杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・セカンドチャンス!少年院経験者らに「希望を」 NPO法人設立

2011-01-06 09:04:13 | å°‘年非行
少年院出院者らが中心となって、少年出院者のための自助活動のためのグループ「セカンドチャンス!」が、
昨日、霞ヶ関の司法記者クラブで会見をしました。
毎日新聞では写真入りの記事が掲載されています(本記事の写真とは別です)。
「社会復帰支援へNPO法人設立 毎日新聞 1月6日(木)8時52分配信」


記者会見をしたのは、少年院に入った経験がある若者たちとその支援者。
入院中の少年や出院者の社会復帰を支援する特定非営利活動法人(NPO法人)「セカンドチャンス!」(東京都文京区)を設立したことと、経験談をまとめた本を出版したこと、そして、この会の立ち上げの集会を1月15日、16日に都内で開くことについての報告のためでした。

「セカンドチャンス!」(!までが名称です)は、元少年院教官の津富宏・静岡県立大准教授の呼びかけで09年1月、ちょうど2年まえの1月5日から活動を始めました。
いまは、元少年同士の交流会や少年院訪問などの活動をしています。
また、自助活動の進んでいる北欧やアメリカなどのことを勉強もしています。
2010年11月には内閣府のNPO法人の認証も受けました。
メンバーは、20~30代の元少年約15人と法曹関係者ら約30人。

当事者の活動がもちろん中心です。
でも、それを取り巻くサポートメンバー約30人の存在も意味があると思っています。
私のイメージとしては、ちょうど「親」のようなもの。
なんとか歩けるようになった子どもが、親に手を引かれることなく自分の足でよちよち歩きながら、
周囲に関心を持ち、何かを見て喜んだり、何に触って驚いたり・・・。
でも、ちょっと不安になった時に、隣を見上げると少し離れて、親が一緒に歩いていてくれる。

それは、自分の原体験なのだと思います。
そして、そのことの安堵感は自分の生きることへの信頼感・安心感を形作ったように思います。
だから、手を貸すのでも何でもないけれど、一緒に歩いていたい、そんな存在でありたいと思います。

昨日の会見での彼らの印象的な言葉として

「自分は、人に出会うときに、自分が少年院に入っていたことを必ず話す。それを話さないと自分にうそをついているような気がするから。
そして、自分は何回も何回も失敗をしてきた。でもやり直せるということを教えてあげたい。」

(実名で会見に臨むことについて)
「自分が勝手な思いかも知れませんが、自分の後ろには少年院にいるたくさんの少年たちがついていてくれる、彼らの代表だと思って出てきている。」

「少年院から出たときに、自分の地元では頼る人も仕事も何もなかった。」
「これまで少年院での経験を隠して生きてきたが、消すことができない過去なら、これを受け入れようと思った。」

まねできないことだと思い、頭が下がります。

今、セカンドチャンス!の一番の願いは、居場所ができることです。
そこへ行けば、立ち直ろうという気持ちに自信がなくなり、くじけそうになった元少年が
ほっとでき、またがんばれる、そんな居場所です。
他の団体とのシェアでもいいので、比較的地の利のいいところにそんな場所が持てたらいいと思います。
(どなたか、そんな場所の提供をお願い出来ないでしょうか)

フィンランドでも、元受刑者の自助的組織KRISの支部では、週に1日専用に使える日を割り当てた形での
居場所をつくっていました。



なお、メンバーの中の2人は、昨年、少年犯罪被害者の支援のための会にも参加をしたことがあります。
被害者の方の声に、非行の事実の別の面を具体的に知り、身を固くして緊張に震えていたのを思い出します。
焦ってはいけないと思いますが、きちんと、社会に責任を持って向き合えるようになっていってほしいと思います。

自分にもできないようなことを希望することに非常に後ろめたさを感じつつ・・・。



 


