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ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

そんな熊森で大丈夫か? 熊森のドングリ運びへの見解に突っ込んでみる

2010-12-08 22:00:34 | ç†Šæ£®
 今回からついに熊森協会(以下熊森)のドングリ運びについて批判していきます。熊森の見解が2004年には発表され、それが今まで(2010年12月8日現在)維持されたまま彼らの旧HP上に公開されているため彼らの見解に大きな違いはないものとして突っ込んでいきます(注:数値は11月の時点で把握しているもので、現在はさらに増えています)。

以下引用
指摘②〉少々のドングリではクマの空腹には焼け石に水。

【熊森の見解】焼け石に水なのは、言われなくてもわかっています。しかし、何らかの行動を起こすことによって、暴走する駆除に何とか歯止めをかけたいという人たちが誕生し、大きな力になっていくのです。熊森は、兵庫県で、県や地元に働きかけ、日本で一番進んだクマの保護体制をつくってきましたが、それは、ドングリ運びから始まりました。北陸でドングリ運びを呼びかけたことで、次々と会員が誕生し、クマの駆除を止めるための活動が始まっています。1頭のクマを1日でも里に出て来なくていいようにしたいという気持ちから、大きな流れが生まれていきます。大切なのは、人々に共存の心を呼び起こすことです。

引用終わり
分かっているならやるな・・・と言いたいところですが、現在の熊森は数百キロのドングリを運び、クリ4.5tをさらに追加で各地にまくようです。昔、ドングリは発芽防止や虫殺しのためにゆでるとか言っていたと記憶しますが、計5t近いこれらの実をほんとにすべてゆでるんですか?手間が恐ろしくかかることが容易に想像できますが大丈夫?
さすがにこの量はシャレになりませんよ?クマじゃなくても他の生物に影響与えるんじゃないですか?他の生物への影響はこの次あたりで。

以下引用
〈指摘⑤〉ドングリにも本来の生育地があり、他地域のドングリをばらまくべきではない。(遺伝子の攪乱)。またドングリにドングリを食べる虫が付いており、それらの病害虫の管理なしにむやみに他の地域に持ち込むのは植物防疫上も問題。

【熊森の見解】私たちは、これまで、外来種の国内持ち込み、国内種の移動、品種改良種を自然界に持ち込むことについては、強く反対してきました。その立場は変わりません。しかし、実際のところ、原生の森を伐採し、雪国の奥山に植えられたスギは、九州や四国の苗ですし、里山のクヌギなどの落葉広葉樹は、元々生えていたシラカシやアラカシなどの常緑樹を切り、各地の苗木を取り寄せ植えたものです。さらに、少し前まで日本の森の中にいた昆虫類の多くが消え、地球温暖化により、見たことも無い亜熱帯性の昆虫やキノコが次々と繁殖しています。私たちは原生林ではなく、このような、すでに人為的な遺伝子撹乱が起こっている場所にドングリを置いていることをお知り置きください。
 また、何年にもわたって検証を続けていますが、運び込んだドングリから芽が出て育ったものを見たことがありません。平地の気候風土で育ったドングリが、雪深いクマの生息地で発芽する可能性は大変低いものです。第一、ドングリの山は、置かれるや否や、虫と一緒に動物の胃袋に入ってしまいます。
 ドングリにつく虫については、熊森の顧問が調べ、今、わかっている範囲では問題がないということでしたが、自然界には人間には計り知れないことが多いため、私たちこそ、気にしています。
引用終わり

そもそもことが起きてからじゃ手遅れになる種類のものですから。仮に遺伝子撹乱が起きたとして誰が調べるの?交雑個体の除去とかどうするのさ。山で木を切るって相当危険な作業ですよ?そもそも奥山のドングリがどうして過去に遺伝子撹乱を受けたものだってわかるの?それらしい文献の紹介なんて今までに見たこともありませんが。
クヌギ、コナラの利用に関して言えば、あれはもともと里地(人間の領域)の薪炭林として利用されていたもので、そんなものをわざわざ奥山まで持っていきますか?
というか、データを持っているなら出してください。熊森の体質として思わせぶりなことを言いながら、情報開示はしないというところがあります。今後も重要な論点になりますので、覚えておいてください。
なんですかこの突っ込み所がありすぎて一息では突っ込めない文字のられつは?
とりあえず今日はここまでとしておきます。

