検討し得る自己増殖型ワクチンをめぐる問題について整理したいと思います。

 

I.  結論

 

まず結論から申すと、私はレプリコンワクチンを使わないと死ぬ確率が高い状態であれば「使う」ですが、新型コロナ予防のためには「使わない」です。以下にその根拠となる説明をしてゆきます。

 

II.  全ての感染症「X」に対する対応

 

全ての感染症「X」と表現します。は以下の図に示す4通りの分類と疫学的対応に分かれます。これを明確に分類・指示しないと経済や個人の対応が混乱します。今回の新型コロナに対する混乱で実証済みです。今年WHOが世界各国に強要した「新パンデミック条約」に対応するため、厚労省でなく内閣危機管理室が「新型インフルエンザなど対策政府行動計画」をまとめて、それに対してパブコメを募集していたのでrakitarouが送付した内容もこれに基づいています。

下図に示す様に、ワクチン接種が始まる前の2020年秋には、新型コロナウイルスがどんな変異種に変化しても(3)の感染力は強く毒性が弱いタイプであることは判明していました。ウイルスや細菌は自己保存(増殖)しやすい様に、変異するたびに毒性は弱くなり、感染力は強くなります。専門家にとっては常識中の常識です。だから2020年秋の時点でこのウイルスは起源が何であれ、今後人類に危機的状況を及ぼすことはないと判明していたのです。この科学的真実を政治的意図(経済的意図?)で明確に宣言しない政府やWHOは極悪以外の何物でもなく、人類の健康と命を預かる組織として信用に値しないということが解ると思います。

データが追える2024年2月まで、新型コロナ感染症は一貫して回復率は上昇し、死亡率は低下している。

 

III.  コスタイベ筋注用について

 

厚労省は、2024年10月1日以降に新型コロナウイルス感染症に対する世界に先駆けて接種開始となるJN1株(オミクロンBA2の亜種)に対する明治製菓ファルマのレプリコンワクチンの概要について5月29日に公開しています。内容は起源株(武漢株)を用いたレプリコンワクチンをベトナム人16,000名に対してデルタ株が流行している時期にファイザーのコミナティワクチンと比較した所、起源株に対して非劣勢(同等)の中和抗体価が6か月継続。有害事象はコミナティと有意差なし。BA.4-5(オミクロン株)対応の2価ワクチンを追加免疫した所、コミナティよりも抗体価が高く、有害事象は有意差がなかった。日本人に投与予定のJN1株に対してはマウスを用いた試験しかしていないが、良好な抗体価が期待できる、という内容でした。

厚労省発表のワクチンの効果についての実験結果(中和抗体価が増えているということ)

 

IV.  ワクチンとしての良い点、悪い点

 

後でレプリコンワクチンの構造(しくみ)や、ベクター型遺伝子ワクチンとの違い、遺伝子ワクチンが免疫寛容(免疫力が弱まる事)を起こす理由などを説明しますが、ざっと今回のレプリコンワクチンの良い点、悪い点をまとめます。

良い点  1)抗原にRBD(レセプター結合部位)(図)のみを用いているため、スパイク蛋白全体を抗原に用いた従来の遺伝子ワクチンよりも理論的には抗原原罪は起きにくく、ウイルスに変異が起きてもRBDが大きく変わらなければ抗体は有効である。スパイク蛋白全体を作らないので血栓などの有害事象が起きにくい可能性がある。2)mRNA自体にシュードウリジンを用いていないのでmRNA自体の分解は速やか。3)LNP(脂質ナノ粒子)をキャリアに使用できるため、ベクターとなるウイルス感染は不要。

今までのワクチンと異なり、スパイク蛋白全体ではなくレセプター結合部位(RBD)のみを抗原にしている。Nターミナルドメイン(NTD)や以下のS2部位が一つの蛋白となって、それが3本集まると(左の)スパイクタンパク質となる。また感染するにはRBDが活性化(UP)している必要があると言われる。

悪い点  1)健康な細胞に遺伝子増殖のためにαウイルスの一部を新たに感染させる必要があり、これが長期的に健常細胞と人体全体に与える影響について未知である。2)増殖のブレーキが設定されていないので、産生されるスパイク蛋白RBDがいつまで続くか、量的にどれだけ産生されるか個人差の想定ができない。3)抗原の大量刺激は免疫減弱を起こすIgG4産生の原因となる。4)遺伝子ワクチン全ての欠点である工業製品としての品質一貫性の保証がない(一定の割合で生物的に意味不明の遺伝子が製品に入る。コミナティは30-40%がどんな遺伝子か分からない状態だった)。5)生物の進化の過程を無視したワクチンであり、健常細胞の異物化による自己細胞障害の誘発(自己免疫疾患)、発がん監視機構の減弱化が起こる。

 

V.  レプリコンワクチンのしくみ

図に通常のmRNAと、自己複製機能を持つmRNAの違いを示します。目的抗原の遺伝子コードは、mRNAワクチンの場合は分解が遅いシュードウリジンを用いますが、複製型は細胞内で複製されるため、通常のウリジンが使われ、使用後は速やかに分解されます。しかしレプリカーゼとαウイルス由来の増殖プロモーターがあり、これにより細胞内の図の様に増殖工場が細胞膜内部にぶら下がる様に作られてmRNAが無限に?産生されて目的抗原蛋白が細胞内に作られるしくみです。このmRNA産生がいつまで続くかは不明で、ベトナム人への治験では6か月後も高い抗体価を示したことから、産生している細胞が死滅するまで続くと考えられます。個々の細胞の寿命はそれぞれで、消化管粘膜の様に数日のものから神経細胞や卵細胞の様に一生変わらないものもあります。筋肉内に投与された遺伝子ワクチンは、濃淡はあっても数時間で全身に広がる事は実験で証明されています。

尚、スパイク蛋白などの体外への排出(シェッディング)を問題視する人もいますが、私は単体で大量に体外に排出するとは考えられず、粘液や皮膚片などのゴミに付着して蛋白の破片が体外に出る可能性がある程度であり、それが他人に有害事象を起こすとはとても思えません。シェッディングによる有害事象を証明した基礎データや論文も皆無であり、これはワクチン問題全体を偽情報にすり替えるスピンドクターの可能性もあり、私は問題視しません。

 

VI.  遺伝子ワクチンと免疫寛容、IgG4増加

科学論文にまとめられた新型コロナワクチンの有害事象

スパイク蛋白を抗原とする新型コロナウイルスワクチンの直接的有害事象は、図に示される様に血栓や心筋炎など世界中で患者が出て報告されたために有名になりました。もう一方の間接的に時間をかけて出てくる有害事象が、種々の仕組みが解明されて明らかになってきました。総合的免疫力の低下、自己免疫疾患の増加、進行がんの増加といった事象です。中でも特殊な免疫グロブリンの一種であるIgG4の増加は、mRNAワクチンを2回以上受けた人に顕著に表れることが確認されていて、スパイクタンパク質への自然な免疫反応を抑制してコロナに罹りやすくなる他、過剰な抗原に反復して暴露することがIgG4の増加スイッチになっている事も指摘されています。IgG4によってウイルス感染への免疫が抑制されるしくみは、図の様に細胞障害性T細胞が感染細胞に作用する事をIgG4抗体が邪魔をすることによります。

IgG4によるウイルス感染症免疫の低下メカニズムとがん免疫低下のメカニズム

またがん免疫を阻害するしくみも図の様に抗体、細胞障害両方をIgG4が阻害する事が証明されています。

発がんのメカニズムについては、人体の各所で異物であるスパイク蛋白が作成されることで、宿主となる正常細胞が自己の免疫細胞から「異物産生細胞(がん細胞)」認定を受けて排除されようとする際に、自己免疫を抑制するPDL1を産生することが考えられます(図)。採血で証明できるワクチン接種者の末梢血細胞のPDL1増加は既に論文化されています。

抗原蛋白合成を強制された宿主健常細胞によるPDL1産生が、発がん監視機構を障害するメカニズムが考えられる。

 

VII.  ワクチン接種と超過死亡の増加

 

Unz ReviewのEugene Kusmiak氏は2024年5月に世界各国のワクチン接種数と超過死亡の相関についてまとめを発表しました。 2022年に国民一人当たりのワクチンを接種した回数と2023年の超過死亡増加率を国別にまとめた図が以下のもので、日本の接種数と超過死亡増加がいかに特異的か分かります。それによると相関式は

2023年超過死亡率=8.31x2022年の一人当たりワクチン接種回数

となります。

米国は州によってワクチン接種の積極度が異なりますが、2021年と22年の各州毎の住民一人当たり接種回数と州毎の2022年と23年の超過死亡率の増加(緑が21年、赤が22年の接種で示す)は明らかに接種回数によって超過死亡率が増加している相関関係があると思われます。

医療には必ずリスクが伴います。リスクよりも医療を行う事によるベネフィットが大きいならば、敢えてリスクを承知で医療を行う正当性が生まれます。ワクチン接種は健常人に対して行う医療行為です。医療を受けた結果病気になったり、増して死亡するなど絶対にあってはならない事です。その厳しさを理解せず、安易に予防医療(コレステロール低下や抗血栓治療含む)やワクチン接種を行ってはいけないのです。私はワクチン投与全てを反対する者ではありませんが、コロナワクチンに対する異論を簡単に「反ワク」などとレッテル付けして排除するようなレベルの低知能者は医療を語る資格はありません。医療を受ける時は必ずリスクとベネフィットを比較して熟考した上で、最悪の有害事象も受け入れる覚悟をした上で医療を受ける必要があります。

