Entrance for Studies in Finance

新株価指数(quality index スマートベータ)

背景には運用コストを抑えたアクティブ運用のニーズ
2014年1月6日 NISA(少額投資非課税制度)の導入と重なる形で、JPX日経インデックス400の算出が開始された。これは過去3年の自己資本利益率ROE 累積営業利益などを基準に採用企業(優良企業)を選定 クオリティ指数とも効率的な運用指数を実現する試みとも指摘される(例 スカイマーク ヤフー カカクコム ガリバー 楽天 ミツバ OSG 光通信 大同メ 兼松・・・) 
これに連動する公募投信がすぐに始まったほか、2014年1月のうちに連動する上場投信ETFも始まった。
さらに大阪取引所で同指数に連動する先物を2014年10月―11月に上場予定(2014年3月25日発表)。

つまり市場全体の平均を上回る成績を目指す株価指数のこと。スマートベータ型とよばれる。(ベータというのはある個別銘柄の動きが相場全体の動きとどの程度連動しているかを示す数字のこと) スマートとかクオリティという名称が先行している印象がある。スマートベータ型投信 特定の指数やルールによって組み入れ銘柄や比率を機械的に決める点はインデックス型と同じ。決定的に異なるのは、市場平均を上回る成績を目指す点。株主資本や利益等の面で規模の大きな銘柄に投資するもの。高配当銘柄を等しい金額で保有するもの。高配当のものを選ぶ、連続増配企業を選ぶなど。
実際に日経平均400などとの比較で上回っているかどうかが参考になる。年金積立金管理運用独立行政法人GPIFが同指数をベンチマークに加える方針とのこと(2014年4月)。
具体的にはパッシブ運用で従来のTopixに加えてJPX日経インデックス400(自己資本利益率などで構成銘柄を選んだ指数)、MSCIジャパン、ラッセルノムラプライムが加わった。スマートベータ運用で「S&P GIVIャパン(約1000銘柄を利益予想等をもとに構成銘柄を選択)」「MSCI スモール」(MSCIラッセルジャパン最小分散は全体の価値の変動が小さくなるように約150銘柄を組み合わせた指数)が加わったとのこと。やや混乱するが、JPX日経インデックス400はパッシブ運用の扱いだ。実は企業年金の3割はすでにスマートベーターを何らかの形で取り入れているとされる。背景にあるのは運用コストの差。アクティブの3分の1程度とされる。費用をかけずに平均を上回る収益を上げたいというニーズに対応。しかし常に市場平均を右腕割るとは限らない。運用のファストファッション化と揶揄する意見もある。
 背景には2008年の金融危機以降、市場平均そのものが急落。市場平均に連動した運用に不信感(懐疑)が高まったという側面もある。TOPIXには時価総額の大きな銘柄の構成比率は高い。値上がり局面で値上がり銘柄を買い増せば値上がりが加速。このように指数運用には、値上がり・値下がりを加速する側面がある。
2014年8月7日 JPX日経400の最初の銘柄入れ替えが行われた。選定は東証全上場銘柄から売買代金 時価総額が大きい1000銘柄を選び、過去3年間のROEと営業利益、6月末時点の時価総額で点数付けランキングして、現在の構成銘柄から順位が大きく下がった銘柄を除外し、未採用の上位銘柄を採用。国際会計基準の採用状況等も加味したとのこと。31銘柄を入れ替え、東証一部388銘柄、二部1銘柄 マザーズ1銘柄 ジャスダック10銘柄となった。
「MSCIジャパン最小分散」:全体の価値の変動が小さくなるように約150銘柄ほど組み合わせた指数。
株価指数間の投資効率性の違いはもともと注目されていた。株価指数連動型投信に従来あった、投資効率が必ずしも良くないという問題に対処するあり方として注目される。投資信託には、大きくわけてアクティブ運用型とインデックス(パッシブ)運用型があり、アクティブ型の欠点としては運用コストの高さが指摘されていた。このインデックス運用型のインデックスに、TOPIXや日経平均以外の指数を使うものが現れている(MSCIコクサイ 債券インデックス REIT指数など )。今回のJPX日経インデックス400は、インデックス運用であるが、アクティブの要素を含んでいるとされる。2014年1月開始のNISAを念頭に、運用コストをさげて、アクティブ運用の成果を目指すものともされる。
