チベット問題、聖火リレーに関するニュースでいよいよ盛り上がって参りました。
某巨大掲示板にはチベット支援や反中国関連などのOFFスレが乱立しています。
長野で予定されている聖火リレーや胡錦涛来日に合わせて雪山獅子旗(チベット亡命政府の国旗)を持って沿道に詰めかけるとか、中国大使館にデモをかけるとか、毒餃子事件を含め弱腰対応で一貫している福田内閣の非を鳴らそうとか。東京だけでなく全国の各大都市ごとのイベントも行われているようです。関連シンポジウムもいくつか予定されていますね。
日本のマスコミも深さと広さ、つまりニュースとしての質を別とすれば、私が巡回する記事漁りルートだけで毎日平均20本以上は関連記事が出ています。
それよりも辟易させられるのは中国当局による「思想統制」というべき、洪水のような「ダライ集団は人面獣心」「ダライ集団は独立分子」「ダライ集団は五輪を利用する悪逆卑劣な連中」型の報道です。
様々な意味から、チベット問題及びそれに端を発した諸々の出来事は、1989年の天安門事件以来といっていいでしょう。私たちは、歴史劇がいま正に進行しているのをリアルタイムに眺めているのです。もちろん、色々な形でそれに参加することも可能です。
私のような単細胞はそれだけで昂奮を抑えかねています(笑)。
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しかしながら、チナヲチ(素人の中国観察)という作業を行う身としていえば、この半月以来の事態の推移については当ブログにて早々に見立てを書いてしまっていたうえ、特に加筆修正する必要もなかったので正直、現時点に至るまでは実に退屈なものでした。
かように大量の関連報道が飛び交いながら、事態の質的転換を示唆するものは何ひとつありません(私見ですけど)。
●【チベット】「六四モード」を崩すには?【中間報告】(2008/03/22)
ほーら予想通りじゃないか。……というのではなく、中共政権は今回もその行動原理通りに事態に対処したまでのことです。根っこの原理原則を理解しておけば、表面的な事象に惑わされることはありません。
中華人民共和国というのは、「中共人」という一握りの特権階級によって独裁統治されている国家です。
国家としてどうすべきかという選択肢に突き当たると、「独裁体制の維持に有利」なチョイスを必ず行います。
これまでは常にそうでした。そして、今回もまたそうだった、変わっていなかった。……ということを再確認できたのが、ヲチする上での最大の収穫でした。
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チベット問題において中国が譲歩することはありません。中共政権からみればチベット人の抗議活動は内乱として断固鎮圧すべき対象。蜂起には圧倒的な武力で臨み、帰順するか罪人になるかという容赦のない選択をチベット人に迫るのみです。
国内的には報道統制を敷いて「チベット独立を企てるダライ集団が背後で糸を引く陰謀」という定義づけを大量の記事や映像で国民に刷り込みを行います。相手がチベット人という「異民族」であることが、潜在意識において「中華」(世界の中心)を自任する漢民族の心を刺激して、当局によるこの工作は予想以上の効果を上げつつあるようです。
むろん、「内乱の黒幕」たるダライ・ラマ十四世を頂点とするチベット亡命政府との公式対話(密使はあるかも)などは言語道断。それを求める国際世論は一切はねつけて逆ギレあるのみです。北京五輪が流れても構わないという覚悟のもと、五輪開催への影響を局限すべく立ち回ったり居直ったりしているのがいまの中国です。
最悪のケースとして北京五輪が流れたとしても、「悪者」は総人口の9割以上を占める身内の漢族ではなく「異民族」ですし、また「異民族を支援して中国の分離独立を進めようとする国際勢力」ですから、中共政権に対する国民の求心力がかえって高まる可能性があります。国際社会においては暴挙と受け取られようとも、「独裁体制の維持」にとって決して不利ではありません。
一方の国際社会も高まりつつある中国の存在感を前に、踏み込んだ対応には二の足を踏んでいます。天安門事件当時のような経済制裁はおろか、各国首脳の五輪開幕式出席をどうするかといったレベルでグラグラと揺れている程度です。
それどころか、チベット人弾圧を断行している当局の外相来訪を今月に予定しており、また弾圧の最高責任者である胡錦涛・国家主席を5月に国賓待遇で受け入れるという途方もなく恥知らずな国が西側主要国の中にあります。
受け入れた時点で、その国は中国によるチベット弾圧を肯定したも同然ではありませんか。中国に厳しい国際世論にも水をぶっかけることとなります。