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米国泌尿器科学会2024のまとめ

2024-06-01 13:36:14 | 医療

今回は専門的な内容の備忘録です。2024年5月3日から6日に米国テキサス州サンアントニオで米国泌尿器科学会総会が開かれ、rakitarouは現役として最後だろうと考えて出席してきました。全体の印象は前回出席したBostonの総会に比べて内容含めて「地味」の一言に尽きる様に思いました。最近の泌尿器科全体として注目に値する新しい話題がない事もありますが、日本の泌尿器科学会も教科書的な総論が多く、現在の日本において倫理規定が厳しすぎてユニークな研究がほぼできなくなっている事も背景にあると思います。Plenaryと呼ばれる専門に特化しすぎない教育的内容の催しもBostonにおいては医療過誤の模擬裁判や当時先進的であった遺伝子治療や免疫治療について判りやすく問題点などを解説する内容で参加する意義があると感じたのですが、今回は「そうだよね。」と既に納得している内容が多く、わざわざ米国南部まで来なくても、と感ずる物が多いと感じました。

その様な中でもいくつか今後のために特記するものを記しておきます。

会場となったHenry B. Gonzalez Convention Center街の中心部にある巨大な会場

I.  BCG抵抗性の膀胱上皮内癌に対する全摘手術以外の治療法

1) ICI(免疫チェックポイント阻害剤)Keynote-057でも報告済で、日本でも化学療法後であれば保険適応になっており、私も実際に患者さんに使用したこともあります。研究では投与中央値が7回で、3か月時点で40%に完全奏効CRが見られたとされます。

2) TAR-200徐放性膀胱内注入デバイス これは日本では未導入ですが、化学療法で用いるジェムシタビンを2週間かけて膀胱内に徐放性に効かせるデバイスで、平均6回注入して奏効率80%以上という良好な成績です。血中移行は代謝物が少量検出される程度で膀胱痛など副作用も少なく(8%)(SunRISe-1試験)、膀胱全摘に代わる優れた治療と思いました。

膀胱内にコイン大のジェムシタビン徐放性デバイスを2週間留置する。ジェムシタビンやシスプラチン注射液の膀胱内注入はショックなど悲惨な結果だっただけに、徐放剤は期待できる。

 

3) 腫瘍溶解性ウイルス感染による治療 正常細胞に感染せず、がんに特異的に感染するウイルスを用いて腫瘍を壊死させて新たに免疫誘導もすることで治療する。これはまだ実験段階。

腫瘍溶解性ウイルス治療の概念図。各種ウイルスで効果試験中。

 

II.  前立腺癌に対する集束超音波治療(HIFU)

これは自分が専門に行っていて、全摘に匹敵する効果が期待されたのですが、標準治療にはならず、現在部分治療(Focal therapy)が中心になっていますが、フランスからの報告では、比較的悪性度の低い治療群においては全摘手術に非劣勢の結果であった(HIFI trial)。

米国ではwhole gland治療は否定されて部分治療のみになったが、フランスでは見直されている。

 

MRIガイド経尿道的超音波治療(TULSA)が経直腸HIFUに代わって紹介されていますが、1年生検での再発率が11.8%(18/152)と予想通り悪く、今一つと考えます。私が行っていたDegarelixを2回投与した中間の2週目にHIFUを行うやり方(5年で再発率6.7%1/15)の方がはるかに有効だと思う。

TULSAはあまり期待できないと思う。右はHOLEPとHIFUを同時に行って肥大症と癌を同時に治療するというもの。力業であまり勧められない。TUR-P先行で後日HIFU+Degarelixが確実。

 

III.  前立腺肥大症の新しい治療 iTIND

米国オリンパスがイスラエル企業と共同で開発(合併)した尿道に6日間拡張デバイスを留置した後除去することで、肥大組織が圧迫壊死を起こして肥大症が改善するというもの。数年は効果があると言われる。局所麻酔でも挿入可能で、高齢者の前立腺肥大による尿閉でカテーテルを留置している患者さんにも安全に行い得るため、日本でも需要が多いと思いました。会場にいた日本から派遣されたオリンパス技術部員に日本でも発売するよう話しました。

前立腺部に拡張ワイヤーを留置する。国内での発売が待たれるiTIND

 

IV.  前立腺癌治療後のMRI、生検のGleason分類、PSMA―PET

初回診断時にPSMA-PETはMRIや生検の代わりにはならず、使えない。逆に治療後はMRIにおけるPIRADS-Scoreや生検のGleason分類は意味がなく、PSMA-PETで癌の有無を検索する意味がある。

以上

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ワクチンの危険性について撤回された論文と講演会記録

2024-03-25 11:35:47 | 医療

I.  いまこそ問うコロナワクチン推進の責任 講演会

2024年3月24日に横浜県民センターで「2回連続セミナーin横浜 ほんとうに接種する意味はあったのか? ~いまこそ問う「コロナワクチン」推進の責任~ と題する講演会があり、参加してきました。主講演者の名古屋大学小児科名誉教授の小島勢二医師は、最新の厚労省資料などから特定の癌(乳がん、子宮がん、血液がん、すい臓癌)が日本においてもコロナワクチン接種前と比べて20-25%増加している事、自己免疫疾患の難病指定者数がやはりワクチン接種前と比べて10%以上増加していることなどを科学的に示し、ワクチン後長期後遺症に苦しむ患者さん達の各種自己抗体発現調査の結果などを示されました。獣医師のStray氏は私も以前紹介したワクチンで死亡した患者さんの各所病理組織にワクチン由来のスパイク蛋白が染色されている状況を説明し、後遺症と疾患の関連を説明されました。

質問の時間で、「がんの増加や自己免疫疾患の増加といった<免疫系の制御逸脱>をおこした原因は、(1)mRNAの機能を持った遺伝子ワクチンで<自己の物でない異物>を宿主の正常細胞に作らせた事が原因か?(2)作らせた異物が<スパイク蛋白>であった事が原因か?」を小島先生に尋ねた所、「自己免疫肝炎の一部などではスパイク蛋白に対する特異反応も見られているが、圧倒的に免疫異常をきたした主な原因は(1)の方だ」と言う答えで私の考えと一致する内容でした。

 

II.  撤回を強いられたワクチン接種再考を促す論文

 

ワクチン関連の医療記事はしばらくなかったのですが、少しずつワクチンの副作用を科学的に証明する医学論文が出てきています。しかし講演会でも指摘されましたが、「ワクチンの副作用」「危険性」を前面に(表題や抄録)に出すと採択acceptされないバイアスがかなり強く、一見ワクチンの有効性を推奨するような内容ながら、よく読むと「危険を指摘」といった工夫がされています。学問の自由、科学の公正は既にないのが現在の世界情勢なのです。

私が以前から指摘している「自分の正常細胞に異物を作らせる事でがん免疫が惹起されて正常細胞を攻撃する様になり、結果的に自分の正常細胞を攻撃する自己免疫疾患が増加する。また攻撃された全身の正常細胞が自分の免疫細胞を抑制するPDL1という因子を発現して、結果的にがん免疫監視機構を弱め、全身の癌出現が増加してしまう」というメカニズムを一部検証する論文が出ています。

ワクチン接種を受けた被検者(右の緑の箱ひげ図)の顆粒球や単球のPDL1が受けていない者(コントロール紫)より増加しているという図

 

また「Covid-19 mRNAワクチンの登録試験及び全世界に渡る接種キャンペーンから学んだ教訓」と題されて、293題の参考文献を元に書かれたCureusに2024年1月16日に発表された論文( 10.7759/cureus.52876)は2月26日に撤回させられました。結論には「利益よりリスクが高く、耐えがたい副作用を持つこのワクチン接種は少なくとも小児に対しては控えるべきであり、安全性が確立されるまでは政府は認可すべきでない」と書かれています。今はアクセス可能ですが、できなくなる可能性もあるので、以下にこの論文から主だった有用な図表を転載します。

クリーブランドクリニックでワクチンを複数回受けた職員(黒赤緑青黄土の順)ほど変異してゆく新型コロナに罹っていったという累積図

若年者ほど(横軸)心筋炎症例が増えたというワクチン回数別による表示(赤緑青の順)VAERSの報告例から(2回目が一番多いようだ)

インフルエンザワクチンに比べてコロナワクチンによる自己免疫の副作用が8倍に増加したというVAERSの報告

ファイザーのワクチン登録試験で、始めは解らなかったが、政府が緊急認可した後、33週目にはワクチン接種者の死亡例(実線)が非接種コントロール(点線)より増加したという報告

ワクチンはウイルスの変異(evolution)、免疫異常(immune dysfunction)、抗原原罪などの免疫回避(escape)を促し、何かいも打たせるし、失敗であるという図

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前提が誤りなら途中の論理展開が正しくても結論は誤り(2)