これまでの指数では 日経平均 電機株などの比重が高い 景気 為替への感応度高い TOPIXより値動き大きい とされ、TOPIX 全銘柄が対象などで理論的には効率的指数 時価総額加重平均型・・・時価総額の大きな銘柄は割高に買われる傾向があり変動率が大きい相場では効率的運用が困難 とされていた。そこで
時価総額にしばられない 効率的運用に資する 指数算出が課題になっていた。ただこれが期待された運用成果をもたらすかは今後の推移をみるしかない。専門家の指摘によれば、スマートの場合、基準に従って行われる売買は基本的に無駄であり、単純なインデックス運用より高コストであれば、あえてスマートに乗り換える必要はないとされる。
  アクティブ運用がインデックス運用に比べて運用コストが高いことは間違いないが、運用成果が必ずインデックスを上回るかは実は疑問が残る。これは、売却を繰り返すと運用成果が減ると一般に考えられているが、売却には運用成果を確定する側面もあり、現金に戻したままなら、成果が減るとは言いにくい(バイアンドホールドの教え ⇔ 保有を続けたために下落リスクをまともに受けることは十分考えられる。リスクの高い投資の場合は短期でも、予定した利益が見えた段階で売却による利益確定が賢明)。同様に分配型も非分配型に比べて効率が悪いと批判されることが多いが、これも現金で支払うことで、収益を確定している面があり、効率が悪くなるとは、実は断言できない(非分配型信仰=毎月分配型への批判 )。このように投資信託については多くの「神話」があり、アクティブが必ず高い成果をもたらすかは、結果をみないとそう言えない点はある。
 いずれにせよ、投資家のニーズは多様であるが、インデックス運用の低コストのメリットをいかしつつ、多様なニーズに答えるには、多様なインデックスが開発される必要もみえてきたといえる。
 なおNISAとも絡んで さまざまな投信が注目されるが なかでも注目されているものにバンクローン型がある。
 価格変動リスクの小さい投信 バンクローン型:最近は債券より価格変動リスクが低いバンクローン型が人気。バンクローンノメリットは2つ。一つは変動金利であり、金利上昇が見込まれる中で
価格変動リスクに強いこと。もう一つは有担保:優先担保の債権であるため、元本の安全性が高いこと。これらの要因から価格変動リスクが小さいとされる。なによりも魅力は比較的高い利回り。海外ものについては円安局面での利益も見込めること。
 同様に米国での金利上昇期待を表すのは「USハイイールド」(フィデリティ投信)への資金の集中。2014年4月1日で資産額1兆1997億円で、国際投信顧問の「グロソブ」を47億円上回ったとのこと。グロソブは先進国の国債での運用が売りで、低リスク志向。USハイイールドは、格付けが低い社債に分散投資するもので投資家が、リスクを受け入れるように変化してきたことを示すとされる。このほかフィデリティは米国 欧州 アジアの債券に分散投資する「グローバルハイイールドファンド」にも資金を集めている(2014年1月末で200億円超え)。
 逆に高いリスクをとって、株価の上昇下落にかけた取引きを可能にするブル・ベア型ファンドも開発されている。これにも購入時手数料が安い上場投信ETFがある。
 償還リスクを避けるには一定の純資産残高があるもの(例 100億円程度 一般に30億円を切ると繰り上げ償還リスク高まる)。資金が流入が続いているもの(流出しているものは資産内容の劣化が進む点からも避けるべき)。
あおぞら銀行(配当性向40%の方針を明示) 三井物産、住友商事、伊藤忠など商社は配当性向25%を方針として意識しているとされる(上場会社の2014年3月期決算の2263社の集計では配当性向は28%。物産は従来20%としていたのを25%に引き上げた。なおトヨタは30%を掲げ、KDDIは30%超を掲げているとのこと。つまり25%は他社に比べそれほど大きくはない。日本では配当額を安定的に支払おうとするため、不況期にこの数値が上昇する半面。景気拡大期にこの数値は下落する傾向がある。先ほどの配当性向は不況期の2010年3月期では50%だった。) 東燃ゼネ JT 平和 武田薬品工業 SANKYO 積水ハウス

original in June 9, 2014
revised in Oct.28, 2014

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