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11 ã‚³ãƒ¡ãƒ³ãƒˆï¼ˆ10/1 コメント投稿終了予定)

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揚げ足を取ると取り返される ("ね")
2010-12-08 23:42:58
批評とか説明なんかをしていると、相手に知恵を付けてるんじゃないかと不安になる時があります。
技術士や獣医師や動物取扱者はいなくとも、弁護士はいますからね。
錯誤捕獲や錯誤捕獲した個体を放獣しない場合の違法性とか、錯誤捕獲や有害捕獲した個体の放獣先について、地域個体群を意識しなくてはならないとか、かえって言いがかりの材料を提供しているのではと。
実際そんなことはないですが、言ったもん、やったもん勝ちで後先考えずに「実践」されるので、さわげる材料だけあればいい的な面がある意味恐いです。
ぼやきになってしまいますが。
梨さんのblogは私の中の漠然ともやもやした問題意識をしゃきっとさせてくれるので読んでいて刺激になります。
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Unknown (ハガクレ)
2010-12-09 13:42:53
あえて熊森のやってることを擁護するなら、

「何らかの行動を起こすことによって、暴走する駆除に何とか歯止めをかけたいという人たちが誕生し、大きな力になっていくのです。」

というところでしょうか。環境倫理学なんかでもちょくちょく人々の意識改革の重要性が議論の対象になっていますね。
効果がないとわかっていても、あえて無関心な人たちの興味を引くようなやり方をするというのはあながち無駄なことではないかと。

ただ効果がないどころか悪影響がありすぎるっていうことに熊森の人たちはなぜわかってくれないのかがわからないですね。

人間同士なんだからじっくり話せばわかってくれるはず、というのが私の持論なのですが、やはりこれは理想論にすぎないのではと思ってしまいます。それでもやっぱりとっくり説明するしか方法はないのですけね。まさか殴ってわからせるわけにもいきませんし。
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環境保護は目的ではない (uncorrelated)
2010-12-09 14:15:15
ツキノワグマの保護以外も、理解が難しい団体のようです。

http://kumamori.org/activity/rescue/exotic/
> すでに日本の野で繁殖してしまっている外来動物の分布を決められるのは、自然だけです。

外来動物に任せて在来種が絶滅してもいいなら、ツキノワグマの分布も自然に任せればいいと思いますが。

アフリカマイマイとか、ニューギニアヤリガタリクウズムシとかも、彼らにとってはかわいい外来種なのでしょうかね。
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熊森は (クマクマ)
2010-12-10 02:13:04
外来種の持ち込み反対とか言っていますがこの集団は外来種を認めているのでどんぐり運びも何とも思わないですね。
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Unknown (Unknown)
2010-12-11 12:05:47
今日の東京新聞発言欄に素晴らしい意見が掲載されております。
正論すぎて熊森も反論の余地はないでしょう。
発言者は2007年に成田市議選に出馬され最少得票数で落選された方であると思われます。
(同姓同名かつ同い年の可能性は低いでしょう)
このような素晴らしい方が落選(しかも得票数ビリ)とは納得できません。
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乾燥したドングリは? (ヤマネ)
2010-12-11 17:12:09
私も熊森協会の考え方にはついていけません。それで時折、こちらを読ませていただいています。しかし、ひとつだけ疑問があります。管理人さんはドングリ撒きによって、ドングリの樹の遺伝子が攪乱されることをたいへん心配されていますね。それで、とても素朴な質問で申し訳ないのですが、ドングリって乾燥させると簡単に発芽しなくなる(死ぬ)のではないですか?