2024-01-04 15:41:40 | 医療

2年前の2022年1月9日に同じ題名でブログを記しました。2023年末になって新型コロナ感染症は衰えるどころか患者数を増大させています。すでに5類感染症扱いになり、全数調査を行っておらず、マスクや外出制限も行われていないので実感がありませんが、昨年秋から冬にかけてインフルエンザが流行した後に世界で問題になっているJN1変異種の流行が日本でも確認されています。NHKニュースでも紹介されていましたが、JN1変異種はオミクロン株の一種で、2022年に流行したオミクロン株BA2系統のウイルスがさらに変異したもので、昨年11月ころから増加し、検出割合は30%を超えています。日本のメディアでは詳しい解説をしたものを見かけませんが、このJN1は重症化リスクは高くないものの、今まで以上に感染しやすくなるようスパイクたんぱく質が変異しており、重要な点は今までのワクチンや既感染による免疫が効かない事です。JN1はスパイクタンパクのアミノ酸が11個(遺伝子が11個でなく)が変異しており、感染しやすくなると共に、タンパクの3次構造4次構造を認識して結合するワクチンや既感染で作られた既成の免疫グロブリンがアミノ酸の変異が多いために無効になっている(しかも類似点も多いから新たにグロブリンを設計作成しにくい)のです。「ワクチン地獄を永久に続けますか?」でも説明した様に、「ワクチンで耐性株の出現」は医学では常識中の常識です。だから同じワクチンを繰り返し打つ、変異種が出る度に後追いでワクチンを追加接種しろ、などと「医学や感染症の初歩を否定した主張をするバカ」をいつもまでも相手にしてはいけない。この人たちは「金」が目的でメディアに出て、製薬会社の儲けに貢献しているだけなのです。でもいくら「事実」を目の前につきつけられても真実が見えない人というのはいるものです。残念ながら日本人に多い。それは日本人が演繹法に基づく論理的思考に慣れておらず、周りと権威にとりあえず盲従することが身の安全を保障できる術だと長年の経験から身についてしまったからだとは思います。そこで2022年1月に記した「前提が誤りなら途中の論理展開が正しくても結論が誤りなのだ」という意味が今日でも生きてくると思います。

JN1変異種の増加を伝えるNHKニュースと日本を含む世界での増加を示すデータ(BA2.86.1はJN1類似種)

 

(以下2022年の再掲)

今更ながらの解説ですが、演繹法とは事実とされる前提を組み合わせて、論理的に正しい展開をして正しい結論を導く事で、科学(サイエンス)において正しい結論を得るために用いられます。しかし演繹法の欠点は前提が誤りであれば途中の論理展開が正しくても得られる結論が誤りである事です。

 

ウイーン生まれの英科学哲学者カール・ポパー(Karl Raimund Popper1902-1994)は、「探求の論理(1934)」において科学は帰納的学問ではなく演繹法に基づいた「反証可能性」という理論を提言し、受け入れられてきました。つまり反証の試みで「科学的研究によって得られた結論」が誤りであると証明されなければその結論は「科学的に真実だ」(=パラダイムの構築)とされるものです。大事な事は仮説の検証、反証が自由に行われる事であってこれがないものはサイエンスではなく宗教や政治の「主張」と同じであるという点です。

 

私は既にブログで何度も指摘してきましたが、現在の「新型コロナ感染症はエボラやSARS1型と同じ根絶せねばならない」という誤った前提に基づいて、種々の対策が立てられているのは、例え途中の論理展開が科学的に正しくても結論が誤りであると主張してきました。経済を破壊するロックダウンや大規模人体実験でしかない遺伝子ワクチンの強要など、もうデタラメとしか言いようのない政策がこの2年間行われ続けています。多くのまっとうな医師・科学者達が「これはおかしい!」と声をあげてきましたが、それらの声はメディアでは意図的に取り上げず、本来自由に情報発信できるはずのSNSではBAN(禁止)という処置が取られています。上記の様に、「反証可能性」を否定した段階でそれは「サイエンス科学」ではなく単なる宗教的・政治的主張にすぎないものになるのに、「科学の衣を着たプロパガンダ」としてあたかも科学的事実であるかの如く扱われているのが現状なのです。21世紀の人類は科学が発達して知性が20世紀の人類よりも秀でていると錯覚しがちですが、逆に科学の基本的な考え方さえ理解できない状態へ、知性が退化しているのです。

 

I.  オウム真理教事件を笑えるか

 

1980年代から90年代にかけて、教祖麻原彰晃を中心に「弁護士一家殺害」「松本サリン事件」数千人の負傷者を出した「地下鉄サリン事件」など様々なテロ事件を起こしたカルト宗教集団、オウム真理教というのがありました。特徴は多くの一流大学を出た(入学中)理系・文系の若者が入信し、一般社会から隔絶した特殊な社会、政治体制、小規模ながら化学工業・武器製造までオーガナイズされた別社会を構築していた事です。それは教祖麻原が主張する「ハルマゲドンが来る」を前提に「修行によって宙に浮くなど超越した能力を身につけ悟りに至ることができる」とする教えで、論理展開が精緻で科学的だった事が高学歴の若者に受け入れられる素地になったと考えられます。最終的にはテロを起こして罪のない人々を殺害する、という結論に至るのですが、これは前提となる麻原の主張が誤りであることを見抜けなかった事が失敗の始まりと言えます。新型コロナ感染症への対応で、多くのコロナと何の関係もない人々が傷つき、ワクチンで人類の健康が大きく損なわれた時、論理展開が科学的に正しくとも、誤った結論を導いた前提が誤りであったという事実を見抜けなかった責任を、21世紀の大人達は背負う覚悟が必要です。

 

II.  オミクロン株にワクチンは不要(むしろ有害?)

 

英国保健省が定期的に出しているワクチンレポートの51週目によると、α株、デルタ株に対しては2回のワクチン接種で重症化率、感染率が共に低下したが、オミクロン株に対しては2回のワクチン接種で感染率はむしろ悪化、3回目ブースター接種の効果も10週程度で半減したことが示されています。オミクロン株は気道感染が主体で肺まで到達せず、重症化しにくいというデータしか出てこないので「まだ結論は早い」「安心できない」といった不安をあおりたい意見しか言わない専門家(馬鹿じゃないのか?)ばかりですが、もう結論は出ています。オミクロン株にワクチンは不要です。オミクロン株のスパイク蛋白にある受容体結合部位はマウスのACE受容体に結合し易く、オミクロン株というのはマウス由来(マウスで変異した)ものだろうと言う論文が出ています。昨年9月の医学雑誌Lancetにも中和抗体の量が減っても重症化率予防の効果が残っている(細胞性免疫)から3回目のブースター接種は不要という専門家の論考が載っています。2021年2月26日のブログでも記した様にワクチンは1回でも接種すれば細胞性免疫は付きます。2回目接種以降は疑似感染を起こさせたと同じ事で、感作された細胞が指令を出して全力でウイルスをやっつける中和抗体が作られるだけの事であり、感染は防ぐ効果はあるでしょうが、重症化を防ぐ効果は免疫の機序から、細胞性免疫が主体になると考えます。

ワクチンのコロナ死亡を防ぐ上での有効率と感染を予防するブースター接種の効果持続性(英国保健省のワクチンレポートによる)

2回接種のみでは20週目以降は効果がむしろマイナスになっている(ADEによる逆効果というよりはサンプルの取り方によると説明される)。大事な点はブースター接種しても感染予防効果は2ヶ月程度。

 

III.  感染しない事でなく、治る事が免疫の仕事

 

免疫というのは一つのウイルスや病気だけを相手にしていて良い訳がありません。世の中には5万とウイルス、ばい菌、寄生虫などが存在し、毎日数千の癌細胞が普通に生活していても自分の体から生じて、免疫機構がくまなく目を光らせて必要に応じて排除してくれています。エボラ出血熱の様に感染したら最後高率に死につながってしまう感染症は「感染しない事」に予防の主眼をおかねばなりませんが、多くの者が軽症で済む新型コロナ感染症の場合は、感染しても重症化せずに済めば良い、「重症化の予防」に主眼を置けば良いという事は誰でも理解できると思います。多少タンパク質の構造が変わっても一度類似のスパイク蛋白で免疫細胞が感作されていれば、実物のウイルスが感染した際に免疫細胞が1から抗原の認識を行って抗体の鋳型を作るのではなく、素早く抗原に対応する中和抗体を作る作業に移れるから重症化を防げるのであろうと、上記のデルタ株にも中和抗体量が低下した時期においても重症化を防ぐ効果が残っている科学的説明が成り立ちます。一方でオミクロン株に対して感染を防ぐ効果が長続きしない(中和抗体の作用が直ぐに低下してしまう)のは変異種に対する免疫的多様性とワクチンで説明した様に、アミノ酸の成分がかなり異なるオミクロン株には中和抗体の力が従来の株よりも弱いことが推測されるのです。かかっても風邪程度の毒性であるならば、ワクチンなど打たずに普通の感冒と同様「罹って通常の免疫力で治る」で良いと結論づける正当性がここにあります。

 

IV.  早くパンデミックが終わり、with Coronaの時代へと言い出した人達

 