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コメント日が  古い順  |   新しい順
「セカンドチャンス!」頑張れ! (林 俊成)
2011-01-13 15:19:56
杉浦様、「セカンドチャンス!」って名称も素敵ですが、その決意・勇気にも感動しました。
私は昔、BBS活動を少ししていましたが、「セカンドチャンス!」のメンバーは、きっと、非行少年に対する共感と対話がより豊かになると思います。それが理由で、非行をしてしまった少年たちが、彼らとなら共に歩んで行きたいと思うのではと大いに期待できます。ただ、ゆっくり歩んで下さればとお祈りします。
併せて、こうした活動をバックアップすべく、様々な基盤整備を行政が行ってくれることもお祈り致します。
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セカンドチャンス!! (笹森 裕介)
2011-01-15 18:46:07
人吉少年院出身で退院から十数年、現在看護師として頑張っています。テレビでセカンドチャンスを知り、感銘を受けました。我々の時代にもこういう活動があれば、もっと早くに厚生できたんじゃないかと思いました。
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がんばれ! (あき)
2011-01-15 19:28:21
セカンドチャンスをはじめて知りました。親にとってもすごく心強く思えました。今中学の息子が少年院にいます。子供だけでなく、まず親に原因があると実感してます。どうすべきはいまだわかりませんが、まっすぐ向き合ってぶつかるつもりでいます。セカンドチャンスの活動応援してます頑張ってください。頑張る勇気もらいましたありがとうございます。
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笹森さん・あきさんありがとうございます (çž³)
2011-01-16 01:42:56
セカンドチャンス!へのエールをありがとうございます。
今日15日、セカンドチャンス!の立ち上げシンポ1日目が終わりました。
300人以上の方が参加して下さいました。
また、報告をしたいと思います。
少年院退院者の方、他の行刑施設の経験者のかたなども来て下さり、つながっていける場所になりました。
明日も会はあり、スウェーデンの当事者団体の創始者だった方のお話や、セッション、分科会などがあります。
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線引きのむずかしさ (dax)
2011-01-18 12:20:24
62歳、男です。
複雑な家庭で今で言う虐待されて育ち、
教護院・中等・特別少年院と経験し、少年刑務所からやがて成人刑務所と、ずっと施設で暮らしました。永年ヤクザ生活を送り、社会に居るより鉄格子の中の方が長かった・・・。
しかし、6年前にいまの「ヤクザ」が嫌になり堅気になりました。
いまは知的障害者施設に関っています。
ある意味で、施設生活はラクでしたが、やはり社会で「誰か」の役にたつ生き方は張り合いがあります。その「誰か」は、誰だっていいのです。家族でも恋人でも自分を信じてくれる人でも・・・。そして、「やり直そう」と思う間は周囲は見捨ててはいけないと思います。
やり直す気を無くしたら、その時は突き放す時期だと思います。
人は失敗する生きものですし、何よりも「自分で自分を裏切る」ほどに弱いのですから・・・。
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daxさんありがとうございます (çž³)
2011-01-18 13:26:03
子ども時代、その後の生活と、たいへんでしたね。軽々しく「大変」では言い尽くせないものだと思います。
また、やり直す、というのは簡単なことではないいので、常に胸を張って歩いて行けるときばかりではないと思います。「やり直す気をなくしたら」の見極めはむずかしいですね。


でも周りの人間は、むしろ、やる気が有る人を見捨てないように、時をつけることのほうが、気をつけなければいけないことですね。
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瞳さんへ (クロ元気)
2011-02-24 21:18:06
私は榛名女子学園を卒院してから
今は6年経ち、現在
アルバイトではありますが、
ずっと社会人として生きさせてもらっています。
出院してすぐ両親の離婚を経験しました。
今は夜回り先生。水谷修氏の本をずっと
読んでいます。
私は出院してから保護司さんに大変よくしていただき、少年院は一度しか入っていません。
保護観察中頑張りました。
今は社会に恩返しして生きています。
私は苦しかったからこれからのさ迷う子供たちには苦しみを味わってほしくないです。
今でも母とは6年会ってません。悲しいです。
私にできることがありましたら、やらせて下さい。
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クロ元気さん (çž³)
2011-02-25 00:46:09
クロ元気さん、コメントありがとうございます。
大変でしたね。両親の離婚も、子どもにとっては大きな出来事です。一度の経験を生かして、次へとしっかり歩み出されている子とは、本当に素晴らしいです。
一緒にできたらいいですね。

非開示希望で連絡先などいただけたら、こちらから連絡できます。
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盛岡講演 (TR)
2011-05-29 15:16:54
自分は盛岡少年院を最近出院しました

なので、さいもんさん達の講演に参加しました

自分達の気持ちをよく分かってくれて本気で話をしてくれたのに対した涙しました

その後の地震で盛岡は大変な生活をしている時に励ましのVTRをみて元気をもらいました

実はセカンドチャンスに参加したいと思っているんですが、どうしたら良いのかわかりません

少年院のみんなを支えたり話あったりしたいと思っています

セカンドチャンスの集まり会に仕事が忙しいので当分は参加できないですが仕事が落ち着いたら行きたいと思っています

あと正直再非行しそうで怖い所もあり相談したいと思っています


セカンドチャンス本当にありがとう
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TRさん、ありがとう (çž³)
2011-05-29 15:29:33
セカンドチャンス!のメンバーは少年院などで講話をさせていただいていますが、その機会に出会って下さったのですね。
メンバーは、手探りで、でも、自分たちが後輩の役に立ちたい、また、それは自分のため、という気持ちで一生懸命活動しています。そのことに対してもお礼のコメントをいただけるのは、本当にうれしいことです。
セカンドチャンス!の活動は間違ってない、という自信にもなります。

TRさん、ありがとうございました。
一緒に頑張りましょう!
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