十数年前のドングリ豊作の年の10月、長野県のある森を歩いたことがあります。すでに厚く積もった落ち葉は湿っていました。その中に混じって、落ちて間もないらしい、きれいな大粒のミズナラのドングリがたくさん落ちていて、拾って行こうとしたのですが、実際に手に取ろうとすると、どの実も既にお尻が割れて赤い根が出ていて、鍵のように曲がった先が地面にもぐりこんでいました。ミズナラのドングリというのは発芽より先に、発根するのだなと初めて知りました。それ以前に、雑木林の再生をやっているNPOの出版物などで、ドングリというのは乾燥すると死んでしまい、発芽しないと聞いていました。(だから、春に捲いて発芽させるには、湿った砂の中に入れておけとか、何と書いてあったような気がします)実際にはこのように湿った落ち葉の間にもぐりこんで、根っこだけ地面に差し込んで水分を確保し、やがて降る雪の下で春を待つのだろうと思いました。(あくまでミズナラの場合で、他のドングリはどうなのかは知りませんが)

私も熊森のドングリ撒きには賛成しません。しかし、町の公園で拾い集めて何処かへ送られる間には大抵のドングリは発芽(発根)しなくなるのではないですか?
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ヤマネさん (梨(管理人))
2010-12-11 18:44:53
それは状況によるとしか僕には言えませんね。
そもそも、記事内でも書いたようにそういうドングリ運び関係の情報がほとんど発信されていません。仮にヤマネさんの言う通りだとして熊森側がそういうことまで配慮していると判断できるだけの情報がありません。さらに言えば、現在の彼らはtレベルのドングリを運んでいます。それが全て発芽しないという楽観的な予測は持てません。

ま、発芽率が少しでも減るならこちらの危惧も少しは減ってくれるのですが。
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もっと基本的なところで (torimy)
2010-12-11 19:22:29
どうして野生の生き物が 茹でたドングリを食べることになるんでしょうね。人間の自己満足としか言いようがない。
悠久の昔から生きながらえてきた野生の生き物が、茹でたドングリとは!
日々クマ出没情報が町の中を流れている土地に住んでいる私にして見れば、「クマと人間の共存」なんておままごと。
もちろん撃っていいとは思っていませんよ。クマを守るには 「棲み分け」あるのみ。
そのためには 放置されて森林化したエリアの適切な伐採と、適所適材の植樹しかあり得ません。
それはドングリを集めて与えるなどと言う安っぽい稚拙なことではなく、長期ビジョンに沿ったたいへんな活動です。急いでも結果がすぐ出るものではありませんが、諦めず少しずつ進めていくしかありません。

出しゃばりました お許しください。
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Unknown (いなかぐらし)
2010-12-11 22:31:58
昔は、「一昼夜水につけて発芽能力を失わせる」とHPで謳ってましたね、協会は。
広葉樹の本によると、所謂ドングリは播種前に水につけて発芽率を高めると書いてあります。
そのことを指摘されると発言自体なかったことにしたようですが。
知識もなんもなく、口から出任せの自転車操業、
正直、クマとイノシシの糞の見分けもつくのかどうか怪しいモンです。
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経験則だけかも (ヤマネ)
2010-12-12 22:58:18
レスありがとうございます。
ウィキペディアのドングリでは「ドングリは乾燥に弱く、単に林床に落ちただけでは乾燥によって速やかに発芽能力を失うことが多い。」とあるのですが。(だからって、私は熊森を擁護するつもりはまったくありませんので、誤解のないようにお願いします)

考えてみると、ドングリの乾燥状態と発芽率の関係なんて、大学の先生の研究などでは幼稚過ぎて調べる気はしないのかもしれませんね。かと言って、小中学生の理科実験程度では水分状態の管理が厳密にはできないでしょうし、案外、経験則みたいなもので言われているだけなのかもしれません。
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