パンデミックの宣言は病原体が決めるのではなく、ヒトの都合で決まります。パンデミックの定義自体があいまいで「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」の状況に基づいて総合的に判断されるものだからです。本来パンデミック(世界的流行)と宣言した時点で「封じ込め」という戦略は失敗したことを意味するのであって、「ゼロコロナ」という目標が実現不可能なナンセンス、非論理的なものとなります。病気にかかったヒトに「病気の予防」を説く様なものです。With Coronaとしてどのように共存して被害を最小限に留めて行くかが求められる政策になります。その意味では初めから政策目標が誤りであったと言えます。もっとも「ワクチンパスポートを2022年までに導入」が政策目標であったならば恐怖を煽り、ワクチンを強制してパスポートを制度化したEU諸国は政策目標を達成したと言えるでしょう。だから英国などは堂々とwith Corona政策を採り出しているのかも知れません。日本は周回遅れのままいつまで「ゼロコロナ」を目指して終わりのないワクチン接種や自粛を続ける気なのでしょうか。

(2022年からワクチンパスポートを本格導入する予定だったが頓挫、でもあきらめてなさそうー2024年時点の感想)

(再掲終わり)

 

現在日本は幸いwith Corona政策に変更しましたが、諸外国はすでに否定している「遺伝子ワクチン」を今だに推奨しています。それどころかどの国も承認していない遺伝子増幅型ワクチン(レプリコンワクチン)などというとんでもない代物を日本人に使うことを承認してしまいました勿論長期動物実験さえ行っていない怪物ワクチンを人間につかって何が起こっても誰も責任は取れませんし、取るつもりもないでしょう。正体不明なものに責任を取ること自体不可能なのです。「日本人をモルモットにして世界が観察する」事態に日本人は立腹することさえできない「腰抜け」になってしまった。

今年秋には犠牲者が出始める予定とニュースで宣言している。

 

喧々諤々の議論、反論のないものは「サイエンスではない」という大原則を半分は理系大学出身のはずである日本人に再度つきつけたいと思います。

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老衰で死ぬということ

2023-12-30 18:17:55 | 医療

病院で亡くなった人の死亡診断書とカルテのチェックを10年以上続けていると、全科にわたる疾患の知識と共に、法医学的な知識も豊富になってきます。長期にわたって入院した患者さんが亡くなる場合は、老衰が死因になることは多くない(ゼロではない)のですが、ほぼ心肺停止で搬送された高齢者の方は死亡診断書の死因に老衰が記載されることも多くあります。80台後半以上の方が疾病でなく老衰で亡くなるのは、保健医療においては喜ばしい事で理想は全てのお年寄りが老衰で亡くなる事とも言えます。

 

死亡診断書の記載は医師でないとできませんが、厚労省の定める「記載の手引き」があり、それに従って記載する必要があります。死因については全ての患者が心停止、呼吸停止で亡くなるので「心不全」「呼吸不全」が直接死因になりますが、必ずその原因が明らかであれば原因を記載し、厚労省の統計に表れるのは原因となった死因の方です。集中治療室で、多臓器不全で亡くなる方の原因は、熱中症であったり、術後感染であったり、ウイルス肺炎であったりするので、主たる死因は多臓器不全でもその原因の記載は別になります。「老衰」は亡くなった状況から原因となる疾患が明らかでなく、高齢でだんだん食事や水分が摂れなくなって衰弱して亡くなった経過が明らかであれば死因とされます。まったく元気で食事もされて活動していた方が突然亡くなった場合は、肺梗塞や不整脈、心筋梗塞などが除外されると「不詳の内因死」と診断されます。

 

死因のチェックをしていると、救急外来などで、心肺停止で搬送されて亡くなった方や、院内で急変して亡くなった患者さんの死因が「診断書の記載は誤りだ」と気づく場合も時々あります。それは直接死因と死亡に影響した疾患が別であったり、心肺停止で搬送された人の死亡時CT(Autopsy Imaging AI)や血液検査の読み間違えによるものによるのですが、若い医師たちにとって、夜間に通常の救急外来もやりながら死亡診断書も記載するという状況では完全を期する事は不可能とも言えるので仕方ありません。死因に「誤嚥性肺炎」とあってもどう見ても「老衰」だろうということもあり、血糖値7(通常は70以上)で低血糖が死因だという事もあります。血清カリウムは死後上昇するのですが、腎不全を合併して上昇していた場合は高カリウムが死因になりえます。出血がないのにヘモグロビンが3(通常は10以上)であれば明らかに貧血が死因であり、白血球なども減っていれば再生不良性貧血であるし、それらが正常であればウイルス疾患などを契機とした赤芽球癆を考える必要があります。AIで生前に気づかれなかった全身リンパ節が腫脹したリンパ腫が見つかることもあります。

 

事件性が明らかでなければ、既に葬儀も済ませた患者さんの家族に「死因が違いますよ」と連絡することはありませんが、診断書を記載した若い医師たちには後学のために連絡しています。そのような中、私の母がこの年末に「老衰」で他界しました。認知症もあり、家の近くの施設に入所して世話をしてもらっていたのですが、1か月ほど前から食事が摂れなくなり、量を減らしたり、易消化食にしたりしていたのですが、いよいよ危ないですと連絡があり、嘱託医にもあらかじめ施設看取りの承諾を得ていたので極めてスムーズに老衰による安らかな死を迎えることができました。亡くなることが予想されていた場合は、心臓が止まった時に医師が看取りをする必要などなく、翌朝診断書に記載すれば良いことになっています。しかし看取りの承諾が家族から得られていないと、救急車を要請してルーカスと呼ばれる餅つき機の様な人工心マッサージ機を装着されて救急病院に搬送されることになります。せっかく安らかに老衰死を迎えたのに、人生の最期に機械に心マッサージをされて気管挿管されたうえ無理やり蘇生される(ほぼそのまま亡くなる経過を取ります)事になります。老衰死は「大往生」であり、遺族はお祝いをして天国に送り出す事が亡くなった家族への最大の供養と言えます。老衰を迎えるお年寄りを持つ家族の方は是非「看取り」をしてもらえるようにかかりつけの医師にあらかじめお願いをしておく事をお勧めします。

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増加傾向が続く日本の死亡統計

2023-11-04 11:02:58 | 医療

前回2022年の人口動態統計のまとめが出た際に総括しましたが、2022年は2021年に比べて13万人多く日本人が亡くなり、最も死亡者が増加したのは75歳以上の高齢者であった事を報告しました。死亡原因としては、がん、心疾患、老衰が増加していました。10月末に今年8月までの人口動態統計の速報が出ましたが、やはり死亡者は増加したままであることが分かります。前年(2022年)が多かったので前年比較では増加した様に見えないのですが、死亡者が異常増加する前(年々2万人ずつ位は増加していましたが、10万以上増加は異常)と比較すると分かりやすいと思います。

 

実臨床と病院の死亡診断書の全数調査を続けていると分かりますが、数年前と比べて悪性度の高いがんが増加し、一度に複数の癌に罹患する「重複がん」例も珍しくなくなりました。また80台以上の高齢者が2-3か月で急速に進行するがんで亡くなる例も多くみます。あと高齢者であまり重篤でない感染症などで亡くなる、広い意味での老衰ですが、70台後半くらいから体力低下や免疫が弱い印象で亡くなる方が増加している様に見えます。日本中でこの1-2年のうちに、血縁者や友人で急にがんで亡くなった方がいる、という人が増えているのではないでしょうか。私は厚労省の統計まとめと、一次情報しか発信できませんが。

 

I.  死亡者数の推移

 

図にこの5年間の各月の死亡者数の推移を示します。2019-20年は死亡者数の増加はなく、21年の春以降から徐々に各月の死亡者が増加しているのが分かります。死亡者増加が問題になった22年以降今年に入っても死亡者が増加したままであることが明瞭に理解できます。火葬場が2週間以上順番待ちでしかも救急の受け入れ困難が問題になった昨年12月から今年1月の異常な死亡者数が目立ちます。大災害でもあったのでしょうか。

5年間の各月死亡者数の推移 21年途中から死者が増え始めた。22年は著明増加。

 

II.  コロナやワクチンとの関係は?

 

今年8月に厚労省からXBB対応ワクチン接種を推奨する知らせが出た際に紹介したパンフレットに記載されていた今までの新型コロナの感染流行のグラフにワクチン接種時期を加えた図を前回ブログに載せました。今回この図に対応する各月の死亡者数を合わせた図を示します。死亡者数の増加が分かるように2019年の各月の死亡者数を青で示します。ワクチンを打てば打つほどコロナの感染者が爆増し、死亡者数も増加している様に見えます。

厚労省のコロナ感染者数推移のパンフレットにワクチンと死亡者数の推移を重ねた図

 

III.  XBB対応ワクチンは効くのだろうか?

 

厚労省がXBB対応1価ファイザー社ワクチンを承認した際に公表した資料からの図を載せます。これはヒトではなく、マウスに予め3回従来型のワクチンを接種してから4回目の追加接種として前回ヒトに推奨して接種した「武漢とBA4/5の2価ワクチン」を接種した場合(左側)、今回推奨するXBB1.5の1価ワクチンを接種した場合(オレンジ枠内)、BA4/5と今回推奨のXBB1.5を2価として接種した場合(右側)の3つの群に分けて、反応してできた「現在存在しない武漢型」、「オミクロンBA4/5」、「XBBの各型」に対する中和抗体の量を「対数目盛」であらわした図です。

厚労省のファイザーワクチン承認時の公開資料の図

 