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チベット人やウイグル人を弾圧し、容赦のない殖民・同化政策を進めている中共政権の最高指導者を、事もあろうか国賓として迎え入れるという、そのどうしようもなく病んだ主要国というのがニッポンであるということに、私はどうにも我慢がなりません。
憤懣やるかたなし、といったところです。
一方で、チベット人やウイグル人にとって、今回の事態は半世紀以来,初めて巡ってきた正に千載一遇の好機といえるでしょう。正直にいいますと、純粋に応援したいという気持ちが、まずあります。
と同時に、今回の事態は中国という国が「ちょっとオシャレな北朝鮮」ともいうべきマトモでない国家であることを広く知らしめる絶好の機会であり、それが日本の国益にもかなうという考えもあります。
「純粋な思い」と、悪くいえば「打算」のようなもの。……しかし私はまず日本人であると自らを既定しているので、「打算」にそぐわない動きに賛同することはありません。台湾独立を応援している動機にも、もちろん「純粋な思い」と「打算」の両方があります。
素人の中国観察者としていうなら、チベット人やウイグル人にとってまたとない機会である今回の「喧嘩」は、中国の勝ちで終わることになるでしょう。少数民族が迫害されているという事実を国際社会に周知させるという意義は残せるものの、喧嘩そのものでは「五輪が流れても」との覚悟がある中共政権が負かされる可能性は極めて低いといわざるを得ません。
もちろん、何らかの内的要因が加味されれば別。例えば漢民族を相手に死者多数が出る大規模な武力弾圧が公然と行われるとか(前掲エントリーにおける「変質」など)、超格差社会において国民の5割以上の暮らしが立ち行かなくなるほどの物価急騰が発生するとか、疫病の大流行といったものです。……が、これらはいずれも偶然に頼るものにすぎませんから計算には入れられません。
物価高は確かに進行しており、これは時間とともに中共政権による独裁統治に強い負荷をかけていくことになるでしょう。ただチベット問題で国際社会が盛り上がっているいま現在から北京五輪前後の時期にかけて、庶民を蹶起させるほどの状況がいきなり現出するとはちょっと考えにくいように思います。
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要するに、チベット人やウイグル人は喧嘩では中国当局に勝つことはできないだろう、という素人観察者としての見立てはあるのです。
でもそれはそれとして、私自身にはチベット人やウイグル人を応援したい、という気持ちがあります。日本政府、というより福田政権に対する意思表示も行いたいです。こと対中外交においては毒餃子事件以前からの恨みつらみがありますから。
むろん「打算」を伴うものでもあるのですが、例えばチベット問題の経緯についてネットや本などで知識を仕入れるにつれてこの気持ちは高まるばかりで、何やら居ても立ってもいられない、という気分になります。
ですからこのブログとは別に、個人的に行動していこうと考えています。……実際にはもう行動していたりするのですけど(笑)。
時間と体力の許す範囲内で、一人の小市民として関連のデモやOFF、それにシンポジウムなどに参加しています。これからも続けていくつもりです。
そういうイベントに出ないときでも、ささやかな意思表示は行っています。仕事でも私用でも、スーツやジャケットを羽織って出かける際には襟に雪山獅子旗のピンバッジをつけています。もっともピンバッジはとても小さなものですから、やはり雪山獅子旗のブローチも着けたりしています。男性が着けても違和感は全くありません。
でもこれだけでは、あまり目立ちません。
そこで少し勇気がいるのですが、プレスパスのツールがあります。展示会などで報道陣や出展者が首からぶら下げている、あれです。中に名刺を入れたりするのですが、ここに名刺大の大きさでプリントアウトした雪山獅子旗を入れておくのです。拙宅のプリンターは調子が悪いのでステッカーで代用しています。
ちょっと気恥ずかしくもあるのですが、このくらいはしないといけない、と自らに課している作業です。地下鉄などで誰かが目を留めて、その中のごく一握りの人でもチベット問題に関心を持ってもらえれば、素晴らしいことではありませんか。
あるいは、これも名刺大ですけど、外部者を社内に入れるときにスーツの胸ポケットに掛けるプラスチック製の名札のようなものがありますね。あそこに雪山獅子旗を入れるのも一策です。これはかなり目立つかと思います。
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イベント参加とは別に、そうした「歩くだけでしっかり意思表示」を目下、私は仕事で関わる日本サイドの業界人を相手に伝道活動中。ブローチには乗ってくれる人が結構います。
中にはそれをひけらかして、「俺って問題意識あるんだぜー」みたいな感じで異性の気を引こうとする向きもいるようですが(笑)、それはそれで知らしめることにつながるのですから善しとしています。結果オーライ(笑)。
