天燈茶房 TENDANCAFE

さあ、皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えてあります。
どれからなりとおためしください

JAXAタウンミーティング in 下関に参加しました

2009-11-11 | å®‡å®™
写真:「第42回JAXAタウンミーティング」 in 下関の会場風景 左から広報部の舘和夫さん、河内山治朗先生、加藤學先生
※スタッフの方から了承を頂いて会場写真を掲載しています


平成21年11月7日(土)、山口県下関市でJAXAのタウンミーティングが開催されました。


下関から宇宙へ 希望の架橋となれ「第42回JAXAタウンミーティング」 in 下関の開催について
(JAXAプレスリリース)

僕も熊本県八代から関門海峡を越えて下関に向かい、参加してきました。

今回の会場はJR下関駅からも程近い「海峡メッセ下関」の国際会議場。

関門海峡を望み聳える「海峡ゆめタワー」の傍らに国際会議場があります。
下関には凄い施設があるなぁ…

今回の登壇者の先生は、
H-IIAロケットプロジェクトマネージャを務められた河内山治朗JAXA理事と、
「かぐや」プロジェクトのサイエンスマネージャ加藤學先生。

午後1時半、ほぼ満席の来場者を迎えてタウンミーティングはスタート。
先ず、今回の主催者である下関西ライオンズクラブの会長挨拶。この会長さんは何と「H-IIBロケット用の機体輸送コンテナを造った鉄工所の社長さん」だそうで、挨拶にも熱が入ってます。
続いてJAXA広報部の舘和夫さんによるJAXAの概要説明。
前回の大分でのタウンミーティングの時と同様、JAXAの年間予算と下関市の予算との対比等。

引き続き、河内山理事による第一部「ロケット・・・宇宙への架け橋」。
先ず言われたのが「ロケットは手段、目的ではない」
「手段として重要なのは、『失敗してはいけない』ということ。これが第一歩」
「H-IIAは9回成功しているが、失敗すると世間から大注目されるのに成功しても褒められない。これがロケット屋のつらいところ。」
う~ん、そうですよね、つらいですよねぇ…
それからロケットの原理の説明と、液体固体それぞれのロケットの歴史の説明。
糸川先生のペンシルロケットや日本初の人工衛星「おおすみ」の紹介も。

ここで最初の質疑応答。

Q:日本のロケットの打ち上げ成功率は?
A:世界トップレベル。

Q:衛星の商業打ち上げは儲かるの?
A:数が少ないから。先ずは産業として自立することが大事。今は市場規模が小さすぎて儲け云々以前の状態。

Q:ロケットの2段目は打ち上げ後どうなる?
A:落ちてきたり、なかなか落ちてこなかったり。出来るだけ「小さく」落とそうとしている。

続いて、世界の主要ロケットの説明。
これまでなかなか知られてこなかったが、ロシアのロケットは出来がいいということ。
ロケットは2段目から上は小さい方がいい。
また、シンプルな方がいい。


それから、宇宙ステーション補給機(HTV)の運用概要説明に続いて
「GXロケットはパス。次期固体ロケットはなるべく早くやりたい。」とのこと。

ここで質疑応答。

Q:H-IIAロケットに対する河内山先生のこだわりは?
A:ロケットは手段だから、落ちてはダメ。落ちないロケットにこだわっている。

Q:H-IIBロケットはHTV以外の目的用途はあるのですか?
A:今のところはHTV専用。いずれ三菱重工が市場競争して仕事を取りに行くつもり。

「明日のロケットを目指して」
今のロケット市場を考えての、いつでもどこでも使えるロケットを目指す(これって、「ロボケット」を目指す次期固体ロケットの森田泰弘先生の思想と同じだ)。
H-IIAも進化させて、コア機体のみで立って飛べるロケットにする(つまり、固体ロケットブースタSRB-A無しで飛べるようにするということです!)。
そして次世代のロケットの第一段階として、有人仕様のロケットプレーンを構想中。

「決して落ちることのないロケットは工学的には有り得ない“神業”だが、これを基本に考えている。経験を知識に、知識をかたちに!そしてさらに向上を!」
「私の夢は航空会社の飛ばすロケットに乗ってアメリカに行くこと。糸川先生も『ロケットに乗ってアメリカに行こう』と言われた」
「世界で初めて音速の壁を越えたチャック・イェーガーが私の好きな人。日本にもこんなヒーローがいてもいいのでは?」

最後に、「かぐや」を載せたH-IIAロケット13号機の打ち上げ動画を鑑賞して、
「是非一度、種子島にロケットの打ち上げを見に行って下さい」との言葉で締め括られました。
河内山先生、いかにもロケットボーイらしい情熱あふれるお話でした!