問題点はXBB1.5に対するワクチンを投与したのに現在存在しない武漢型の抗体が大量に作られてしまった事です。これを「抗原原罪(Antigenic sin)」と言って同じワクチンを複数回打つことでワクチンが効かなくなるから注意せよ、免疫減弱が起こる減感作療法になる、と繰り返し注意喚起してきたことです。しかも必要なXBBに対する抗体がほんのわずかしかできていません。これが分かるように「対数目盛」を通常用いる「線形目盛」に変えた図を載せます。

厚労省の図をまっとうな線形目盛で書き直した図

 

IV.  ワクチンがコロナ感染症重症化を予防する効果

 

コロナワクチンには重症化を予防する効果がある、と繰り返し宣伝されています。これは本当でしょうか?私は本当であると思います。以前も解説しましたが、「新型コロナ感染症の重症化」は、免疫の過剰反応によるサイトカインストームで肺組織をはじめとする臓器障害が出現して生命にかかわる事が本態です。だから重症コロナ感染症には「抗ウイルス剤」、免疫を抑制する「ステロイド」、生命維持をするECMOで対応するのです。コロナワクチンを反復投与することで、存在しない武漢型ウイルスへの過剰な抗体は作られるものの、各種新たな変異型コロナウイルスに対する抗体ができなくなる事がマウスの実験で示されたのですから、免疫の過剰反応であるサイトカインストームはウイルス感染しても起こりません。元々最近のウイルスは重症化しない型に変異しているのですから、たまたま体内で異常増殖して本来なら重症化する例でも免疫が抑えられる事で重症化せずに済むのです。しかし体内でウイルスは増加し続けるので体力が低下していずれ亡くなる結果にはなります。高齢者の老衰死亡(体力低下による死亡)が増加しているのはそのせいではないかと愚考します。軽い風邪や肺炎で検査データが死亡するほどの異常データでないのに亡くなるヒトが最近散見されるのですが、私はこれではないかと思っています。証明することはできませんが。

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癌治療学会の記録2023

2023-10-22 12:03:01 | 医療

昨年もがん治療のトレンドとして癌治療学会の記録をまとめました。昨年はがん治療と栄養、リハビリ、ポストゲノムの応用といったテーマがあったと思いますが、2023年10月19-21日に開催された今年は「遺伝子解析による個別化」のほかには目新しい技術はないものの、幅広くリベラルアーツの視点で未来を拓くという内容だったと思います。会長の慶応泌尿器科教授の大家氏の好みが出たかなと言う内容でした。以下に特別講演として視聴したものを備忘録的に記しておきます。

 

I.  特別講演「これからの日本」元内閣総理大臣 小泉純一郎

前回慶応の大家教授が主催した泌尿器科学会総会でも細川元総理の講演があって盛況だったのですが、今回は慶応の先輩でもある小泉氏を引っ張り出して「これからの日本」と題して講演。1/3位入れば盛況のメイン会場が、通路が立ち見で埋まる程の盛況になりました。内容は80台を迎えて活舌もやや衰えてはいましたが、1)原発廃止、ドイツが廃止できるのになぜ日本はしないのか。豊富な地熱や風力、太陽光で代替えするべき。産廃規制は厳しいのに原発廃棄物は緩いまま。2)戦争反対、若者を戦場に送ってはいけない。第二次大戦は無謀で無益だった。3)アメリカ万歳、米国に占領されたのは、他国(ソ連とか)でなくて良かった。(まあ異論はないものの負の面も余りに多いし、いいかげん「占領」は終わるべき、という視点がないのはブッシュの前でプレスリーを踊る芸風から致し方ないかなとrakitarouため息)4)日本は世界に雄飛すべき、日本の食や文化は世界に受け入れられている。もっとそれを生かして日本の良さ、思想を広めるべき。(これはその通り)5)常に勉学は続けよ、座右の銘で佐藤一斉の名言『少にして学べば、則ち壮にして為すこと有り、壮にして学べば、則ち老いて衰えず、老いて学べば、則ち死して朽ちず、』を実践している由。これもその通りと思いました。

 

II.  世界観講演「からだ」と「こころ」をつなぐ 作家・臨済宗住職 玄侑宗久

これはrakitarouが泌尿器科総会の企画時に、大家教授に「市民公開講演」として慶大出身の玄侑氏の講演を提案したものを今回の癌治療学会で実現(市民講演ではなかったですが)した内容だったので是非聞きたいと思っていたものです。氏は医学的知識も豊富なので現代医学と日本人的な死生観について、話が聞けるとよいと思っていました。今回は「医師」を対象とした講演だったので、やや専門的な「身体」「こころ」「脳」と「仏教的認識論」の内容でした。「瞑想」は意識を大脳から切り離すことで間脳や辺縁系への大脳からの刺激を開放する作業、からだの各部分への気遣い(意識をあえて向ける)によってからだの悲鳴である「やまい」(やまいの高じた「がん」も)防げるのではないか、という内容。瞑想の実験として白紙に書かれた黄色い四角が二重にみえる状態を保つと中央に紫の物体が浮いてくる、というものや、食べてすぐ寝るのは身体を働かせたまま意識を向かわせない「やまい」のもと、といった話は興味深いものでした。

 

III.  世界観講演 春画にみる養生・身体・笑い 京都芸術大学 石上阿希

体位に無理があるし、しかもモノが顔と比較して大きくないすか?という図  大英博物館の春画展、入口にこんなの掲げて大丈夫?という図

 

予想外に面白かった講演。日本の江戸期前後春画の特徴は、1)顔と性器が同じ大きさで無理な体位で描かれる2)男女の性が同等に描かれ、どちらも喜悦風3)LGBTQ何でもあり4)下劣とされながら家宝でもあった5)版画は、当時の印刷技術の粋を尽くしている6)性と健康を結ぶものや風刺、笑いに結ぶ内容もある7)性と怨念、霊を描くものもあり、庶民の心情も表していた。明治以降忌むべきものとして顧みられなかった日本の春画を見直す事で、2013年に大英博物館で春画展が開催され、R指定ながら入場制限が出るほどの大盛況を博し、特に2や3、7といった特徴が、宗教的タブーの多かった西洋絵画にない魅力として受け入れられた。通常の展示と異なり、男性よりも女性の入場者が多かったといった紹介がありました。これらの特徴を表す春画のスライドでの例示も楽しいものでした。対をなしたのがyou tube「オトナの教養講座」で有名な「お尻博士」山田五郎の世界観講演「西洋絵画に見る医療」だったのですが、19日は参加しなかったので残念ながら聴講できませんでした。

 

IV.  未来先導講演 経済キャスターの現場から 経済キャスター 小谷真生子

 

4年間日航のスチュワーデスを務めて退社後いきなりNHK看板番組のメインキャスターになり、「ニュースステーション」や「ワールドビジネスサテライト」等でメインキャスターとして活躍、世界経済フォーラム(WEF)の国際メディアカウンシルのメンバーでもあるという「ダボス会議・グローバリズム側の申し子」的な存在。地方短大卒の女子が「どこでそちら側に徴用されたの?」という興味で聴講。しかも講演内容は「なぜ私はこうなった?」というものでした。結論的には、運と努力・実力と思いましたが、スチュワーデスになる目的が世界をただでビザ取得の上見て回れる事であり、メディアの仕事をずっとしたかった。父がNHKの報道部で海外勤務であり、ソ連崩壊や天安門の時も日航職員として現場を体験できた。ユーゴ内戦の取材や阪神の震災でヒトの死に直面して「現場報道よりも金融経済」の面で身を立てたいと決心してそちらの道で頑張るうちにこうなりました、という内容でした。経済界とWEFとのつながりを考えると経歴も納得でしょうか。「子育ては女性の社会進出と同等以上に貴重な仕事」人生100年の時代に女性が子供を産んで育てられるのは始めの2-30年しかないことを自覚して人生設計をすべき、という主張は「どの口が言う」と攻撃されてしまうけど私の本音です、と自身の出産経験を踏まえて話したのは印象的でした。

 

V.  教育講演2 がん治療の医療経済評価 慶応義塾大学 後藤 励

通常新たな医療技術は1だが、2の技術も大事

 

これは本来の医学的内容で勉強するべきもの。新しい薬剤の薬価を決める時に中医協などに資料を提出する際の検討事項などを実際に大学でいかに中立な立場で検討するかについての講演。演者は京都大学医学部を卒業して経済学部大学院に進み、医療経済学の専門家として慶応の経済で教鞭を執るという異例の経歴を持つ貴重な存在で私としても勉強になりました。知ってはいましたがICER(増分費用効果比)とQALY(質調整生存年)を考慮して、増分費用効果比が通常話題にならない図の第二の象限、(つまり費用が減ってしかも医療の質はあがる)につながる「がん治療のoff ramp strategy」(薬の上手な止め方)について近々講演しようと思っているので大いに参考になりました。

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ワクチン地獄を永久に続けますか?