ところでステッカーは自作できるとして、ピンバッジやブローチ、といった小道具の仕入れ先ですが、私は専ら下記のウェブサイトに頼っています。有名どころですので御存知の方も多いことでしょう。
●「TIBET AID Japan」
「Enter」で入って、INDEX画面上部の「チベットグッズ販売」でいろいろ選ぶことができます。注文してから発送までが速いですし、安いですし、料金代引きでもOKですので重宝します。
募金活動も行っているようです。私は長野の聖火リレーには出向けないので、当日の日当を振り込もうかと考えているところです。
皆さん、せめてブローチなどを上衣に着けるだけでも、如何でしょう?それで変に目立つことはありませんし、「何それ?」から話題が広がることもあるかも知れませんし。
遊就館の喫茶室あたりで、海軍コーヒーを飲みつつ零戦を眺めている変なオサーンの首から雪山獅子旗が吊されていたら……そしてもしあなたに勇気があれば、その顔をのぞき込んで、
「フランシスコは死にました」
と合言葉を口にして下さい。わかる人にはわかるリアクションで反応致します。それ知らんかっとんてんちんとんしゃん(笑)。
ともあれ、同志求ム。
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ttp://www.anti-cnn.com/
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【※】非典型日本人さん、申し訳ありませんが中国本土のアレなサイトへのリンクは御法度ですのでURLのみh抜きで書き換えました。諒とされたし。
「チベット報道を排外ナショナリズムに転化させようとしています」とは鋭い御観察ですね。ともあれ党中央が今回の事件を機に求心力の回復を狙っているのでしょう。ネット世論は民度が低すぎます。報道管制下とはいえ、余りにも「ねこまっしぐら」というか「クマー」というか、実に素直に釣られるものですね。愛国主義教育の成果なんだと思います。もともとビョーキな民族でもありますし。(御家人)
これは・・・・ひょっとしてYMOのアルバムの・・・
かなぁ??
不 忍 人 之 心
孟 子 曰,「人 皆 有 不 忍 人 之 心。
先 王 有 不 忍 人 之 心,斯 有 不 忍 人 之 政 矣。
以 不 忍 人 之 心,行 不 忍 人 之 政 ,
治 天 下 ,可 運 之 掌 上。
所-以 謂 人 皆 有 不 忍 人 之 心 者,
今,人 乍 見 孺 子 将 入 於 井,
皆 有 ジュツ 惻 隠 之 心。
非 所-以 内 交 於 孺 子 之 父 母 也。
非 所-以 要 誉 於 郷 党 朋 友 也。
非 悪 其 声 而 然 也。
由 是 観 之,無 惻 隠 之 心,非 人 也。
無 羞 悪 之 心 非 人 也。
無 辞 譲 之 心,非 人 也。
無 是 非 之 心,非 人 也。
口語訳)
他人にむごいことができない心 孟子は言う,「人間は,だれでも他人にむごいことができない心を持っている。
昔の聖王は,この,他人にむごい行為ができない心をもっているからこそ,
そこに人民にむごくあたらない政治を行ったのである。慈悲深い心によって,
慈悲に満ちた政治を実行するならば,天下人民を治めることなど,手のひらの上で
物を転がすようなものなのである。 人間が,だれでも他人に対してむごいことが
できない心を持っているという理由は,今仮に人が,突然に幼児が井戸に落ち込も
うとしているのを見たとすれば,誰でも驚いてはっとしてかわいそうにと思う気持
ちが起こるであろう。その幼児の父母と交際を結ぼうとするからではない。名誉を
村人や友人に求めようとするものでもない。世間の悪い噂の立つのをおそれてその
ようにしたものでもない。 以上のような点に沿って考えてみると,かわいそうに思う
(惻隠の)心のないものは,人間ではない。自分の不善を恥じ他人の不善を憎む(羞悪の)
心のないものは,人間ではない。遠慮して譲り合う(辞譲の)心のないものは,人間ではない。
是を是とし非を非と判断する(是非の)心のないものは,人間ではない。
ということで孟子の言葉が正しいとすれば、今の中国人は人間ではないと
いうことになるw
しかしそれも行き過ぎて以前の反日デモみたいになっても困るという…(苦笑)
明日の旧友達とのプチ旅行に、鞄にはキーホルダーをぶら下げ襟にはピンバッジを付けて、行ってきまーす
些細な意思表示でも自分にとっては一歩踏み出すことになるので、とても大切な作業だと思います。私も励行中です。
ご旅行が楽しいものでありますように。……て、もう終了してますね。亀レス御免であります。
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