第二部は加藤先生による「『かぐや』が解き明かす月の謎」。
2年間に渡って働いた「かぐや」のデータは現在解析中だが、今日はかいつまんで、とのこと。
「『かぐや』を載せたH-IIAロケット13号機は見事な打ち上げだった。おかげで推進剤も節約できたし、河内山先生はじめロケット屋さんには感謝している」

それから、「かぐや」のミッション概要説明。
「副衛星に『おきな』と『おうな』の名前を付けるまでは悩んだ。竹取物語には人名があまり出てこないから」
その「おきな」「おうな」ですが、「おきな」は昨年、月に落下したけれど、「おうな」はまだ生きています。
「月の周りを勝手に飛んでるから、あと10年くらいは持つ筈」えっ?そんなに飛び続けるんだ…

月の5つの謎、「大きさ」「内部構造」「マグマオーシャン」「磁場消滅」「裏側と表側での二面性」を考慮し、1996年に「かぐや(当時はまだSELENEセレーネと呼ばれていた)」に搭載する14の観測機器を選んだ。
月の起源と進化が、「かぐや」の最終テーマである。

「かぐや」の成果。
1、高度計による月面の凹凸調査。月は裏側では標高差が18キロメートルもある。
地球もヒマラヤ山脈とマリアナ海溝では高低差が18キロメートルあるが、月は地球の1/4の大きさしかない。
このことから、月は硬い地盤を持っていると考えた。

2、「おきな」を使っての重力場の観測。
これによって月の裏側はマグマを噴出せなかったことが分かった。

3、マルチバンドイメージャによるクレーター中央丘の観測。
これによって月の深いところの構造が見えてくる。

4、ハイビジョンカメラHDTVによる撮影。
年に2回しか撮れない「満地球の出」を捉えた。

5、地形カメラの画像。
アポロ15号の着陸地点の痕跡を捉えた。

6、月の裏側にある海の観測。

7、レーダーサウンダーによる「静かの海」「雨の海」の地下構造探査。

8、ガンマ線分光計による全球観測。
月の全球元素マップを作成した。

月に「帰る」直前に撮ったハイビジョンカメラHDTVのラストショットの紹介。
「わざと暗い場所に機体を落として発光させて、地上から発光を観測して『証拠』を残した」
インドとオーストラリアで撮影された発光を捉えた写真の紹介。

「2025年、日本人宇宙飛行士、月に立つ!」
現在、これを目指している。候補地点は南極のクレーターの永久影。

ここで質疑応答。
僕も質問しました。

天燈茶房亭主のQ:「かぐや」は募集した名前とメッセージを月へ届ける「月に願いを!」キャンペーンを行いました。
僕も「かぐや」に名前とメッセージを乗せてもらいましたが、遠い将来に我々の子孫が月面に眠る「かぐや」を訪ねた時、彼らは僕たちの名前とメッセージを読むことは出来るのでしょうか?
それとも、名前とメッセージを刻んだプレートは「かぐや」もろとも粉砕破壊されて消滅してしまっているのですか?

A:「かぐや」はかなり大きいので、多分機体は月面に残っている。
それに、名前とメッセージを刻んだプレートはわざと壊れにくい部位を選んで機体に取り付けてある。
ちなみに、アメリカの「ルナー・リコネサンス・オービター」に月面の「かぐや」を撮影してくれるようにリクエストしてある。

おお、月面の「かぐや」が撮影されるかもしれないんですね!これは楽しみ。
月に帰ったかぐや姫は元気にしているだろうか…

以上、ロケットと「かぐや」の話をたっぷり聴けて、大満足でJAXAタウンミーティング in 下関は無事終了!
JAXAの宇宙科学系イベントの終了後のお楽しみ、先生方にぶらさがりでの質問(加藤先生にセレーネ2でのぺネトレータ搭載の可能性とか訊いちゃいました。セレーネ2では“敢えて搭載する必要はない”けれど、将来の探査に活用するつもりはある、そうです。つまり、「のぞみ2」にぺネトレータを搭載して火星に打ち込んだりしちゃうのも無い話ではない、とのこと!)やサイン会もしっかり楽しんで(河内山先生、加藤先生、最後までありがとうございました!)、「海峡メッセ下関」の国際会議場を後にしました。


会場を出るときに気が付いたけれど、
「かぐや」に搭載された名前とメッセージを刻んだ件のシートの複製品が展示されていました。
「これのオリジナルは、今も壊れずに『かぐや』と共に月にあるんだ…」そしてそれには僕の名前も刻まれている。
そう考えると、思わず胸が熱くなります。


「海峡メッセ下関」から外に出ると、既に夕暮れ。
少し歩くと、関門海峡を望む海辺に出ました。秋の夕陽が、海峡を穏やかに染めています。
今日はいい一日でした。

ところで…実は明日も宇宙科学関連のシンポジウムに参加するので、今日はこのまま外泊です。
とりあえず海を渡って、九州に戻ります。

→シンポジウム「宇宙の謎に挑む 日本の貢献」に参加しましたに続く


2 ã‚³ãƒ¡ãƒ³ãƒˆ

コメント日が  古い順  |   新しい順
硬着陸なので機体残 (bbsawa)
2009-11-12 07:19:24
かぐやの機体が確認出来るとは思ってなかったので朗報です。
アポロの着陸地点の写真から、かなり細かいところが写っていて、宇宙飛行士の歩いた跡が、ナスカの地上画みたいに見える。
かぐやが、ぐしゃっと平面に潰れてるといいのですが、分解してる写真だとうれしくない。
返信する
どこまで見えるかな? (天燈茶房亭主mitsuto1976)
2009-11-12 21:51:12
驚異の最高解像度約50センチを誇るLROカメラがどんなかぐや姫の姿を捉えるか、興味深いですよね!

それにしても、ハードランディングした宇宙機の姿か…想像力かき立てられますね。
僕としては、劇場版「銀河鉄道999」のワンシーン、荒廃した惑星の地表に横たわる、トチローの暮らす朽ち果てた宇宙戦艦の姿が目に浮かんだりします。
返信する

コメントを投稿