2023-08-20 10:36:43 | 医療

新型コロナ感染症も5類扱いになり、「治療が必要な患者を治療する」という当たり前の対応になって社会も落ち着いて来たように感じます。店や電車でもマスクをする人が減少してまともな風景に戻りつつある様に見えます。

そんな中、厚労省は9−10月に「現在」流行しているXBB.1.5株対応の1価ワクチンの接種を「無料」で「生後6ヶ月以上の全ての国民」に接種を開始すると発表しました。特に今まで追加接種の対象外として「全ての接種を避けて来た人」へも「初回接種の方も受けて下さい」などと「1億総接種」を打ち出しています。

厚労省のワクチン接種をよびかける広報(厚労省サイトから)

 

I.  ワクチンで耐性株発生の常識

 

感染症は原虫、細菌、ウイルス、など宿主に感染する原因で分けられますが、医学的治療薬としての抗生物質や菌やウイルス特有の抗代謝薬などを使い続けると、当初は有効であっても細菌やウイルスの側で「進化」「耐性化」することで薬が効かなくなる事は常識の範囲です。それは癌においても当初効果がある抗がん剤が、耐性株が増加することで最後は効かなくなってしまう事と同じです。

国立医療センターのサイトから耐性菌が発生するメカニズムの一般の方向け説明

 

コロナウイルス(風邪ウイルス)は感染を起こす接着部位のスパイク蛋白が容易に変化するので、ワクチンができないというのが医学の常識でした。インフルエンザも接着部位となるヘマグルチニン(H)やノイラミニダーゼ(N)が変異するので、ユニバーサルなワクチンができず、流行型を予想したワクチンを毎年施行しています。

インフルエンザの構造と変異する場所

 

新しい抗生物質は使いすぎると耐性菌発生に通じて、最終的にはスーパー耐性菌となり、あらゆる薬剤に耐性の菌が人類を滅亡させるリスクが生ずるため、適切な抗生剤を短期間使用することが義務づけられています。

耐性菌発生に警鐘をならすBBCやOECDの記事

 

II.  ワクチン接種開始以降スパイク蛋白の変化しか起こらない

 

厚労省の秋接種についてのお知らせには、年末にかけて毎年コロナが流行するので、予防的に秋に接種をと理由が書かれていますが、同じ図でワクチン接種を重ねる程、いままで拡大しないと見えない程であった感染者数が莫大な数に増加したという説明もできてしまいます。

厚労省の資料にワクチン投与時期(1ー5回)を加えたもの

オミクロン株発生以降の亜系統の移り変わり(厚労省の同じ資料から-全てオミクロンの派生である)

 

ワクチンを製造しているモデルナ社の公開資料からの図を示しますが、当初αやデルタなどの変異種と異なり、オミクロン株以降の莫大な流行をもたらした変異種は全てワクチンに用いられたスパイク蛋白の変異によって起こっている事が証明されています。つまり「スパイク蛋白のワクチンを使う程、同部位の新たな変異種が今まで以上に流行する」という事が証明されたと言えます。

モデルナ社の資料からオミクロン株以降の変異株の系統樹とスパイク蛋白上の変異個所の図

 

III.  論理(ロジック)でなくナラティブ(自分で決めた様に思わせる)で

 

ここまで明らかな結果が出ているのですが、この簡単な事実を元にワクチンをどうするべきかを論理的に考えてはいけないのでしょう。最近「ナラティブ」という言葉が汎用され、物語(ストーリー)を展開することで、ある結論に到達する事がスマートであるとされます。医療においても一方的に医師が医療の論理で治療を説明するインフォームド・コンセントよりも患者と一緒に治療を決めて行く過程を大事にするPatient decision makingの手法(Narrative Based Medicine)が大事とされます。しかし現実にはナラティブとは論理的に思考して結論に達するサイエンスの常道である「ロジカル」とある意味対極にある概念であり、一見自分で納得して得た結論に見えますが、後から支配者にクレームが来ない様にする高等技術とも言えるのです。このナラティブ技術は「ウクライナ戦争」についても、温暖化が原因とされる「ハワイの火事」についても言える様です。特にテレビ情報だけで全てを判断してくれる人達が「自ら物事の基本から考える」ような事を許してはいけないのです。断片的な事実を関連があるように並べて、特定の結論に結びつけさせる技術(ナラティブ)こそが、自分達が納得して結果的に自ら自滅させる高等技術なのです。

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その後の日本の超過死亡

2023-06-27 15:01:18 | 医療

2022年は2021年に比べて13万人多く日本人が亡くなり、大きな災害や戦争もないのに一体何があったのかが問題となりました。2023年4月3日におけるコロナ陽性の死亡者数累計(コロナによる死者数ではない)は7万4千人であり、2022年の超過死亡数よりもはるかに少ない数です。5類に移行してからはコロナ陽性の死亡者数の発表もなくなりました。厚労省は6月23日に2022年の人口動態統計のまとめを上梓しました。2022年の総死亡者数は1,568,961名で、2021年の1,439,856名よりも129,105名増加しました。最も死者数が増加したのは75歳以上の高齢者で、1,229,484名が死亡、これは前年の1,108,900名よりも120,584名と大幅な増加でした。

また2023年4月までの人口動態統計速報も明らかにされましたので、2022年の日本人の死亡内容はどうであったのかまとめておこうと思います。死因統計は毎年医師国家試験にも出題されるので、大学教員としての仕事の一つでもあります。転載した図については大きさなどから少し解り辛いかも知れませんが、厚労省のサイトから誰でもダウンロードできますので、興味のある方はそちらで御願いします。

 

I.  全体の概要

 

これはグラフなどを見た私個人の「まとめの評価」です。全体では死亡数が大幅に増加し、死亡増加の兆候は今年の1月まで継続して次第に収まりつつあります(それでも2021年よりも多いが)。死因はがん、老衰、心疾患が増加し、亡くなる年齢は高齢者ほど増加の傾向がありました。若い特定の年齢の人が多くなくなる傾向はないと思います。

 

II.  超過死亡

今年の4月までの死亡者数を追加したグラフを載せます。グラフで明らかな様に、2022年1月7月11-23年1月にかけて顕著な死亡者数の増加があり、自然に起きた変化では100%ない何かが影響したと断言できます。死亡者の増加は幸い今年の4月には落ち着いてきている事が解ります。毎月自分の病院で確認している、心肺停止で搬送される救急患者を含めた死亡者数が1月頃に比べて減少していることも実感としてあります。

昭和22年からの死亡者数統計では、人口千対においてはまだ少ないものの、死亡者数の絶対値においては戦後最大数の死亡者で、前年に対する増加も最大であったことが解ります。幸いなことに15-64歳の生産年齢の死亡者数は伸びておらず、主に75歳以上の高齢者の死亡が増加したことが解ります。

 

III.  死因統計

図を見て明らかな様に、がんによる死亡は増加し続けていますが、2010年頃からの心疾患(ほぼ心不全)と老衰(これも大きくは心不全)の増加が目立ちます。

増加し続けるがんですが、男性は肺、大腸、膵癌が増加、女性は大腸、肺、膵、乳がんが増加しています。罹患率としては、男性については私の専門である前立腺癌が一位ですが、死なない癌なので死因統計の上位には出ません。

 

IV.  年齢別統計

年齢別死亡者を5齢毎にまとめて、2019年から22年までを比較したグラフを載せますが、超過死亡が月によって大きく変わっても、亡くなる人の年齢層は高齢者ほど亡くなると言う傾向自体は変化がない事が解ります。

年齢階級別に見た死因の構成割合を示します。大きくは例年と変わらないものと思います。 若い人の自殺が目立つのは残念ですが、(III)の死因統計と同じ結論と言えます。

 

日本、世界の超過死亡と、新型コロナ感染症、ワクチンとの関係について以前考察しましたが、月によって死亡者数が大きく変動すること、変動とコロナ感染症の流行、ワクチン投与率が関連していそうなことが超過死亡増加解明の手掛かりになると考えます。未だ明確な因果関係は解りませんが、すぐに結果が現れない統計もあり、今後も注視してゆきたいと考えています。

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日本人のコロナFactor Xは何だったのか?

2023-05-16 17:55:30 | 医療

 2023年5月8日から新型コロナ感染症の感染症法上分類もやっと5類扱いになり、今後は毎日の感染者数発表もなくなり、今後の感染者数もインフルエンザ並みの定点観測として感冒並みの扱いになってゆくものと思われます。世界中で健常者へのワクチン接種は取りやめになってゆく中、未だに定期接種を推奨する日本は「狂気」としか思えませんが、世界を見習えと言わないメディアや人権派の方達はどうしてしまったのでしょう?

