杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・砂川事件の再審請求事件について

2014-07-04 10:21:06 | æ†²æ³•å•é¡Œ
砂川事件のことは少しニュースになりましたが、その後、この件で裁判が起こされていることをご存じでしょうか。

裁判の過程が、憲法の9条に触れる重大な問題であったことから、司法の手続きとしてはあってはならないことが起こったのです。
そこで、砂川事件の裁判が、裁判を受ける権利を侵害したものだと言うことで、再審請求がおこされているのです。


 
砂川再審事件

 1955年に始まった米軍立川基地拡張反対闘争(砂川闘争)で、
1957年7月8日、立川基地滑走路の中にある農地を引き続き強制使用するための測量が行われた際に、これに抗議して地元反対同盟を支援する労働者・学生が柵を押し倒して基地の中に立ち入りました。
 この行動に対し警視庁は2ヵ月後に、日米安保条約に基づく刑事特別法違反の容疑で23名を逮捕し、そのうち7名が起訴され東京地裁で裁判になりました。
 1959年3月30日、伊達秋雄裁判長は「米軍が日本に駐留するのは、わが国の要請と基地の提供、費用の分担などの協力があるもので、これは憲法第9条が禁止する陸海空軍その他の戦力に該当するものであり、憲法上その存在を許すべからざるものである」として、駐留米軍を特別に保護する刑事特別法は憲法違反であり、米軍基地に立入ったことは罪にならないとして被告全員に無罪判決を言い渡しました。これが伊達判決です。

 この判決に慌てた日本政府は、異例の跳躍上告(高裁を跳び越え)で最高栽に事件を持ち込みました。最高裁では田中耕太郎長官自らが裁判長を務め同年12月16日、伊達判決を破棄し東京地裁に差し戻しました。最高裁は、原審差し戻しの判決で、日米安保条約とそれにもとづく刑事特別法を「合憲」としたわけではなく、「違憲なりや否やの法的判断は、司法裁判所の審査には原則としてなじまない。明白に違憲無効と認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のものであって、右条約の締結権を有する内閣および国会の判断に従うべく、終局的には、主権を有する国民の政治的判断に委ねられるべきものである」として自らの憲法判断を放棄し、司法の政治への従属を決定付けたのです


 田中耕太郎最高裁長官は砂川事件裁判を転換させるためにマッカーサー駐日米国大使や藤山愛一郎外相らと秘密裡に会っていたことが最近、アメリカで公開された資料によってその一部が判明しました。
 この田中長官の行為は違法です。裁判官としてはしてはならないことをしたのです。
 裁判を受ける権利を侵害されたと、再審請求をおこしたのが、今回の砂川再審事件です。



この裁判はまだ始まったばかりです。

応援先です。
  「伊達判決を生かす会」
  〒102-0085 東京都千代田区六番町1 自治労会館2F
   全日本自治体退職者会(自治退)気付
   電話03-3262-5546 FAX03-3239-7870
   事務局長 吉沢弘久

最新の画像[もっと見る]

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。