 

 そのような中、3回目のワクチン接種で下肢静脈血栓症と悪性リンパ腫になり、抗がん剤治療を終えて「死を覚悟」した立憲民主党の衆議院議員 原口一博氏が、連日ディープステートの真実についてyou tubeで激しく暴露している事が注目されます。彼の認識は国会議員であれば全員にとって常識の範囲の知識であり、逆らえば横田基地経由でやってくるCIAに見せしめの様に暗殺され、警視庁によって自動的に不自然な「自殺扱い」される今までの事例を怖れて与党も野党も黙って従っている現実があると考えられます。出入り自由な米軍基地が日本中にあり、日米委員会を通さなければ国内の政治課題が決められない現状がある限り、誰が政権に付こうがこの構造は変わらないでしょう。米国は必要になればいつでも日本に原爆を落とす国です。

 

I.  新型コロナ流行初期のFactor Xとは何だったのか?

 

 新型コロナday 0 問題の所で明らかにしていますが、流行初期において日本人の感染が少なかった理由は、既に2019年12月の時点で武漢型(L型)の前駆型である(S型)が国内で流行しており、日本人の多くが既に抗体を持っていたから、というのがFactor Xの正体でした。その項でも引用した京都大学 上久保 靖彦 氏に先日お会いして講演を聞く機会がありました。その際いただいた論文の要約や図など提示しながら、季節性インフルエンザの流行状況を加味した、諸外国の新型コロナ感染率、死亡率の差を説明したGスコアについて備忘録的に記しておきます。

 類似したものを違う記号SとかKとかの名称で記しているので紛らわしいのですが、一応論文に沿って記します。

 

 分析には3つの感染症的前提を用います。その1として、それぞれの変異種は感染力(R0)が異なり、各R0の値によって、国民の何パーセントが感染すると集団免疫に達してそれ以上感染が広がらず、収束に転ずるかが計算式で表されます。確かに今までの第〇派、の流行状況は国民の一定数が感染すると必ず収束してきています。これが前の型との交叉免疫(前の型に罹っていて免疫があれば今回罹らない)がある群とまだない群との差で、新たに感染する総人数が計算できるとするものです。基本的な考え方は8割おじさんと言われた同じ京都大学西浦博氏と同じ方法ですが、既に感染が広がっていたという前提になることで全てが変わってくるのです。

 

 第2の前提が、季節性インフルエンザと新型コロナ感染症は同時に流行しない(ウイルス干渉)という事実です。2022年の冬には、「コロナとインフルが同時流行する」という予測がまことしやかに囁かれましたが流行したのはコロナだけでした。(インフルが流行した場所ではコロナは流行しなかった)上久保氏のコロナ流行予測はこの理屈に基づいており、2019年冬にインフルエンザが十分流行した所はコロナが入っておらず、免疫がないために2020年以降コロナが流行しやすくなったと分析されます。

日本におけるインフルエンザと新型コロナ流入によるインフルエンザ抑制の模式図

 第3の前提が、抗体依存性感染増強(ADE)の存在です。ウイルス感染によって抗体が作られますが、スパイク蛋白のレセプター結合部(RBD)への抗体は中和抗体として感染抑制に働きますが、それ以外の部位への抗体はウイルスが細胞内に侵入しやすくなる可能性があると言われます。他にもスパイク蛋白が変異すると当初は中和抗体であった物が感染増強抗体になってしまう可能性もあります。上久保氏はS型のコロナ感染で得られた中和抗体はそれに続くK型の感染予防に役立つが、G型に対してはADEとなり却って感染を悪化させると考えました。K型の中和抗体はG型に対してもある程度効果があるとしています。

 

 S → K → Gの順で流入した日本は感染拡大ならず

 

武漢の研究所で作成され、何らかの原因で外部に流出、ヒト→ヒト間で感染が拡大したオリジナル(S型)が武漢を中心に瞬く間に中国全体に感染拡大します。その軽度変異型がK型と名付けられた株で、Sの後を追う様に中国で感染拡大しました。SとKの違いは、感染力は同様(S:R0 2.19、K:R0 2.21)で発熱などの毒性はKの方が強い事です。日本は武漢閉鎖後も3月9日まで中国からの渡航制限がなかったため、日本国内でSもKも同様に感染して集団免疫に達していたと2019年のインフルエンザ流行曲線とPCRで感染者の遺伝子解析をした結果から推測されました。

 

S→K→Gの順で暴露された社会は初期型の新型コロナには集団免疫があったが、S→Gは逆効果だった

 

一方で、より強い毒性(case fatality rate CFR:罹患した人が死亡する率)を示したのがL型変異(ORF8部位の変異で当初SとLを分けたが、世界にCOVID-19の名前で広がったので新たにglobalのG型と呼んでいる)で、武漢G型が新たな感染症として世界に拡散して行きました。武漢G型は日本にもその後到来しますが、K型の集団免疫を持っていた日本では欧米ほど広がりませんでした。武漢G型は欧米では別の変異型、欧米G型に変異して大きいCFR(4%近く)を示しましたが、欧米ではS型は中国の旅行者を介して流入していましたが、早期に渡航制限をかけたため、K型の流入は少なく、却ってS型の抗体がADEを示して欧米G型の感染拡大を招いたと分析しています。欧米各国の2019年インフルエンザ流行状況からG型の感染可能性(Gスコア)を国別に示したものが下図です。

欧州の初期新型コロナ感染症の重症流行リスク(イタリアや英国は高かった) 米国も州によって感染率や死亡率に差があった

 

この流行は第2波までの世界の流行状況を説明しており、2021年1月以降のα変異株、8月のδ株や2022年2月以降のオミクロン株など3年かけて種々の変異株の流行はワクチン接種によってウイルスがスパイク蛋白を中心に生き残りのために変異を遂げ、しかも感染力も上がり、ADEも恐らく関与してワクチン接種が多い国ほど感染者が増えるというパラドックスを産んでしまったために数式的な予測が不可能になっています。

 

II.  政権中枢はコロナの実態を理解していた?

 

 上久保氏らのグループは上記研究を日本学術振興会の科研費から公にサポートされて研究(KAKENHI17H03597)し、当時の安倍政権中枢や与党、野党の議員たちにも複数回説明会を開いて解説してきたそうです。特に経済の停滞、一定の職業形態の国民に一方的な犠牲を強いる活動自粛の解除や全例のない遺伝子ワクチンを緊急で導入する必要性の有無(全国民へのワクチン投与の必要性はないと明確に説明した由です)について繰り返し説明してきたそうです。その際総理や各大臣、野党党首らと一緒に撮った写真も見せてもらいました。

 

 この3年間で起こった種々の政策で、緊急事態宣言の比較的突然の解除や政府専門委員会の解散についても上久保氏らのグループの解説が功を奏したと言います。変異種と感染率を高める「ワクチンの国民全体への繰り返し接種」も害のみで利がない事を繰り返し説いてきたそうですが、トランプ政権ができなかったことでワクチン接種継続を止められなくなったと話していました。

 

 現在WHOも欧米各国も健常者への新型コロナワクチン接種の継続は推奨しない、と明確に方針を打ち出しています。日本だけは6回目接種券を配り、私の所にも接種OKでしょうかと患者さんからの問い合わせが多数来ます。どうしても受けたい人を止める事はしませんが、世界は接種を推奨せず、日本だけが世界を見習わず接種を続けている事は説明するようにしています。誰に命令されているのか分かりませんが、もう健常な日本人にワクチン被害を出す事は止めにしたいと心から思います。

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ワクチン接種率と超過死亡の統計学的検討

2023-04-17 13:28:03 | 医療

前回各国のワクチン接種と、コロナ感染症、超過死亡との関連について検討した際、1)コロナワクチン接種によって新型コロナ感染症の流行に伴う死亡者数が却って増強された事、2)国民のワクチン接種率で増強の程度が変わる事、を論考しました。

ワクチン接種と超過死亡の関係で推察されること  各国の超過死亡の累積を示す図

 

前回図示した様に世界全体、どの国でも超過死亡が増えている事は統計的にも明らかなのですが、増加には波があり、コロナ陽性の死亡(コロナ感染症が悪化して死亡とは限らない)者数増加と超過死亡の増加が連動している事はワクチン接種率に関わらず起きている事は確かです。しかしコロナ陽性による死亡者数よりも全ての原因による死亡者数の方が圧倒的に多数であり、超過死亡自体はコロナ感染症流行の波が収まった後も継続する傾向がある事も示しました。しかしワクチン接種者数、コロナ陽性の死亡者数、超過死亡の増減の図のみでは、統計的にワクチン接種率と超過死亡の多さが関係しているか否かを証明することはできませんでした。今回Unz Reviewの記事に私が参照しているデータと同じOur World in dataを用いてワクチン接種率と超過死亡の相関関係を統計的に検証した記事があったので抜粋して載せます。

 

著者(Eugene Kusmiak氏)は、正確にワクチン接種と死亡者が把握できる58か国を対象としています。地域毎に国名の色を変えて、人口一人当たりのワクチン接種回数を横軸に、2022年の超過死亡率(%)を縦軸にプロットし、相関係数を求めて回帰直線を青線で表した図を下に示します。

日本は韓国と同じ位の横軸で丁度線に乗ったあたり(他国で隠れている)

 

結果は回帰直線(Simple regression)で示すと

2022年の超過死亡率=2.43x(2021年の一人当たりワクチン接種回数)+5.38

となります。相関係数は0.4で、ぎりぎりながら±0.4から±0.7まではかなり相関があるに相当します。(0.7-0.9は高い相関、0.9-1.0極めて高い相関、0.2-0.4は低い相関)この際統計の有意差を示すp値は0.051で5%を有意限界とするとギリギリアウトです。

(統計的な検証は原文をあたって下さい。統計検証は私もいつも論文提出時に苦労する所で統計の教科書を読んでも意味を理解するのが大変です)

著者は、各国の人口には大小があるので、超過死亡数にも人口に比して重みづけをした方がより正確になると考えて、人口の平方根で重みづけをして計算しなおすと以下の様になり、

回帰直線は

2022年の超過死亡率=3.30x(2021年の一人当たりワクチン接種回数)+4.02

で相関係数は0.47にやや上昇し、p値は0.00877と1%を有意限界としても明らかに有意差があると検証できます。

この式が意味する所は、ワクチンを接種しなくても超過死亡が4%増加し(2%前後の増減は普通でも起こると言われる。)、ワクチンを1回全ての国民に接種すると4%に加えて3.3%超過死亡が増加する事を意味します。

統計というのは変数やデータのとり方によって、結果が大きく変わるものです。だから以前私のブログで「限られた帰納的結論を演繹的な科学データに変える魔法が統計学である」と説明したこともあります。上記の結果は著者も指摘するように、ワクチン接種と超過死亡の「因果関係」を示すものではなく、「相関関係」(まあまあ相関程度ですが)を示しているに過ぎないものです。

 

コロナの流行に合わせて、コロナ陽性死亡が増加すると超過死亡も増加する事は前回の私のブログに載せたグラフで示した通りですが、著者は感染から治癒した患者がlong covidによる血栓症などで死亡し、超過死亡増加に寄与している可能性を検討するため、「コロナ感染者数」(死亡者ではない)と「超過死亡者数」の相関についても同じ58か国で相関係数を求めた所、予想に反して2020年と2021年にコロナの感染例が多かった国は、少なかった国よりもどちらかと言えば2022年の超過死亡率は低いという結果だったそうです(図や式の掲載はありませんでした)。

 

ワクチン接種と超過死亡の増加は1:1の直接的な関係ではなく、複雑な関係であろうことは前回のブログで検証した通りです。また統計的に有意というだけでは「だから超過死亡増加はワクチンのせい」と結論づけることは不可能です。そこは慎重に扱わないと「いい加減な陰謀論」とか「反ワクチンの結論ありきの言論」というレッテルを貼られるのがオチです。しかし明らかに普通おこり得ない「あらゆる原因の死亡者増加」が起こっている事は「ワクチン接種を始めてから」世界中で起きている事は否定しようがない事実なのですから、今後明らかになる死因別の死亡者数の変化など検証を続け、「遺伝子ワクチン」という世界中の人類に行われた人体実験の結末を分析し、教訓として後世に残す義務が我々にはあると確信しています。

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各国の超過死亡増加とコロナ感染症、ワクチンの関係

2023-03-24 23:14:16 | 医療

厚生労働省が2022年の人口動態統計速報を発表して、2022年は前年に比べて13万人多く死亡者が出ていた事、死者が前年に比べて著しく増加した月が2-3月、8月、12月と偏りがあった事などを記事にして、死亡者数の増加が新型コロナ感染症の死者数より遥かに多数であり、コロナ感染のみでは説明がつかない事からワクチンとの関連が示唆されることを推測しました。今回「超過死亡増加とワクチンとの関連」について、某政策集団から講演依頼をされたので、各国の超過死亡とワクチンとの関連なども含めてrakitarouなりの考察をまとめました。

2022年の前年比超過死亡が13万人であったという厚労省の速報と死亡者数の月別推移

 

I.  用いたデータについて

 

使用した資料は以前から公開されているOur World in Dataのものを使用しています。超過死亡の計算は各国で若干の差異はあるかも知れませんし、インドの様に公開されていない(人口が多すぎて速報が出せない)国もあります。厳密なものにはなり得ませんが、各国の傾向を比較する事は可能と考えます。またワクチン接種率は、3回目以降の接種傾向が各国で異なるため、初回の2回セットを終えた人口の%で比較しています。「コロナ死亡者数」については、新型コロナ感染症に感染し、発症し、重症化して死亡した「真のコロナ死亡」以外の「コロナPCR検査陽性で亡くなった人」が多数含まれている事が各国で問題になっており、日本においても第7波以降の大量感染においては、他の疾患で重症化し、PCR検査でコロナ陽性であったためにコロナ病棟に入院して亡くなった方がコロナ死亡の多数を占めている事は「明らかな真実」であるため、「コロナ陽性で亡くなった人数」という記載で比較図を作成しています。超過死亡の比較はプラスかマイナスかが重要なので0%に赤線を引き、20%の増加はかなり大きな増加(通常大災害がない限り±2%と言われるのでその10倍)なので20%増加ラインを緑にして各国比較しています。

II.  超過死亡の増加パターンが、国民のコロナ接種率によって異なる

 

今回の検討で明らかになった事は、各国ともコロナ感染症が流行し、感染者数、死亡者数の増加と連動して超過死亡数も増加している事です。しかし、ワクチン接種開始以降、コロナ陽性者の死亡に連動して超過死亡も増加するのですが、その増加程度が大きい国とそうでもない国に分かれる事が判明しました。南アフリカは国民のワクチン接種率が35%と低いので、ワクチン接種が開始されても超過死亡の増加程度があまり変わらないのですが、日本(83%)や韓国(86%)、オーストラリア(82%)は増加が大きくなっている様に見えます。ドイツ(76%)、英国(75%)、米国(69%)もコロナ陽性死亡が余り増えていない状況でもワクチン接種後の超過死亡の波が大きくなっている様に見えます(オレンジ色の〇)。

日本と韓国は国民のワクチン接種率は同様に高い。韓国は2022年初頭の極端なコロナ陽性死亡と連動した超過死亡の増加が目立つが、その前から超過死亡がプラスに転じて増加しつつあったことが解る。

オーストラリアは極端なロックダウン政策を取っていたが、2022年にコロナのブレイクがあったがその前から超過死亡がプラスに転じていた。

米国英国はコロナ陽性者の死亡と連動して超過死亡が増加しているが、2022年以降それに伴わない増加が目立つ。

ワクチン接種率の低い南アフリカはコロナ陽性者の死亡と超過死亡の増加が連動するのみに見える。

 

III.  コロナもワクチンも毒性の本態はスパイク蛋白で同じ

 

新型コロナ感染症が治癒してからも血栓症や神経障害など長期的に症状が継続するコロナ感染後遺症、Long Covid症候群と呼ばれる疾患群の本態はコロナウイルスのスパイク蛋白によって出現する慢性的な炎症である事が知られています。またコロナ感染後遺症と同様の症状を呈するワクチン後遺症も、ワクチンがコロナウイルスのスパイク蛋白をmRNAによって自分の細胞に産生させる事でそれらが全身の血管などに作用して出現することが解っています。

コロナ感染後遺症、ワクチン後遺症ともにアンギオテンシン変換酵素受容体を介したスパイク蛋白による毒性が原因であると既に報告されている。

 

つまり、ワクチン接種もコロナに感染する事も体の中で起こる障害は同じであると言えます。超過死亡の増加がコロナ陽性者の死亡増加と連動しているにもかかわらず、それだけで説明がつかないのは、不顕性感染であってもスパイク蛋白による血栓症や神経障害など他の死因でなくなる人がかなりいるためではないかと推測されます。優れた論説を数多く発表するThe Unz Review編集長のRon Unz氏は、超過死亡の増加はワクチンではなく、コロナ感染後遺症で亡くなるヒトが沢山いるからであるという論説を出しているのですが、ワクチン自体もスパイク蛋白によって同じ後遺症を起こすという事実を無視した意見と言えます。コロナ陽性の死亡者増加と連動して超過死亡も増加している事から、「超過死亡の増加は全てワクチンのせいである」は誤りと考えますが、不顕性であれコロナに感染してスパイク蛋白に接する事は、新たにワクチン投与された事と同等の抗原刺激を受けたに等しい結果になるはずです。ワクチン接種者の多くがコロナに感染、発症したことも事実ですから、コロナ陽性の死亡者増加と連動して超過死亡も増加した事は、コロナ感染に伴うスパイク蛋白による障害でその他の死因による死亡者も増加したと考えるのは自然であり、それ以前のワクチンによる複数回のスパイク蛋白抗原刺激が血栓症などの発症を容易にした事も考えられます。

米国のブースターワクチン接種から約5か月後に、コロナ感染症流行の波がないにも関わらず超過死亡が増加した事を受けて、Steve Kirsch氏は氏のサブスタックで英国の報告も含めてワクチンが血栓症や癌などを引き起こして人を死に至らしめるのに平均5か月を要し、これは統計的にも確証される、という論考を記しました。米英の2022年になってからのコロナ流行とは別の超過死亡増加の説明になっているかも知れません。

これらの結果から私は超過死亡が増加したのは、「新型コロナ感染症とワクチン接種両方の後遺症による死亡者増加の結果」だろうと考えます。

 

IV.  ワクチンによる心臓を含む全身へのスパイク蛋白沈着の病理学的証拠

 

以下にPalmer M氏らが2022年8月に発表したワクチン投与後に死亡した患者を病理解剖した際に見られた組織の免疫組織(酵素抗体法によるスパイク蛋白検出)所見を示します。ワクチンによって強制的に産生されたスパイク蛋白が体内の各組織、血管に沈着しえる事は紛れもない事実である事が解ると思います。

ワクチン注射部位の筋肉細胞で産生されたスパイク蛋白(茶色の染色)

ワクチン接種後の心筋に染色されたスパイク蛋白、右はコロナウイルスの本体を包む蛋白の染色でウイルス感染ではないのでスパイク蛋白しか染色されない。ワクチン心筋炎のHE染色像(右側、左は正常心筋像)

微小な動脈(左)と静脈(右)壁に染色されたワクチン接種後のスパイク蛋白(茶色)

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